【ワシントン=塩原永久】米メディアによると、米連邦最高裁は20日、トランプ米大統領が発動した「相互関税」などの合法性を争った訴訟で、関税発動は大統領権限を逸脱しており、違法だとする判断を示した。差し止めを求めた原告の主張を認めた1、2審を支持し、政府の敗訴が確定する。高関税政策を重視するトランプ氏の政権運営には打撃となる。
相互関税などが違法とされたことで、今後、すでに輸入事業者が米当局に支払い済みの関税について、返還を求める動きが広がる公算が大きい。
最高裁の9人の判事のうち、違法との判断に6人が賛成し、3人が反対した。
訴訟の対象となったのは、米政権が世界各国に課した相互関税や、合成麻薬フェンタニルを巡って中国やメキシコ、カナダに発動した追加関税など。いずれも政権は、大統領が緊急事態を宣言することで、外国との取引を「規制」できると定めている国際緊急経済権限法(IEEPA)を法的根拠に挙げていた。
米憲法は関税を課す権限が議会にあると規定している。例外的にIEEPAを根拠として大統領が関税を発動できると解釈できるかが争われた。
昨年5月の1審判決は大統領の関税発動の権限を否定。8月の2審も違法との判断を維持した。
相互関税を巡っては、米国内の輸入業者や一部の州政府が昨年4月に提訴していた。
米政権が自動車や鉄鋼などに課した分野別の関税措置は、相互関税とは異なる通商関連法を根拠としており、最高裁の無効判断の対象外となる。
トランプ氏は、貿易相手国に圧力をかける手段として関税措置を重視しており、今後はIEEPAとは別の法的根拠を用いて、高関税政策を維持する考えを示している。