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トランプ大統領、「戦争を終わらせる」公約翻し7カ国を攻撃 イラン開戦は「疑惑逃れ」の目くらましか #エキスパートトピ

米外交・安全保障専門誌「ディプロマット」東京特派員
2026年2月28日、米国とイスラエルがイランへの攻撃を開始した日に、米ワシントンD.C.の司法省ビルの外に掲げられたドナルド・トランプ米大統領のバナー。写真:ロイター/アフロ

2024年の大統領選で「戦争を終わらせる」と訴えたドナルド・トランプ大統領は、再就任から1年余りでソマリア、イラク、イエメン、イラン、シリア、ナイジェリア、ベネズエラの計7カ国へ軍事攻撃を命じた。「軍事不介入」を掲げながら戦火を広げる変節は、国際秩序を崩壊の危機に陥れている。とりわけ今回の対イラン軍事攻撃は、確固たる出口戦略なき「無謀なギャンブル」であり、中東地域や世界経済を未曾有のリスクに晒している。さらに、国内で不祥事や関税政策を巡る論争が続く中での開戦だけに、その政治的意図を疑問視する声も出ている。

ココがポイント

アメリカ国内では報復テロなどへの警戒も高まっていて、どう出口戦略を描くのか対応を迫られています。
出典:日テレNEWS NNN 2026/3/1(日)

トランプ大統領 イラン攻撃の複数の「出口戦略」を示す 「長期化させて全てを掌握することも2、3日で終結させることも可能」
出典:TBS NEWS DIG Powered by JNN 2026/3/1(日)

2024年大統領選で「戦争を終わらせる」と公約したにもかかわらず、就任後1年余りで7カ国に軍事攻撃を命じてきたと指摘。
出典:高橋浩祐 2026/2/28(土)

the strikes function as a classic “diversionary war”
出典:the Guardian 2026/2/28(土)

エキスパートの補足・見解

2024年大統領選で「戦争を終わらせる」と訴えたトランプ氏だが、就任後の軍事介入は公約と大きく乖離している。ソマリア、イラク、イエメン、イランへの攻撃、さらにシリア空爆、ナイジェリアでの対イスラム国攻撃、ベネズエラでのマドゥロ大統領拘束作戦と、対象は7カ国に拡大。「戦争終結」どころか、新たな戦火の連鎖を生んでいる。

とりわけ今回のイラン攻撃は無謀さが際立つ。昨年6月に核計画を「完全に破壊した」と宣言しながら再び大規模爆撃に踏み切り、深夜の動画で「差し迫った脅威」と主張するのみで具体的な戦略や終結像は示されていない。議会承認も欠いたままだ。国際的支持も十分とは言い難く、「政権打倒」という曖昧な目標は報復と地域不安定化を招きかねない。

さらに、ジェフリー・エプスタインの関連文書をめぐる自身を巻き込むスキャンダルが再燃し、関税政策で内外の反発が広がる中で軍事行動が拡大している点も看過できない。国内批判をかき消そうとする「ディバージョナリー・ウォー(目くらましの戦争)」との疑念は拭えない。トランプ氏によるむき出しの力の行使は戦後の国際秩序を壊し、原油高や海上輸送の混乱を通じて世界経済にも深刻な影響を及ぼす恐れがある。

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米外交・安全保障専門誌「ディプロマット」東京特派員

「日本から世界へ」をモットーに対外発信に注力。英軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」前東京特派員。令和元年度内閣府主催「世界青年の船」日本ナショナルリーダー。米ボルチモア市民栄誉賞受賞。ハフポスト日本版元編集長。元日経CNBCコメンテーター。1993年慶応大学経済学部卒、2004年米コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクールとSIPA(国際公共政策大学院)を修了。朝日新聞やアジアタイムズ、ブルームバーグで記者を務める。Naval NewsやNK News、Nikkei Asia、世界の観船、軍事研究、東洋経済、週刊文春、英紙ガーディアン、ストレーツ・タイムズ等に記事掲載。

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