ドラグーン 誕生秘話
こんにちは。アルベリックです。今回は私の代表作と言える『ドラグーン』について語っていきます。記事の最後にはURLも載せておきますので、興味があればお読みください。
なお、画像はフォロワーさんのてぃえむさん(@tiemsousaku)に描いていただ来ました。
あらすじ
地上で最も広いとされているロンド大陸。人々は複数の国に分かれ、領土や宗教をめぐって争いを続けていた。そんな中で、このロンド大陸を放浪している1人の騎士がいた。彼の名はエクテウス・アリギエーリ。彼はある女性を探して、大陸各地を放浪していた……。
きっかけ
以上があらすじですが、私が『ドラグーン』を書こうと考えたきっかけは、三浦健太郎先生が描いたダークファンタジーの金字塔とも言える漫画『ベルセルク』を読んだことです。生贄の烙印を刻まれた黒い剣士ガッツが、自身の大切なものを奪っていった使徒(新約聖書における使徒とは違い、人が変化した怪物)や、彼らが服従するゴッドハンドへの復讐の旅を描いた内容で、「身の丈を超える大剣を振るう主人公」の先駆けとなった作品でもあります。ただ怪物が登場する、グロテスクな表現ばかりの漫画という訳ではなく、「人間とは何か」を善悪両方の側面から描いた漫画でもあり、いざ読んでみるとその世界に引き込まれました。これを読んで、私も『ベルセルク』のようなダークファンタジー作品を書いてみたいと考えたのです。
執筆の経緯 登場人物編
『ベルセルク』を読んで作品を書こうと考えた私は、まず主人公の設定から考えました。ガッツとの違いを出すために騎士という設定にしたのですが、当初は義手や大剣「斬魔剣」など、あまり差異がないことに悩んでいました。主人公は当初記憶を失くしていて、自身のルーツを探るために名を与えてくれたシスターと旅をする……といった内容でした。
主人公
しかし、丁度その時期にダークソウル リマスターをプレイしていた私は、主人公装備と言える上級騎士の甲冑に惹かれ、兜なども調べてそのモデルが16世紀に存在した兜であることを突き止めた上で、主人公を騎士にすることに決めました。大剣の名前も竜の牙のような剣という意味で「竜牙剣(りゅうがけん)」に決め、ここにきてようやく主人公のイメージが固まったのです。
その他の登場人物
そこからはもう、そこまで難しくはありませんでした。基より歴史、もっと言えば西洋史に関心があった私は書籍などを引っ張り出しては甲冑、文化、歴史について調べ、それをその他の登場人物に反映させていきました。ちょうどその頃にX(旧Twitter)でも甲冑の画像や同じようにダークファンタジーが好きなフォロワーさんとの交流を頼りに、大まかな登場人物を設定していきました。西洋を基にしているとは言いつつそれだけではどこか味気なさを感じ、「東国」という名でかつての日本を基にしたキャラクターを登場させることも決めました。東国の騎士は「侍」とも呼ばれていますが、これは騎士を表す英単語Knightの語源が古英語で「侍者」を表すことに由来しています。
執筆の経緯 世界観編
大陸
次は世界観ですが、舞台はロンド大陸(ロンドとはフランス語で「円卓」の意」にし、そこから国名や都市名を設定していきました。『ベルセルク』では舞台が「大陸」としか設定されておらず、ならばこちらでは名前をつけようと考えたのがきっかけです。ロンド大陸は遥か古代から存在し、様々な国の興亡が起こった場所でもあります。『ドラグーン』の時代は比較的平和ですが、今後書く予定の作品ではまさに「混沌」と言える時代も描く予定です。
宗教
さて、ファンタジー作品に限らず扱われる宗教ですが、ロンド大陸では「テオス教」と呼ばれる宗教が存在し、全てではありませんがロンド大陸の大半の国々はテオス教を信仰しています。名前の由来はギリシア語で神を表すθεός(テオス)からで、遥か昔にロンド大陸にいたアシピオスという人物が天使を通じて神の言葉を受け、人々にそれを伝えたことが始まりです。
もちろん、ロンド大陸の宗教はこれだけではありません。東国や北西を初めとした一部の地域では自然崇拝を起源とする多神教が存在し、中にはテオス教への反発から何年にも渡って争いを続けている者たちもいます。特に東国では死んだ後に所謂「あの世」に行き、やがては違う生命へと転生する輪廻転生の概念があります(このモチーフは仏教です)。
淵者(えんじゃ)
人には感情がありますが、それはとても尊いものである反面、時としてそれは人を人でなくしてしまうことは、現実でもあるでしょう。そうして人が変化した怪物が淵者です。人が持つ感情(怒りや憎しみ、悲しみなど)が一定の値を超えると、その人の目には黒い蛭が見えます。その黒い蛭を飲み込むことで人は淵者になるのです。淵者の姿は様々であり、言ってしまえばその人の感情の表れとなります。
この黒い蛭はロンド大陸の裏側にある領域「テホム」に棲む存在であり、言わば淵者はその人の「テホム」の姿でもあります。テホムにはその他にも様々な怪物が住んでおり、『ドラグーン』では一応隔てられていますが、徐々にその境目が曖昧になりつつあります。テホムの由来は旧約聖書において「深淵」を意味する言葉からです。深淵は悪魔学において「人間の行きつく果て」とされているようで、淵者は人が行き着く怪物という意味で設定しました。
これを思いついたきっかけは『ベルセルク』の使徒ですが、絶望によって自らの半身とも言えるものを捧げ、怪物へと転生するそれとの違いをつけるため、こちらでは人の感情に注目して考案しました。私としては幽霊や妖怪の怪異よりも、呪いなどの人の悪意や怨念を直接感じられる話に恐怖を感じたことも理由の1つです。
魔法・魔術
次は魔法と魔術についてですが、作中ではこれらも登場します。簡単に言えば、この世界における魔法とは空気中に存在する目に見えないもの「気素(きそ)」を用いて発動するものです。魔術師や魔女はそれらを人間よりも自由自在に扱える存在であり、直接的に使用したものを「魔法」、魔法を体系化して学問としたのが「魔術」となります。ちなみに人間も気素を扱うことができない訳ではなく、「火を熾す」ことが人間ができる気素の使用方法です。
気素を使って魔法や魔術をロンド大陸で初めて扱ったのが、アシピオスと同時代の人物とされるメギス・アルケーノスです。前者がテオス教の創始者なら、メギスは魔法・魔術の創始者と言えるでしょう。彼の元ネタは伝説上の人物とされるトリスメギストスであり、大学時代に「ヘルメス文書」を扱った本を読んだことがきっかけで思いつきました。メギスは『啓蒙』という書を遺し、魔法や魔術の使い方を魔術師や魔女たちに伝えました。
騎士
『ドラグーン』を語る上で外せないのが騎士なので、ここで別枠を設けさせていただきました。騎士というと中世期のヨーロッパというイメージが強いかと思いますが、ここで登場する騎士の装備は中世末期~近世初期をイメージしています。近世というと携帯式の銃が登場する時代でもありますが、同時にフルプレートアーマーが登場し、今日でイメージされる「騎士」の姿が出来上がった時代でもありました。
貴族・領主としての騎士
『ドラグーン』における騎士たちは貴族階級であると共に、「国家の守護」を義務づけられた人たちでもあります。規模こそ違いますがそれぞれの領地を統治する領主でもあると共に、その国の君主に仕える存在でもあるのです。大抵の場合貴族ということもあり、家督を継ぐと同時に騎士になる者が多いですが、中には貴族ではない、平民や傭兵の身分から叙任を受けて騎士となった者もいます。多くは男子がなることとなっていますが、ごく稀に女子が騎士となる事例も過去に存在していたり……。
騎士道
騎士道というと、中世期のヨーロッパにおける騎士道物語や勇敢・誠実・実直を掲げる信条としてのイメージが強いですが、『ドラグーン』でもそれは存在します。教育を受ける過程で大陸では英雄として知られる過去の騎士たちの話を聞き、彼らに恥じない騎士になることが目指されるのです。もちろん人それぞれではあり、真逆と言える行為を行う「強盗騎士」や、一定の範囲を治める武装勢力からなる「ガベロット」と呼ばれる騎士もいます。このせいもあり、地域や国単位で治安に差があるのも特徴です。この騎士道は『ドラグーン』のテーマの1つにもなっており、「騎士道とは何か」をこの作品を通じて伝えていきたいと考えています。
傭兵
騎士と共に戦場を彩る存在が傭兵です。割合としては騎士よりも多く、傭兵で戦力を担う国もロンド大陸には存在しています。個人で傭兵をしている者、小規模な傭兵団を形成して戦争に参加する者、少数の部族まるごと傭兵となる者など、様々なルーツを持つ集団でもあります。
彼らは騎士たちと違い、基本的に報酬目当てということもあって粗暴な者も多く、戦争に乗じて略奪行為を行う者もいますが、中には騎士道とまではいかずとも悪辣ながら戦士としての誇りを持つ者も存在します(この傾向は部族単位で傭兵となった者に多い)。実力的に騎士たちからは劣っているとみなされがちですが、中には騎士と互角に戦う実力者もおり、結局のところ一番実力差が大きいのがこの傭兵です。
終わりに
今回は『ドラグーン』を書くようになったきっかけと、簡単ではありますが作品設定を明かさせていただきました。実はまだまだ明かしていない設定もあります笑
私は歴史学を大学時代に専攻し、大学院へ行っていたこともありますが、今となってはそこで学んだことを一番活かせている作品の1つと言えます。自作品の語りになってはしまいましたが、これを読んで興味を持った方は、是非読んでいただけると幸いです。
作品URL: https://novelup.plus/my/story/937017162/list


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