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安全・品質・量・コストは時間が10割
工程設計において重要な要素は『時間』だ。
必要な加工内容や数は、図面によって決まる。
しかし、加工にかけて良い時間を定め、
加工にかかる時間を追い込むことは、
生技や工場側に責任が生じる。
結果、その良し悪しが原価に直結するんだ。
だからこそ、時間は正しく理解し、前提条件として定める必要がある
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例えば、
稼働時間内に作る必要がある生産数に対して、1工程当たりの“目標時間”を『タクトタイム』。
1つの工程で、作業を開始してから、次の開始する直前までの“1回あたりの時間”を『サイクルタイム』。
1工程目の開始から最終工程の終了までの”経過時間”を『リードタイム』。
基本はこの3つが重要だ。
タクトは、市場という外部制約における経営判断だ。
サイクルは、それに対する社内設計要素。
リードは、資金拘束のため経営要素が強い。
そして、製品のリードタイムと占有面積。この2つを指標とすることで、工場の技術力は比較できるんだ。
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タクトは基本的にラインで使う考え方だ。
一本のラインに何工程あっても良い。
その1工程がタクトタイム内に次工程に送ることができれば、最終的にタクトタイム毎にものが完成するというわけだ。
各工程視点では、1台毎に同じ作業を毎回繰り返し行う。
その1回の作業をサイクルとし、かかる時間サイクルタイムと呼ぶ。
だから、サイクルタイムは原則タクトタイムを超えてはいけないんだ。
一方で、製品視点では、ラインの各工程を渡っていくわけだから、常に新しい加工がされていると見える。
加工→移動→加工→移動→加工→…ということだ。
この最初から最後までにかかった経過時間をリードタイムと呼ぶんだ。

繰り返すと、リードタイムは経過時間だ。
各工程のサイクルタイムを全て足した時間をリードタイムから引くと、基本的には『無駄に発生した時間』がわかる。
実際は、全てが本当に無駄なわけではなく、計画的に『変動を吸収するためにコスト』として設定する標準手持ち(バッファ)という考えがある。
だからこそ、計画値と、実績の乖離は管理し運用していく必要があるんだ。
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サイクルタイムには、いくつか注意点がある。
例えば、サイクルタイムの中に手作業項目があるならば、その設定時間は実績でなく十分習熟した目標とすべき時間で設定しないと、無駄は見えてこない。
逆に、歩行時間や、あり得ない動作が前提での作業時間の設定、重筋作業の連続は現場の安全性を著しく損ねる。
他にも、1サイクル回して成り立つ場合でも、前後工程含めて複数回サイクルを回すと、作業の噛み合わせが悪く、手待ち時間が発生する場合は、工程設計のチョンボだ。
このチョンボが生産開始までに潰されないと、突出したサイクルタイム持つ工程がボトルネックとなり、タクト未達の炎上なんてことは往々にして発生する問題だ。
どれも時間を正しく設定し、連続性を加味しないことが致命的なミスへと繋がってることが多いんだ。
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前後時間と関係性。
ラインバランスの考えも重要だ。
例えば前工程より後工程のサイクルタイムが早いと、ものはどんどんと流れていく。
ものが溜まらないということは、仕掛りが少なく、失敗に対して後工程の影響が出やすいことから、工異常や無駄が見えやすい。
逆に失敗に対してのバッファがないためリカバリーが効かない点に注意が必要だ。
緊張感の継続は、トラブルの真因になり得る。

一方で、前工程より、後工程のサイクルが遅いと、仕掛りは溜まりやすい。
ちょっとの失敗があっても、バッファを使えるから問題になりにくい反面、問題に気づけず常習化する、余計な面積や投資の増加、リードタイムの増加による経営問題などが起こり得るんだ。
しかし、時にはボトルネックをあえて作り、バッファ蓄える設計も必要で、変動に対する緩衝材として、現場の余裕として必ずしもバッファ=悪ではない点に注意が必要だぞ。
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時間は、安全、品質、量、コスト全てに関わる。
焦りは事故を起こし、品質ばらつきを生む。
歩留まりが悪くなったり、異常での停止は生産量を落とす。
過度な時間短縮は投資額も上げる。
工場の良し悪しの全ては、時間の考え方で決まるといっても過言ではない。
正しく、しかしバランスが大事だ。
その時間の理解はとても難しい。
ここで述べたこともほんの一部だ。
安全、品質、量、コストを掲げる前に、私たちは、時間という概念を正しくできてるのだろうか。

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