昔のコンクリートは基本人力により施工がなされました。水の量を極力抑えた硬いコンクリートを多くの人の手で丁寧に締め固め、密実なコンクリートを造り上げました。一方、戦後を経て高度経済成長期に入ると、圧倒的に不足するインフラを速く、安く、大量に整備し、経済大国として欧米に追い付くことが優先されるようになりました。
建設現場では急速に機械化が進み、これに合わせてコンクリートも機械施工しやすいものへと変わりました。たとえば、工場から現場に到着した生コンクリートを、コンクリートポンプ車を使って、迅速に現場内で運搬できるよう、水を多く使ったやわらかいコンクリートが使われるようになりました。その結果、以前のものに比べてコンクリート構造物の耐久性が低下したと言われています。
高度経済成長期は夢中でインフラを造った時代と言えますが、今は人口減少・少子高齢化が急速に進む世の中です。それなのに、コンクリート構造物の造り方は高度経済成長期とあまり変わっていません。いつまでも同じ方法で構造物を造り続けていたら、数十年後また早期に劣化するものが大量に発生し、いくらメンテナンスをしても追いつかなくなることが容易に想像されます。
新たなインフラはあらかじめ長持ちするように造り、今あるインフラは適切なメンテナンスにより延命化を図るという両者が機能して初めて健全で持続可能なインフラが実現するのです。時代の転換期にあたり、後世に負の遺産を引き継がないよう、今の時代に合ったコンクリート構造物の造り方を考え直す時期に来ています。新たに造るインフラを長持ちさせるための工夫について、私が関わってきた実例を交えてお話しします。
さらに、「日本はこのまま崩れ去ってしまうのか…意外と気づかない「インフラ危機」本当の実態」」では、いま大問題として迫っているインフラ老朽化問題をひきつづき見ていく。
本記事の引用元『日本のインフラ危機』では、この国のインフラはどのような状態にあり、インフラはどう劣化し、どうすれば解決できるのか……ゼロからわかりやすく解説している。