【(槍+術)×弓】犬とわたし3
突然ですいませんが三人カップルです。キャス弓が好きで犬シリーズを読んで頂いてたらすいません。私は基本的に槍&術→弓で書いてます。両方でる時は三人CP表記、片方しか出ない場合のみ槍弓かキャス弓とタグつけてます。
私的解釈では、弓さんはどちらかと懇ろな関係になったらもう片方も気になると思う。だって自分の情人の数年後や数年前が目の前にいたら気になりますよね?顔も体もニオイ(多分)も一緒なんですよ?一度身内にいれたらだだ甘くなる弓ですよ?好意がだだ漏れになると思いません?それに御子さんも触発されるでしょ!つかどっちかが付き合ってたら興味わくでしょ!全くないとは言わせないよ!根っこが同一人物なんだから!運命なんて言っちゃってるんだし!
という訳で、完全にどちらか一方のみというカップリングは私の解釈違いになってしまいます。何より御子ズで弓を愛でるのが好き。突然に三人カップルがはじまってしまう時がありますがそういう訳なんで許して下さい。いつかガッツリ三つ巴の話も書いてみたい。幸運値Eの番外でもやりたい。
あと今回「御子弓」という新しいタグをつけてみました。これはツイッターで「三人カップル専用タグ欲しいですね」「御子ズ弓や御子弓サンドとかかな?」「御子なら凶王と区別できますね」「シンプルに御子弓で分りそう」などなどと話してて出来たタグです。広まるかどうかは置いといて、『専用タグが欲しい!』という願いを込めて思い切って付けてみます。他にいいのがあればいいんですけどねぇ。「新参者が何生意気言ってやがんだゴラァ!」とか怒らないで下さいね……どきどき……
これから原稿に集中しますんで暫く更新ないです。無事に新刊出るよう祈ってて下さい。毎度ながらギリギリです。
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「アーチャー!酒のつまみ頼むわ」
「オレとこいつで二人分な」
二人のクー・フーリンは遠慮会釈なしに酒の肴を強請ってくる。これから二人で酒盛りをするのだろう、その手には日本酒の一升瓶と焼酎に紹興酒まで握られている。またイカサマ賭博で巻き上げたのかもしれない。いつかバレるぞと忠告しても一向に改めない二人なのだ。
「……暫し待て」
アーチャー・エミヤはカウンターから顔を出す二人に冷たい一瞥をくれただけで特に何も言わない。一度痛い目を見ればいいと思っているからだ。
(あのラインナップなら濃い味付けのものが良いな)
冷蔵庫の在庫を見ながらメニューを考える。
酒好きの英霊は多く、酒宴を開く度に酒の肴を頼まれる。冷蔵庫の半端な食材を片付ける程度のツマミで良ければタダで引き受けることにしていた。豪華な本格的な酒の肴を所望なら別料金(QPや珍しい食材等との交換)である。調子に乗る輩が増えたのでマスターが定めたルールだ。
『それじゃエミヤ全然休めないじゃん。皆はエミヤに甘えすぎ!エミヤも甘やかしすぎ!』
とのことだ。
私は休まなくても全然構わないのだが、このルールのおかげで食材が手に入りやすくなったのは有り難い。さすが私のマスターだと密かに感心した。
(残りものの菜の花のお浸しがあるので鰹節をまぶして醤油を垂らせばいいだろう。あと捌いた魚の骨と皮に塩を振り冷凍したのがまだあったな。素揚げして塩を振ってやろう。あの二人なら肉が欲しいと言い出しそうだ。ならば半端に余っていた肉類を細切りにしてエノキと炒めてやるか。三種類もあれば十分だろう)
在庫と相談の末に決めたメニューを15分程度で作り上げる。野菜・魚・肉とバランスの良い、そのくせ酒飲好きの好みどんぴしゃなメニューは飲兵衛に好評だ。彼らは夜の厨房のことを「居酒屋エミヤ」とこっそり呼んでいた。
「ほら、持っていけ」
お盆に三皿乗せて差し出すと、「美味そうだな!」「ありがとよ!」と弾んだ声が返ってくる。
「あまり飲みすぎるなよ」
「ならお前も来いよ」
「一緒に飲んで見張ればいい」
少しばかり色を乗せた目線と口調で誘われたがエミヤは動じずキッパリと首を振った。
「遠慮しておこう。貴様ら底無しと飲むなどごめん被る。我が身が可愛いのでね」
「つれねぇなぁ」
「次は付き合えよ」
二人は口ばかりの文句だけ残して笑顔で去って行った。あの調子では朝まで飲むのだろう。アジア人として標準的な肝臓を持つ私が北方系ヨーロッパ人(しかも古代人)に付き合えるはずがない。英霊でも半受肉状態では内臓に影響されるのだ。英霊となってまで二日酔いなど味わいたくない。
(それに今日はお楽しみが待っているしな)
エミヤはいそいそと手早く片付けをして自室に戻ることした。
* * *
夜中にさしかかった頃、エミヤの部屋の前に二つの気配がする。
たしたし
ドアを重く柔らかい音でノックされた。
エミヤの待ち望んでいたお客さんの到着だ。いそいそとドアを開いて出迎える。
「やあ、いらっしゃい」
ドアの前にはキャスターの使い魔であるセングレンとマハが良い子でお座りをしていた。
「さ、入りたまえ」
エミヤが招き入れると、二匹はふさりふさりと尻尾を振りながら入室した。二匹並んで振られる尻尾は大変可愛らしい。脳内のわんこさん写メフォルダを今日も更新する。
エミヤは可愛いお客さんの頭をそれぞれ撫でながら尋ねた。
「君の主人達は今も酒盛りをしているのかね」
二匹はエミヤの手に鼻を擦り付けたので正解らしい。実はこの二匹はクー・フーリン達が宴会を開く度にやってくる。キャスターに忠実な二匹は通常は主人の側を離れようとはしない。しかし、彼らが宴会を開くと煙草と酒の臭いが室内に充満して我慢できないのか、こうして避難してくるのだ。
「さあどうぞ」
エミヤはベッドに上がり、布団の上をぽんぽんと叩く。慣れたもので、マハとセングレンはひょいっとベッドに乗り上げた。二匹はエミヤを挟んでごろりと寝転がる。それぞれエミヤの腹と太ももに頭を乗せてくつろぎ体勢にはいる。
同じベッドで寝るのは犬の上下関係を混乱させる良くない行為らしいが今更だ。そもそも、クー・フーリン達の群れと私は関係ないのだから問題無いだろう。
エミヤはご満悦で犬布団に包まれた。
(両手に花だな……)
二匹の頭や背中を撫でながら深い満足感とともに大きく息をする。使い魔だというのに彼らは本物の犬そのものだ。さらさらでふわふわな毛並みはもちろんのこと、ちゃんと犬の臭いがする。生きている生き物の臭いだ。そこに僅かにハーブの香りがする。キャスターの部屋の臭いがうつったのだろう。あと僅かにクー・フーリンの臭いもする。クー・フーリン自身の魔力が元になっているからだろう。これはランサーかキャスターかどちらかではない。あの二人はクラスが違えど体臭は一緒なのだ。ハーブや煙草で若干変われども、元は同一人物なのだと感じる時がある。
(人間だった時なら加齢臭が混ざって違うかもしれんがな)
キャスターが聞いたら激怒しそうなことを思いながら、エミヤはモフモフに挟まれて幸せな気分で眠りについた。
数日後、また性懲りも無く酒を抱えた二人がやってきた。ただし、今回手にしているのは黒と青の小さな瓶二本だけだった。
「今日の釣果は冴えないようだな。とうとうイカサマがバレたか?」
エミヤが皮肉を込めて言ってやると、二人はニヤリと笑って瓶を突きつけてきた。その銘柄を見てエミヤは固まった。
『黒○ 石多屋』
『○龍 仁左衛門』
「こ、これは……」
「蔵元が限られた店にしか卸さない幻の大吟醸なんだって?」
「料理人としてはちょっとくらい味見してぇんじゃねぇか?」
「……」
二人の言う通りだ。これは限られた店にしか卸さないので一般の流通には出ない一品だ。もともとの値段が高いのと、その希少性からして、もし流通したとしたら数万円の価格で売買される。
ここの蔵元は全国に先駆けて大吟醸酒を商品化させた先駆者だ。吟醸酒の普及にも努め続けているため、和食料理人の間でも有名なのである。酒は嗜む程度しか飲まないエミヤでも味見したいと思わせる品なのだ。
「これに合う気合いの入った肴を頼むぜ」
「御代はコレを一緒に飲むでいいだろ?」
二人の言葉にエミヤは力強く頷いた。
「うむ、それに見合う肴を作らせて頂こう。楽しみにしていたまえ」
料理人エミヤに火がついた。
酒瓶は預り氷水につけておく。これは冷酒として飲むのがオススメと書かれていた。
まずは出汁をとる準備をする。普段は効率&コスト重視で市販の粒状出汁や麺つゆを使用しているが、この時とばかりに二等級の日高昆布と花かつおを取り出して出汁をとることにする。
作るものは青菜の煮浸し、茶碗蒸し、炊いてあった大根に鶏そぼろあんかけ、どれもシンプルながら出汁の良さが際立つ料理だ。あと若布と胡瓜と鰻の三杯酢和えに、魚の半端な切れ端をみりん醤油につけていた漬けを叩いて麹味噌と和えてなめろう仕立てにする。あと浅漬けをつければ十分だろう。
エミヤは手早く調理し、出来た品々を朱塗りの八寸用の盆に美しく配置していく。見事な懐石盆(量多め)が出来上がった。
「出来たぞ」
盆を二人に見せたら歓声が上がった。いつも美味しそうだが今日は更に美味しそうだ。見知らぬ品も多いが美味そうなのだけは分るのだ。何より香りがイイ。鰹の良い香りが漂ってくる。
相談した結果、煙草の臭いのしないエミヤの部屋で飲むことに決まった。
エミヤの部屋は小奇麗というよりモノが無い。備え付けのベッドと小さなテーブルだけしかない。モノが無いから散らかしようが無い部屋なのだ。
そんな何も無かった部屋に、突如として畳風の敷物と木製のちゃぶ台に座布団が三枚敷かれていた。極上の日本酒に和食なら和風の設えが良いだろうとエミヤが投影したのだ。
「……これと似たようなの坊主んとこで見たな」
「……ホンッとにこういう時だけ張り切るよな」
「何をしている。早く座りたまえ」
ちょっとドン引きしている御子ズを手招きして急かすエミヤは二人のぼやきには気付かない。二人は大人しく座布団の上に座り、エミヤにならって手を合わせた。
「「イタダキマス」」
「頂きます」
早速冷した日本酒を頂くことにした。猪口にそそがれた石多屋を口に含んだ。
「「「……」」」
三人とも無言だ。本当に美味しいものを口にしたとき、人は無言になる。これは万国共通の反応だ。
「よくわからねぇけど美味いのだけは分るわ……あと香りがいいな……」
「水みてぇにさらさらしてんのにふくよかな余韻があるな……」
「……」
クー・フーリン達が感想を言い合うのに対し、エミヤはひたすら無言だ。
「こっちの仁左衛門てのも美味いな。さっきのよりちょい出汁っぽい味がする」
「だな。旨味が多い気がすんな。熟成の仕方が違うのかね」
「あ~こりゃ和食だわ!美味い!」
「ああ、出汁の上品な香りが合う」
「……ふぅ」
ずっと無言だったエミヤが溜息をついた。
「素晴らしい……日本酒のために造られた山田錦を35%まで精米し極限まで雑味を削ぎ落としている……。低音にて熟成させたことでまろやかさなうまみが加わり、穏やかな香りに仕上がっている。極上の出汁に負けない、それでいて邪魔にならない。なんとも絶妙なバランスなのか……」
エミヤはじっと瓶を見つめながら滔々と語り始めた。
「おーおー語る語る」
「美味いもん渡すと面白いよな」
「ほら、仁左衛門も飲めよ」
「うむ」
キャスターが勧めると新たな猪口を出して仁左衛門を口に含む。また暫し黙り込んだあと、言葉があふれ出すように語りだした。
「こちらも素晴らしいな……。ふむ、斗瓶囲いか。これは昔ながらの袋吊りと呼ばれる手法で滴1滴丁寧に搾り、1斗瓶で低温熟成したものだろう。石多屋に比べると華やかな仕上がりとなっている。こちらはもう少し濃い目の出汁を使った料理とも合うな。麹を使った料理とも……」
エミヤはじっくりと両瓶を眺めながらブツブツ言っている。料理オタクなエミヤは酒を飲むよりを使った料理とその合せ方に興味があるのだろう。ちびちびと猪口を傾けながら肴をつつき酒との相性を確認している。
(ほんっとにガキみてぇ)
ランサーはエミヤの様子を、呆れ少々、微笑ましさ少々、愛しさ大半で眺めていた。
いつも誰かのために働きつづけ顰めッ面を崩さないあのエミヤが、武器と料理に関することだけは子供のように夢中になるのだ。ふんふんと頷いたり首を傾げたりを繰り返している様は随分と幼く見える。普段との落差が激しく余計にかわいらしいのだ。そんな風に見られているなど本人は全く気付かずにいる。そこがまたかわいらしいのだ。
(我ながら目がどうかしてるぜ)
自分を嘲笑いながら猪口を傾ける。ふと視先を感じて横を見ると、自分と同じ顔がにやけ面でこちらを見ていた。
「随分脂下がった顔してやがる」
「鏡見てこいや、テメェも同じさね」
「分ってるって」
含み笑いを崩さぬままキャスターはランサーに酒を注いだ。
「今回の戦利品は当たりだったな」
「ああ、余程いい酒だったらしいな。まだ夢中だぜ。どこで手に入れた?」
「某マンションでな」
「隠す気ねぇだろ」
ランサーに笑われながら酒を注がれた。
キャスターはカルデア内で堂々とイカサマ賭博をするときもあれば、ふらりと消えては珍しい酒や嗜好品を手に入れてくる。
この酒はとあるマンションの縁で手に入れた。小瓶の高級酒などキャスターの好みではない。実際飲んでみたら美味いと思うが綺麗すぎる。自分はもっと癖のある余韻のある酒が好みだ。だがアイツなら好きだろうとつい選んでしまった。
(オレが男に貢ぐ日が来るとはねぇ)
自分を嘲笑いながら猪口を傾けた。
「何を笑っているのかね」
ようやく満足したのか瓶を手放したエミヤがこちらを向いた。鉛色の瞳に二人が映る。
「お前さんの酒解説を聞いてたのさ」
「今日のツマミの解説もしてくれよ」
「む、それはすまない」
弓兵の料理解説に質問を挟みつつ穏やかに言葉を交わしながら飲む。
普段は二人かケルト勢と飲むことが多く、こうして三人で飲むことは少ない。
酒はいい。飲んで陽気になってお互い馬鹿をするのが楽しい。ケルト勢とはそういう楽しみ方をする。
弓兵と三人で飲むときは、ぽつりぽつりと言葉少なく肴を楽しみながら酒盃を交わす。
剣と槍の切っ先でしか見えないものもあれば、静かな時間のなかでしか見えないものもある。お互い不思議な縁に結ばれて何度も邂逅したが、こういう時間を過ごしたことは少ない。
とはいえ、この稀有な時間をずっと楽しんでいたい気もするが、もう少し熱い時間の方が好みである。
酒はなくなり、肴もなくなり、鉛色の瞳が溶けはじめたら終わりの合図だ。
(頃合じゃねぇ?)
横目で見れば同じことを考えているだろうクラス違いの自分が頷いた。こういう時は話が早くていい。
「「アーチャー」」
別の愉しみのはじまりだ。
* * *
「んぅ……?」
さらさらとした感触に擦り付かれて眠りから覚めた。だがまだまだ瞼は重く起き上がる気にはなれない。肩口にあるさらさらとした感触はセングレンだろうか、腹の上にあるのはマハだろうか。撫でやすい腹部にある毛並みを撫でながら「もう少し寝かせてくれ、マハ」と声をかける。すると「はぁ?」という苛立った声がした。
「え?」
剣呑な響きにに慌てて起きると、二対の紅玉の瞳に睨みつけられた。しかも赤信号のように光っている。
(は、そうだ!昨日はわんこさん達ではないのだ!)
『酒宴=わんこさんと共寝』が癖になってて記憶が混乱していたようだ。
「すまない、マハとセングレンと間違えてしまってだな……」
「オレ達は犬と同じ扱いかよ」
「酒宴中あいつらがお前んとこ行ってるのは知ってたが、まさか一緒のベッドで寝てたとはなぁ」
「犬とはいえオレ達以外をベッドに乗せるなんざ問題じゃねぇか?」
「ああ、少々甘やかし過ぎてたのかもしれん」
「そうだな、ここらで躾し直してやらんとな」
「「なぁ、アーチャー?」」
「ひ……ぃ……」
寒気のする顔面宝具(しかもダブル)に曝されたエミヤは悲鳴を上げてベッドに沈むしかなかった……。
後日、マハとセングレンに「エミヤのベッド禁止令」が出され、男の嫉妬は見苦しいと使い魔に呆れられたそうな。
(おわっとけ)
うちのワンコは酔っ払いが大嫌いでして、私が酒飲んで絡むたびに噛まれます。先日、私が酔っ払ってカーペットに寝転がってたら私にお尻つけて寝てくれたんです。だから触っていいかなーと思って撫でたら噛まれました。酷いです!ツンデレにも程がある!!(涙)
酒は新年に行きつけの店で飲んだ酒です。漢字変えてるけど分る人にはバレバレよね。うんまかったです。