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花は開きて実を結ぶ/Novel by 翠雨@TRPG楽しい

花は開きて実を結ぶ

29,221 character(s)58 mins

 ホロアタ時空の後のFGO設定です。オメガバースのくせにおせっせしてません、すみません。とにかく懐深くてイケメンで男前でスパダリな槍が書きたくて書きました。あと仲良い五次メンも書きたかった(願望)。オメガバースは独自設定があります。基本的に槍視点です。いつか弓視点とおせっせしてるとこ書くかもしれない。でも私にエロは期待しないでくれ頼む!!!!

 なんとなくですが、ランサーはアーチャーの生き方を理解することはしないし、そこから救おうともしないような気がするのですが、いったん本気で愛してしまいさえすればアーチャーがアラヤのものであるのは耐え切れずにいずれ奪いに行くような気がします。そんでもってアーチャーをアラヤから解き放った後に「じゃあ、もう好きにしろ」とかいってアーチャーをなんの惜しげもなく手放そうとするわけです。彼は惚れた男がアラヤに縛り付けられていたのが気に食わなかったわけで、彼がほしいのはアーチャーの心なわけですから強いて座にいさせる理由はないんですね。ポカンと口あけて呆然としてる弓に「俺が望んだのは、お前が世界のものでなくなることだ。俺はお前を世界から奪った。だから、また世界の奴隷に逆戻りすること以外なら、お前の好きにするがいいさ」とか言っちゃうわけです。惚れる。カッコいい。マジヤバイ。抱いて!(弓を)
 で、アーチャーはわけ分からずに「なんで、どうして君はそこまで私に……っ」と息を詰まらせてランサーの一種献身的とも言える愛を不思議に思うわけです。もうなに言ってんのアーチャーのバカ、そんなのお前がお前でありつづけるからだろ!ってなわけですがそこでランサーは不敵に笑っていとおしそうに目を細めながら囁くわけです。「なんでってそりゃ、お前を愛してるからだ。それ以外に理由がいるのか」とかあのイケボで言っちゃうわけですね。はい、アーチャー泣きます。アーチャーの泣き顔性癖。そしてアーチャー堪えきれずランサーに抱きつきます。当然抱きしめ返してランサーは「俺とともに在りたいって解釈で、いいのか」って優しく問いかけます。アーチャーもはや言葉も口に出来ずこくこくと頷いてランサーが幸せそうに笑ってハッピーエンドです。以上。槍弓と凜と士郎とセイバーとかとにかく五次の皆が笑ってれば満足な人生だった。えみごマジでありがたい。公式で仲良しな槍弓が見れるとは思ってなかった。ありがたい。

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「私は晴れの日が嫌いだった」
 いつの日だったか、アーチャーはなにを血迷ったか己が宿敵であったランサーに、そう零したことがあった。目の前に広がっている雲ひとつない青空が、あまりにも広大で、あまりにも美しくて。そんなことを思うあたり、より正確に言うならば苦手であった、と言うべきなのか。おそらく嫌いではない。だが多分、己は日の光に罪悪感のようなものすら覚えていた。
 その日はきっと、風が心地よかった日だった気がする。隣でアーチャーの作った酒のつまみを頬張りながら、かの大英雄は珍しくほどいて背中に流していた青く美しい髪をなびかせていたのだ。光に照らされキラキラと輝いていたそれを、鮮明に覚えている。己のような薄汚れた守護者風情が容易に触れてはならないと、そう心底思わされるような光景だった。
「今はどうなんだ?」
 ランサーは酒を口にしながらそう問いかけてきた。アーチャーの言いようが過去形であると察したからなのだろう。それにアーチャーは、曖昧な表情を返すことしか出来なかった。
「……よく、わからないんだ」
 だが少なくとも、とアーチャーは自嘲的に付け加える。
「私のような者に、日の光はあまり似合わないだろう」
「……」
 その言葉をどう受け取ったのかは分からない。けれどランサーは、美麗な顔立ちを僅かに顰めていた。夕焼けのように赤い瞳に宿るのは、苛立ちだろうか。ランサーは態度に出しこそすれ、何も言わなかった。何も言わなかったが、つまみの追加を要求してきた。まるでお前はこの場に必要なのだとでもいうように。
 やれやれと条件反射的に嫌味な風で肩を竦めつつその場を後にしようとしたアーチャーに、ふいにランサーは呟くように言った。
「俺は悪くねえと思うがね。お前さんと空の青は」
 瞠目したアーチャーが何か言う前に、こちらを肩越しに振り返ったランサーは、思いの外優しげに笑っていた。それに、見惚れた。
「青空に、お前さんの赤はよく映える」
「……っ」
 紛れもなく本心から発せられたのだろうそれに、腹の底から込み上げてきた感情を、アーチャーはとっさに見てみぬふりをした。それを認めてしまえば、己の中のなにかが崩壊すると、本能が知らせた。
 ――ああ、ランサー、君は。
 その先の言葉を飲み込んで、アーチャーは台所に踵を返したのだ。そう、逃れられない運命から、目を背けるように。


花は開きて実を結ぶ




「エミヤ君、エミヤ君、大丈夫かい?」
 ブーディカに問いかけられて、アーチャーはハッと顔を上げた。どうやら少しボーっとしていたらしい、心配そうにブーディカに顔を覗かれていた。昼餉の片づけを黙々とこなしていた手を止めて、アーチャーは安心させるように笑い返す。
「ああ、すまない、ブーディカ。すこしぼんやりしていたようだ」
「今朝からずっとその調子じゃない。疲れが溜まってるんだよきっと」
「今朝から……そう、だったか?」
「そうだったよ。最初は気のせいかと思ったけど、昼になっても調子悪そうにしてるなんて、間違いなく疲れてるんだよ。休んだほうがいい」
 捲くし立てるようにそう言われて、アーチャーはふと今日一日を振り返ってみる。確かに起床した時からなんとなく身体のだるさは覚えていたし、少なくとも調子はよくないのだろう。だからといって休むほどのこととも基本的に仕事人間であるアーチャーには思えなかった。
 ゆえに、アーチャーはかぶりを振った。
「いいや、休むほどのことではなかろう。気にすることはない」
「あ、またそういうことを言うんだな、エミヤ君。君はもう少し人に頼ることを覚えたほうがいいと思うけどね。後は私たちでもなんとかなるんだから……」
「そう、だな」
 なんだかんだ人がいいアーチャーは、ブーディカの親切を撥ね退けるのもなと少し迷い始める。実際、身体がだるいことは確かなのだ、自室で休むのもサーヴァントとしての仕事の内だろう。そこまで考えて、アーチャーは折衷案を出した。
「では、私はこの後夕餉の仕込みをしたら今日はもう食堂の担当ではないし、休むのはそれからにさせてもらおう。片付けと仕込みだけはさせてもらえないか」
「んー、まあ、そういうことなら。具合が悪くなったらすぐに言うんだよ?」
「ああ、もちろんだとも。ありがとう」
 こうして一件落着して、アーチャーとブーディカは皿洗いを再開しながら話の話題は世間話やレイシフトなどから二転三転し、ふとブーディカは何かを思い出したように、あ、と呟く。
「そういえば、キャットがさっき話してたんだけど」
「なにかね?」
「うん。それが、食堂、しかもキッチン付近でΩのフェロモンらしき匂いがしたって言っててさ。こんなところでヒートになったら目も当てられないし、気をつけないとって話してたんだよ」
「なに?」
 アーチャーの返答に若干の驚きが混じる。
 アーチャー自身のもつ知識によると、第二の性が発見されたのは中世の欧州が最初だったらしい。それが世界に広がっていき、人々は男女だけでなくα、β、Ωに分類されることとなった。それは人理焼却をかろうじて免れたカルデアも例外ではなく、カルデアは呼び出される確実にαだらけであろう英霊に対するΩ防御策に一時期腐心することになった。とはいえ世界の天才が結集しているこのカルデアにΩ自体は少なく、デミ・サーヴァントであるマシュと、女性職員と男性職員それぞれ二人ずつの計五名にとどまっていたことは幸いであったと言うべきだろう。人間のΩなど、英霊に抱き殺されるに決まっているのだから。その内二人の職員はもうすでに契りを交わしているので、気をつけるべきは三人ということになる。
 そこで、このカルデアでは一定のルールを敷いていた。Ωは予定日が近くなれば基本的にΩ専用の個室と限られた場所以外は移動しない、というものだ。食事時の食堂でヒートになるなどと、あまりにもぞっとしない話だ。最悪集団レイプが始まるか、英霊同士の血で血を洗う争いに発展しかねない。ヒートによる混乱防止はかなり深刻な問題と言えた。
 つまり何が言いたいかというと、本来ならΩのフェロモンなど食堂で感じ取られてはならない、ということなのだが。
「多分職員の人も無自覚だったんだろうね。体調によっては予定が早まるって話も聞いたことあるし、まあそれを含めてもね」
「なるほど。幸い私はΩのフェロモンの影響をあまり受けないβなのだし、気を遣うことにしよう」
「そうだね、よろしく頼むよ。こればっかりは私にもどうにも出来ないからね」
 夕餉の仕込みを行いながら苦笑したブーディカは、もちろんαだった。むしろ英霊でαでないことのほうが稀なのだ。なるほど才能のろくにない修練によって練り上げられた腕のアーチャーがβであることはそれほど不可思議なことではなかった。
 自嘲ともつかぬ考えをめぐらせながら追加の皿を洗おうと振り返ると、ちょうど目の前の棚に皿が置かれる。
「よお弓兵、美味かったぜ、ご馳走さん」
 いかにもご機嫌そうににかっと笑ったのは、ランサーのクー・フーリンだった。四日間の記憶をなぜか引き継いでいるためかつての無条件な反発は湧くこともなく、皿を手に取りつつアーチャーは素直に賛辞を受け取った。むしろ手にした皿がピカピカに完食されているのを見て嬉しくなったほどだった。
「うむ、お粗末様だったな。たしかこれからレイシフトだったか」
「おう。猪狩ってくるから牡丹鍋頼む。酒の肴でもいいが」
「了解した。せいぜい大物を取ってくることだ」
「ったりめえだろ!」
 狩りは得意中の得意だぜ、と腕を組んだランサーは獰猛に笑う。
 そのギラついた赤い瞳に、突然アーチャーの鼓動がドクンと跳ね上がった。
「――――?」
 心なしか体温が上昇するような感覚を覚えて、アーチャーは首をかしげながら皿を水に浸そうとランサーに背を向けた、その時だった。
 アーチャーは、己の身体が引っくり返るような変化に蝕まれたのを、直感的に悟った。そうして不味いと頭の中で警鐘が鳴り響く。指が震えたせいで取り落とした皿が落下して派手に割れる音すらも耳に遠い。
「……エミヤくん!?」
 その声はブーディカだろうか。ああ、すまない、とアーチャーは声もなく謝罪をしていた。彼女の忠告を聞いてさっさと部屋に戻っていればよかったのに、己が変な意地を張ったがために。状況は全く分からないが、己がこれからかける迷惑についてはなぜか察しがついてしまった。
 反転する視界。気付けば、その場に倒れこんでいた。霞む思考に、霞む視界。アーチャーの鋼色の瞳に最後に映ったのは、青い色の、こちらを射すくめる赤い目だった。


Comments

  • わんわんお
    April 25, 2024
  • October 1, 2023
  • p13
    May 19, 2023
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