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星めぐり赤の糸・01(槍弓・キャス弓・狂王黒弓)/Novel by ちなみ

星めぐり赤の糸・01(槍弓・キャス弓・狂王黒弓)

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ハリポタパロで槍弓・キャス弓・狂王黒弓。狂王と弓が仲良しです。ぷらいべったーから、01~06まで。
ハリポタ設定はあまりいかされていなくて、寮の組み分けと魔法使いという世界観くらいで、あとはいろいろオリジナル設定が混ざっている緩い設定です。

設定
・黒弓とキャスターが同年で5年生 ……15歳
・槍と弓が同年で2年生 ……12歳
・狂王が一番下で1年生 ……11歳

・術  →レイブンクロー
・槍・弓→グリフィンドール
・狂・黒→スリザリン

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01.キャス弓出会い編


 自分より先にいたランサーは、当然といえば当然の結果でグリフィンドールに選ばれていた。
 彼ならそうだろう。

 自分の番が回ってくるまで、アーチャーはドキドキしていた。
 自分は何だろう。ここにいられるなら何でもいいけれど、でも、もしも選べるなら……

「グリフィンドール!」
 そう組み分け帽子が宣言した時は、まさか本当に、という気持ちと、うれしいという気持ちでいっぱいになった。


***


 一つ年下の、スリザリン寮のバーサーカーとはこの魔法魔術学校に来る前からの知り合いだ。
 アーチャーの兄であるエミヤ・オルタがマグルの自宅に戻ってきた時、一緒にくっついてきた少年だった。
 見たこともないような美しい少年で、顔に紅い刺青のような痕がある。それもまた少年にはとても似合っていた。
 兄が帰省した時に鬱陶しそうによく話している『クー・フーリン』の弟らしい。
 兄のオルタは以前からクー・フーリンの家に連れて行かれることがあり、今回もクー・フーリンの家に連れて行かれたそうだが、そこでこの少年になぜか懐かれたらしく、どうしてもエミヤ・オルタの家に連れて行ってほしいと言われたそうだ。
 兄はもちろん断ったし、置いて帰る気だったらしいが、気がつくとくっついてきていたらしい。
『本当にクー・フーリン共は鬱陶しくてかなわんな』
 忌々しいと言ってはいるが、兄が本気で嫌がっているわけでないことはわかっていた。
 本当に嫌な相手と、何年も一緒に過ごすはずがないのだ。
 それに、兄から聞くクー・フーリン・キャスターは随分と魅力的だった。
『君、名前は……?』
『クー・フーリン・オルタ』
 それが、クー・フーリン・オルタ……バーサーカーとの出会いだ。


 寮が別れてしまったのでずっと一緒にはいられないけれど、バーサーカーとは時間を作って会っている。今も人気の少ない禁じられた森の入口付近で、バーサーカーと会っていた。
「君、ちゃんとそちらでうまくやっているか?」
「どうでもいい」
「どうでもよくない」
「そんなことより、エミヤと会えない」
 バーサーカーのいうエミヤとは、兄のエミヤ・オルタのことだ。
 不満そうに小さく零したバーサーカーに、アーチャーが「今はちょっと、兄さんは忙しいんだ」と返したがバーサーカーは無言だ。これは結構落ち込んでいる。
 アーチャーはこっそり兄のオルタと会っていた。
『あのバカは、オレにべったりでな。オレを勝手に敵対視している奴らに目をつけられそうだから、しばらく離れるつもりだ』
 どうしてバーサーカーに会ってやらないのか。彼が寂しがっているとアーチャーは兄に訴えたのだが、そう返ってきて、納得するしかなかった。
 兄ならそうするだろうし、自分でも同じことをするだろう。
 それなら仕方ないと自分なりにバーサーカーを慰めることにした。
 自分なんかにできることなどほとんどないが、バーサーカーのことをアーチャーは友人としてとても大事にしている。スリザリンのバーサーカーと仲良くしていると、グリフィンドールの寮生から色々と陰口を叩かれたけれど、そんなものはどうでもよかった。
 大事なのはバーサーカーだ。同じ寮とかそんなのは関係ない。

「……避けられてる」
 それには答えられずに、アーチャーがバーサーカーの様子を窺うと、バーサーカーが無表情ながらもとても傷ついているのがわかったので、アーチャーの胸は痛んだ。
 自分だけは兄と会っていて、兄がどうしてバーサーカーに会わないのか知っているが、バーサーカーは知らないのだ。それは傷つくに決まっている。
 自分だったら……と考えると辛くてたまらなくなるが、アーチャーからそれを言うわけにはいかない。
「オレは何かしたのか」
 ぼそりと呟いたバーサーカーが、隣に座っていたアーチャーへと視線を移す。その紅い宝石のような瞳に感情は見えず、アーチャーはドキリとしたけれど何も言わずに黙っていた。
「えっと、あの、君は……兄さんが本当に好きなんだな」
「……ああ、そうだ」
 バーサーカーの一途さはアーチャーもよくわかっている。
 だが、兄にそれは伝わっていない。

『それは一時だけのことだ。アイツも、そしてオレもだが、世間的にまだ子供だ。心変わりはするさ』
 兄はバーサーカーのためを思って、バーサーカーを遠ざけている。
 だがおそらく、バーサーカーは変わらない気がした。
 バーサーカーは、兄にだけは感情を見せていた。わかりにくい中でも、エミヤ・オルタのことだけには感情を動かしている。
 けれど、兄が言うのもわかる。自分達はまだ子供だ。これからいくらだって出会いはあるし、他に心を動かすこともあるのかもしれない。
 その可能性はゼロではない。
 ああ、でも、きっとないな。
 自分だって同じような気持ちを抱えているのだ。
 だからこそわかる。
 これは一時の感情なんかではない。
 ずっとずっと続くものだ。

「証明すればいいんだ」
 ぽろりと出てきたアーチャーの言葉に、バーサーカーが「どういうことだ」と返す。
「だから、君が心変わりをしないということをわかってもらえたらいいんだ」
「心変わり? ありえんが」
「君は、魅力的だから」
 兄も言っていたが、バーサーカーもそうだし、クー・フーリンは全員容姿が整っている。
『クー・フーリン共は容姿だけは特別優れているからな。それで騙されるのは男女とも多いが……まぁ、アレは外見に伴う誠実な中身をしているな、今は』
 兄の中のバーサーカーの評価はかなり高い。
 おそらく兄自身も気がついていないだろうが、あの兄からあんな言葉が出てくるとはすごいことだ。
 だからこそ、兄はバーサーカーのために距離を置こうと思っている。自分ではつりあわないと思っている。
 それほどにバーサーカーを大事に思っているのだ。

「よくわからんが、もっと示せばいいのか」
「そうだな。君が兄さんだけだってことを見せればいい」
 すぐにはわからないとは思うが、ずっとずっと想い続けていればきっと、おそらく少しはわかってくれるのではないだろうか。
「それで、アイツは避けなくなるのか」
「兄さんは照れ屋だから、避けると思うけど……、君のことは気に入っているから」
「……そうか、お前がそう言うなら、そうなんだろうな」
 バーサーカーの瞳があまりにアーチャーにまっすぐに向けられ、信頼を一身に受けたアーチャーは慌てた。
「いや、でも! 私が勝手に思っているだけでっ」
「お前が思うなら、そうだ」
 そうだと言え、と言ってほしそうなバーサーカーに気がついたアーチャーは、急いで頷いた。
「もちろん、もちろんだ。私が保障する」
「そうか……」
 明らかにホッとした様子のバーサーカーに、アーチャーも安堵の息を漏らす。
 そんなに信用されているなんて、うれしくてそわそわしてしまう。
 マグルでもそうだったが、ここにきてまでも、アーチャーは何となく遠巻きにされていた。
 その理由は色々あるが、まあそんなものだろうとアーチャーは気にしていなかった。
 なぜなら、アーチャーには兄いて、バーサーカーもいるのだ。そして……特別な人もいる。

 友達らしい友達がちゃんといたことがなかったアーチャーにとって、バーサーカーは初めての友達だ。
 バーサーカーの手がアーチャーに伸びてきて、ポンポンと数回軽く叩かれたので、アーチャーは目を瞬かせ自分の手に頭をのせる。
「バーサーカー……?」
「……ん、ありがとう」
「ああ、いや、うん! うん、うん、君の役に立てたならうれしい」
 小さくもはっきり聞こえたその声に、アーチャーはうれしくて少し興奮してしまった。
 バーサーカーの役に立てたなら、本当によかった。
「あ、そうだ、今夜一緒に……」

「おう、お前ら仲良いな」
 その声が聞こえるまで少しも気がつかなかったアーチャーは、座っていた木の株からパッと飛び上がるようにして立ち上がり、逃げようとした。
「おーっと待て待て」
 逃げようとするアーチャーが男の腕の中に閉じ込められる。
「ひっ!」
「おいおい、そんなに怖がるなって」
「……おい、キャスター。やめろ」
 キャスターとは、バーサーカーの兄の名前だ。
 アーチャーの兄、エミヤ・オルタと同い年で、レイブンクローの寮生だ。
 バーサーカーがキャスターのローブを引っ張ると、キャスターがニヤリと笑う。
「オルタ、お前、随分と仲良くしてる相手がいたんだな」
「うるせぇ」
「エミヤにしか懐かんお前が仲良くしてる相手が他にいたとはな」
 キャスターの腕の中でアーチャーがもがくがまるで無駄で、逃げられそうにない。
「は、離してほしいのだが」
「んー、じゃあお前さん、逃げるなよ」
 すぐに答えられずにいるアーチャーに、キャスターが「ハハッ、素直な奴」と笑い、アーチャーの耳元に唇を近づけてきた。
「オレのことを知っているか?」
 こくこくとアーチャーは何度も頷く。
 ここで彼を、クー・フーリンを知らない者は誰もいない。
 ドクドクと心臓がうるさく高鳴っていた。
 キャスターは兄の友人で、憧れの人である。
 かっこよくて綺麗で強くて……直接話をしたことはなかったが、アーチャーはよく知っていた。
 どうしよう。胸が苦しい。
 逃げないといけないのに。
「おい、やめろって言ってんだろうが」
 バーサーカーが止めようとしてくれるが、キャスターは笑っているだけで離そうとしてくれない。
「わかってるって。お前の友達に何もしねぇよ。ただ、お前が仲良くしてるなんて、しかも、グリフィンドールの奴だ。気にして当然だろうが」
「ごめんなさい、すみません。逃がしてください」
 アーチャーがキャスターの腕の中で、キャスターとは目を合わさずに言うが、すぐさま「ダメだ」と返ってきた。
「なぜ逃げる。逃げる必要なんかねぇだろうが」
「でも」
「弟の友達に何かするわけねぇだろ?」
 そんなことはわかっているが、でも、できることならここは逃げたい。
 なぜなら、兄が言っていたからだ。
『できるだけ、クー・フーリンの長兄、キャスターとは会わないようにしろ』
 苦々しく言う兄が割と本気だったので、できることなら兄の言うことを聞いておきたい。
 兄のオルタがこんな忠告をするのは珍しいからだ。
 バーサーカーにも『兄さんが言うから、できるだけキャスターとは会わないようにしたい』と伝えているので、兄のオルタが望むことならと、バーサーカーも協力してくれていたのだ。
 だから今までキャスターとは出会ったことがない。

「こっちを向いて、名前を言え。そうしたら離してやる」
「やめてやれ」
「オルタ、お前がずっとコイツとこそこそ会ってんのは知ってたんだ。そのうち会う機会もあるだろうと思っていれば、全然会わねぇ、さすがにおかしいと思ってな……なあ、何で逃げてた?」
 アーチャーは答えずにじっとしている。
 どうするかを頭の中で考えるが、実力からいってアーチャーがキャスターから逃げるのはまず無理だ。
 どうする、どうしたら。
「ほら、こっち向け」
 アーチャーは顎を掴まれて上向かされ、ばっちりと目が合ってしまった。
 会った途端、キャスターが驚いた顔をしたのに、アーチャーは戸惑う。
「あの……?」
「もう離せって言ってんだろうが」
 バーサーカーがキャスターの腕からアーチャーを助け出し、自分の後ろにアーチャーを隠すようにしてキャスターの前に立った。

「……おい?」
 呆然としているキャスターの様子に、バーサーカーが訝しげに顔を顰める。
 キャスターはやけに真剣な顔つきで、バーサーカーの後ろにいるアーチャーへと声を掛けてきた。
「オレはクー・フーリン・キャスター……キャスターだ。お前さんは?」
「…………」
「オレの弟にはグリフィンドール生がいてな」
 もちろん知っている。
 彼を知らないグリフィンドール生などいない。
 いや、この学園で彼を知らない者などいない。
 アーチャーにとっても、特別な存在だ。
「いずれわかることだぜ?」
 それもそうだと、アーチャーは息をつく。
 今もう見つかってしまった時点で、逃げることはできない。
 ごめんなさい、兄さん。
「……アーチャー……」
「そうか、アーチャーか……アーチャー」
 ビク、とアーチャーが跳ねた。
 蕩けるような甘ったるい声に驚いて、心臓をバクバクさせる。
 バーサーカーの「おい、近づくな」という声が耳に入ってきて、キャスターが近づいてきたのだと知ったが、バーサーカーを押し退けて真向かいに立つキャスターをアーチャーが見返した。
 困惑するアーチャーに、キャスターが微笑む。
 何とも美しい笑顔に、アーチャーの心臓がきゅうっと締め付けられた。
 アーチャーはクー・フーリンの顔にとてつもなく弱い。
 自分でも自覚しているが、本当に本当に弱いのだ。

「これからはお前さんとオレは知った仲だ。だから、オレを見ても逃げないでくれよ」
「……は、はい」
 ここで、兄に言いつけられているので、たぶん逃げます、とは言えない。
 できれば会わないようにしようと思いながらアーチャーは返事をした。
「そうかそうか、約束だぜ?」
「え……あ」
 おい、とバーサーカーの声に被せて、キャスターが確認してきた。
「アーチャー、約束してくれるな?」
 がしっと両肩を掴まれて顔を近づけられると、アーチャーは最高潮にときめいてしまって、頭の中が真っ白になってしまった。
「アーチャー? 約束してくれるんだろう」
「わ、わかりました……!」
 あまりにドキドキしすぎて恥ずかしくなりながら答えると「約束だ」とキャスターの甘やかな声が聞こえ、アーチャーの額に柔らかなものが押し付けられた。
「……え……?」
 今の、何?
 驚きに目を見開くアーチャーに、キャスターが笑みを湛えている。
 何だ、何、何で。何が起きている。
 目の前のキャスターがなぜかとてつもなくうれしそうに見える。
 なぜだ、どうして。

『なぜキャスターには会ってほしくないかだと? そんなことは決まっている』
 兄が、はっきりと言った。
『間違いなくお前を気に入るからだ』

 まさか、とアーチャーは思ったが……いや、まさか、そんな。
 こんなに美しくて頭もよくて、名誉も実力も何もかもを持っているキャスターが、自分なんかを気に入るなどと。
「オレはお前さんが気に入ったぜ、アーチャー」
 アーチャーは息を呑んだ。
 それは困る。
 兄の言いつけを守れないことになってしまう。
「どうした、アーチャー、随分と動揺してるみてぇだな」
 アーチャーはゆるゆると首を横に振るのがやっとだ。
「これからよろしくな、アーチャー」
 煌く笑顔のキャスターに、アーチャーは何て答えたのかよく覚えていない。

Series
#2 -----

Comments

  • うかり
    January 27, 2019
  • meichi
    June 26, 2018
  • そー
    April 14, 2018
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