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【オマケ本再録①】犬と運動場/Novel by イヌダ

【オマケ本再録①】犬と運動場

3,233 character(s)6 mins

広義ですが槍弓タグをお借りしてます。カップル要素は少なくエミヤが犬と遊んでるだけです。
去年出した犬とわたしのオマケ本の再録です。二本立ての全年齢のほうです。自宅待機の暇つぶしになれば幸いです。

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【犬と運動場】

 カルデアは閉鎖空間だ。運動場はあれど活動的な者には少々物足らない。職員に協力してもらってレイシフトしては外の空気を楽しんでいた。だがそれは言葉が話せて意思疎通が出来る英霊に限られる。

 では動物は?

「彼らが運動不足にならないのか心配なので、このような場所を用意してみた」
 そう言って、エミヤはキャスターとランサーに自らが作った犬用運動場を披露した。
 カルデアには余るどころか計測不能なほど部屋がある。それを三つほど潰して連結し50メートル走が出来るほどの大きな部屋に改造されていた。床は人口芝生で作られており、周りには滑り台、階段、ジャンプバー、吊りボール、他が設置されている。人と動物が一緒に乗れるほど大きいブランコも設置されている。
 また、運動後に休めるような休憩所も用意されていた。前足で踏むと水が噴き出す給水器があり、動物と飼い主が共にくつろげるように寝転べるほど大きい低めのソファが設置されている。
 室内の飾り付けも抜かりがない。北斎に協力してもらって壁には森林とそこに住む狼や熊やリスなど野生動物が可愛らしいシルエットで描かれている。
 動物と飼い主が共に楽しめる動物用テーマパークのお手本のような運動場となっていた。
「どうだろうか?」(褒めて欲しいドヤ顔)
「おう、すげぇな……(二匹のためにここまでやるか?いや、こういうヤツだった)」
「こりゃ凝ってんな……(運動不足って使い魔だからな?完全に忘れてるよな?)」
 ドヤ顔で運動場の説明をするエミヤに二人はドン引きした。
「……こういうとこホンンッとに馬鹿で可愛いよな」
「……馬鹿愛いいって言うらしいぜ」
 呆れ半分、可愛さ半分、な感想を小さな声でこぼす。
「何か言ったかね?」
 イキイキとした笑顔を見せるエミヤに、二人は「いいや」「何でもないさね」と首を振った。エミヤの笑顔は貴重なのだ。余計なことを言って曇らせることもない。
 いささかやり過ぎな感もしないではないが、自分の使い魔のためにここまでしてくれたのは有り難い。
(そのヤル気をもう少しオレ達へ回して欲しいけどよ)
そう思いながらキャスターは二匹を呼び出した。
「とにかく、こいつらに遊ばせてみようや」
「うむ、そうだな」
 エミヤはまず二匹をはジャンプバーへ連れて行った。木で出来たハードルが配置されており、走って飛び越えて遊ぶ仕様となっていた。
「さあ飛んでみたまえ」
 そうエミヤは言ったが、マハとセングレンは首を傾げて尻尾を揺らすのみ。不思議そうな顔をしてエミヤを見上げている。
「む……、興味ないかね?」
「こいつらは現代の遊具なんぞ知らんからな」
「お前が遊び方を教えてやれ」
「なるほど、任せたまえ」
 エミヤはジャンプバーから少し離れた場所から助走し、ひらりとバーを飛び越えた。そうして後を振り返り、「マハ!セングレン!」と呼びかけた。
 意図を察した二匹はエミヤと同じように助走をして軽がるとバーを飛び越えてエミヤを追い抜かす。その先のバーまで軽々と飛び越えて、エミヤを振り向いて尻尾を揺らした。追いかけて欲しいような仕草だ。
「いいだろう」
 エミヤはバーをジャンプしながらワンコさん達を追いかけた。しがない守護者といえど一応英霊、動物にひけを取るわけにはいかない。バーを軽々と飛び超え二匹に追いつき、追い越した。すると今度は二匹がエミヤを追いかける。エミヤは初めのバーまで走り再び飛ぶ。それをまた二匹が追いかける。人と犬は追い抜き追い越しを繰り返していた。
 エミヤはまるで子供のように二匹と戯れている。その顔にはいつもの皮肉な表情は見えず、柔らかな笑みを浮かべていた。マスターや子供、そして犬達によく見せる表情だ。そういう表情をもっと自分達に見せろと言いたい。クー・フーリン達は微笑ましいと思うと同時に微妙な気分にさせられた。
「無邪気な顔してやがる……」
「犬より自分が楽しんでるよな」
「作った時は自分が楽しむつもりはなかっただろうけどよ」
「だろうな。あいつは『犬達が遊んでくれてる』と思ってる。『犬達が一緒に遊びたい』なんて露ほども考えちゃいないだろうよ」
「だよなぁ……」
 傍目からみるとどちらも変わらない。だが犬と人との一般的な認識とは徹底的にずれている。
『犬達はエミヤが遊んでくれて嬉しい』
『エミヤは犬達が遊んでくれて嬉しい』
 両想いではある。
 だがここで問題なのは、エミヤは犬達に自分が好かれているという自覚がないことだ。
 エサやオヤツを与えるし、主人の情人なので、そのお零れで好意的に思われてるだけと思っている。個人的に好かれているとはつゆほども考えていない。
 そもそも、犬という生き物は無条件で飼い主を愛す。家族を愛す。序列はつけても、家族を、人という種を愛する生き物なのだ。その当たりを全然分かっていない。とっくに犬達に愛されてるのだから、いちいちオレ達に伺いをたてずにもっと犬達を構えば良い。そうクー・フーリン達は考えていた。
「おいおい教え込むしかねぇよな」
「だな」
 エミヤが犬達に笑顔を見せるのは、彼らの愛情表現が『エミヤ大好き!』と大っぴらで惜しみないためだろう。好かれている自覚のないエミヤでも素直に受け入れられるようだ。いずれは自分達からの情愛も素直に受け入れてくれないものかとクー・フーリン両名は思っている。それには時間が必要だと分かっていた。今回の現界は長引いている。それまで間に合えば僥倖、間に合わなくても構わない。エミヤがどうあれ自分達の行動に変わりは無いからだ。
 報われなくても、愛されなくても、献身を続ける彼らのように。
 少し彼らの真似をしてみようかと、クー・フーリン達は二匹と合流した。

 一通りの遊具を試し終えると、マハとセングレンは疲れたとゴロンと転がって休憩した。遊び方さえ教えてもらえば、途中からは自分達だけでも遊び始めた。
「気に入ってもらえたようで何よりだ」
 二匹の様子にエミヤは満足気である。
「なぁ、オレ達も運動場に行こうぜ」
「これからかね?これだけワンコさん達と遊んでも物足らないとは、さすが古代人は体力が無駄に余っていると見える。私は遠慮しておこう」
 そう踵を返すエミヤの肩を、ランサーとキャスターはガシリと掴んだ。
「オレ達だけじゃ面子が足りねぇ」
「ま、付き合えや」
 二人のニヤリと笑う顔に嫌な予感しかしない。
「……どこへ行くのだね」
「主に夜運動する場所だな」
「大人向け夜の運動場さね」
「……」
 それの意味するところは一つしかない。
「残念ながらこれから夕食の仕込だ。謹んでお断りさせて頂こう。君達だけで楽しんできてくれたまえ」
 そう言って逃れようとしたが両肩を掴む力が強まっただけだった。
「お前さんが当番じゃないのは知ってるぜ?」
「分かってて言ったら絞めんぞ?気色悪ぃ……」
 クー・フーリン達は笑顔でワンコさん達と戯れるエミをずっと眺めていた。犬達に笑いかけながら、珍しくクー・フーリン達にまで笑顔を向けるのだ。ニコニコと笑う弓兵は可愛い。第二再臨姿で汗をかくエミヤはエロい。これを見て滾らなければ男じゃ無い。
 共に遊んで良い汗をかきながらも、御子達は別の場所がムラムラと溜まってしかたなかった。これを解消しないことには快眠などできやしない。いやしてたまるか。これの責任は本人にとってもらうしかない。

「「さ、行くぜ。アーチャー?」」

 顔面宝具に微笑まれて両脇を固められてしまった。エミヤに逃れる術は無い。
「何でさ……」
 お決まり文句を呟き大人しく連行(?)されていくエミヤだった。
 その姿を犬達は『またかよ』と呆れながら見送った。


 後日、この運動場は他の者にも紹介され、動物系サーヴァントや子供達の憩いの場になったそうだ。

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