【解説】無人機部隊の勧誘強化するロシア…大学生の募集めぐり「罠だ」懸念の声も
ロシア軍は今年、無人機部隊への兵員募集を大幅に強化している。部隊の戦果に自信を深めていて、今年だけで規模を倍増させる計画だとも伝えられている。対象は無人機の操縦に適性のある若い世代だ。国防省は大学でも勧誘を強化しているが、「罠だ」と懸念の声も出ている。
■街角に増え始めた無人機部隊の募集看板
ロシアメディアによると、国防省は今年1月中旬から全土で、無人機専門部隊への大規模な勧誘を始めた。実際に首都モスクワや地方都市など、あちこちで無人機部隊の募集看板やポスターが目立ち始めている。
契約は1年単位で、別の部隊に転属させられることはなく、無人機操縦士として専門的な訓練を受けるという。また国防省は採用に際し、コンピュータースキルや分析力などを重視していて、特に若い世代の採用を重視している。歩兵として前線に送り込まれる危険がないことをアピールすることで、無人機の操縦に適性のある若い世代を取り込む狙いがあるとみられる。
ウクライナ側の分析では、現在ロシア軍の無人機部隊の規模は約8万人。それを今年だけで倍の16万5500人まで拡大し、2030年までに約21万人規模に増やす計画だとみられている。
■無人機部隊の戦果に自信を深めるプーチン政権
プーチン政権は特に去年から、無人機部隊の戦果に自信を深めているようだ。ベロウソフ国防相は去年12月の演説で、以前は無人機の戦闘運用で後れをとっていたが、夏にウクライナを逆転したと言及。主力の「ルビコン部隊」は、ウクライナや欧米で恐れられていると主張した。
プーチン大統領も昨年末の会見で、無人機部隊について言及。「志願者は非常に多い」とした上で「様々な大学の学生たちが休学して、無人機操縦士として戦闘に参加している」と話していて、若い世代の入隊に期待感を示した。
■無人機操縦士ではなく歩兵に…「罠だ」と懸念の声も
ロシアの独立系メディアによると、すでにロシア各地の数十の大学で、無人機操縦士として1年契約で入隊するよう呼びかける国防省のポスターが設置されているという。
しかし、人権活動家はこうした勧誘について「罠だ」と警告。「1年契約」や「転属なし」といった契約には疑いがあると忠告している。この人権活動家が実際の契約文書を確認したところ、3か月の研修期間後に無人機部隊ではなく、通常の歩兵部隊に配置転換される可能性があったという。
また別の独立系メディアは、モスクワの理工系の大学の講義時間に、担当者が勧誘に訪れたと伝えた。「試験に落ちても心配ない。国防省と契約して無人機操縦士になり、また復学できる」「最初の支度金は500万ルーブル(約1000万円)で、お金も稼げる」と呼びかけたという。
ただし、学生の反応は冷めていたといい「一度入ってしまうと、引きずり込まれて抜け出せなくなる泥沼だ」「前線に行くより、プログラマーとして就職したほうが稼げる」との声を伝えている。