小学館に抗議するため、マンガワンで配信停止する漫画家が相次ぐ。性加害の漫画家を「別のペンネーム」で原作者に起用
小学館のマンガ配信アプリ「マンガワン」の編集部は2月27日、「常人仮面」の配信と、単行本の出荷を停止したと発表した。「起用判断および確認体制に問題があった」としている。 同社によると、「常人仮面」の原作者の一路一氏は、もともと「山本章一」名義で「堕天作戦」を連載。発表では、「2020年に、山本氏が逮捕・略式起訴され罰金刑を受けたことを踏まえ、『堕天作戦』の連載を中止いたしました」としている。 しかしその後、2022年に「一路一」と別のペンネームに変えて、「常人仮面」で原作者を担当した。今回の声明では、「本来であれば原作者として起用すべきではありませんでした」と謝罪した。 この原作者は北海道内の私立高校の元教員という。朝日新聞などによると、元生徒の女性が性暴力を受けたとして、2022年に損害賠償を求める民事訴訟を札幌地裁に起こした。この2月に、札幌地裁は同氏に1100万円の支払いを命じていた。 小学館が、事件を把握しながらも、原作者として起用し新連載を始めたことなどの一連の経緯をめぐり、マンガワンで作品を配信している複数の漫画家たちが、同社への抗議として作品を取り下げると宣言する事態になっている。
「十分な説明やアクションがない状態では協力をしない」
「映像研には手を出すな!」の大童澄瞳さんは27日に公式Xで、マンガワンでの同作の更新停止を報告。「加害者が法で適切に裁かれる事に加え、被害者の求めに対し、作家とマンガワン編集部、並びに小学館は一定の道義的責任を果たすべきである」と指摘。「経緯の説明や改善方針などに関する十分な説明や具体的アクションがない状態では協力をしない」と明言した。 「青春ヘビーローテーション」の水瀬藍さんも、「強い憤りを感じています」として、作品の配信停止を申し入れていることを報告。「ねこ、はじめました」の環方このみさん、「99%サキュバスちゃん」の白石ユキさんなど複数の漫画家が、配信停止を発表している。 「常人仮面」作画担当の鶴吉繪理さんは、自身のXで、今回の事件や名義変更の理由について、事前に何も知らされておらず、報道とSNSで知ったと明かした。原作者とは一度会っただけで、やり取りは担当者を通じて行っていたという。「作品は絵空事だからこそ自由です。だからこそ現実世界で人を傷つける行為があってはならない」とし、「被害に遭われた方の心身の回復が守られることを心より願っております」と述べた。