【ロンドン=黒瀬悦成】英政府は20日、ロンドンにある在英中国大使館の移転計画を承認した。中国大使館として欧州最大規模の「メガ大使館」が誕生することになり、在英の民主活動家や対中強硬派の政治家らは「大使館が民主派の弾圧やスパイ活動の拠点になる」として強く反発。周辺住民などの移転反対派は同日までに、移転を阻止するため法廷闘争を展開する方針を明らかにした。
中国政府は2018年、ロンドン市内にある広さ約2万平方メートルの旧王立造幣局の敷地を大使館の移転先として2億5500万ポンド(約542億円)で取得した。
しかし中国政府が地元自治体に提出した移転計画では、使用目的が明確でない部屋が多数あり、香港などでの中国当局の弾圧から逃れた在英の民主活動家らは「反体制派らを拘束して尋問する部屋になる恐れがある」などとして移転反対の運動を展開してきた。
また、敷地の付近には金融街シティーなどのデータ通信を担う光ファイバーケーブルが敷設されており、盗聴や通信妨害などの安全保障上のリスクも懸念されている。
英政府は当初、移転の可否を昨年9月までに判断するとしていたが、これまで3回にわたり先延ばしされていた。
スターマー英首相は、中国との経済・貿易関係を強化したい思惑から今年初頭にも訪中を計画しており、訪中の「手土産」として移転を承認するとの観測が強まっていた。
中国政府はすでに敷地に隣接する住宅地の所有権も取得済みとされる。英紙ガーディアンによれば周辺住民らは、中国政府が大使館の拡張に向けて住民らに立ち退きを迫る恐れがあるとして、移転の差し止めに向けて裁判所に提訴する考えを明らかにした。