名古屋市の主婦殺害事件、26年後の逮捕につながったのは…DNA鑑定の進歩と”特命班”の設置「未解決だけを1年365日、朝から晩までやる部署ができた」【犯罪ジャーナリスト解説】
1999年11月、名古屋市。主婦の高羽奈美子さん(当時32歳)が首などを複数回刺され殺害された事件。警察は先月31日、安福久美子容疑者(69)を殺人の疑いで逮捕しました。 斎藤知事「捜査中なのでコメント控えたい」 N党・立花孝志容疑者の逮捕を受け取材に応じる 事件から26年、急転直下の逮捕劇。今回は「未解決事件」をテーマに、長い年月をかけて挑むその捜査のウラ側を犯罪ジャーナリストの小川泰平さんと“深掘り”します。
■事件解決の転機① 捜査員の交代 5000人の関係者を”洗い出し”
愛知県警が26年間に投入した捜査員はのべ10万人以上。捜査本部には、5000人を超える関係者から聞き取りをした膨大な資料が積み上がっていました。 夫の悟さんは、去年4月に担当刑事が交代したことが事件の転機になったと振り返ります。「『私が捕まえますから』『捜査対象リストの中に絶対いるのでしらみつぶしに調べます』と言っていた。今までの人との心構えが違うなと」。 愛知県警は去年、この5000人の関係者の洗い出しを行い、「事情聴取が足りていない」「DNAが取れていない」などの条件でふるいにかけ、数百人に絞り込みました。今年8月には安福容疑者に接触し、DNA型の提出を求めましたが拒否されたということです。しかし、先月30日になってDNA型の提出に応じ、安福容疑者がその日のうちに出頭したことで逮捕に至りました。 犯罪ジャーナリストの小川泰平さんは「捜査員が変われば、現場の見方や関係者への聞き方も変わるため、ほんのささいな口調や雰囲気の変化で新たな事実が分かることもある」と話します。
■事件解決の転機② DNA鑑定技術の進歩
また、小川さんは、DNA型の鑑定技術の進歩も事件解決に貢献したと指摘します。 現場に残されていたのは“混合DNA”という複数のDNAが混じり合ったもの。事件発生当時は個人識別ができませんでしたが、現在は個々のDNAを判別できるようになっていて、こうした技術の進歩が事件解決の一つの要因になったといいます。
■遺族の働きかけで時効撤廃 未解決事件を専門に扱う“特命班”の設置へ
事件発生時(1999年)の刑法では、殺人罪は15年で時効。名古屋市の主婦殺害事件も2014年には時効になってしまうおそれがありましたが、夫の悟さんも尽力し、2010年の刑法改正で時効が撤廃されました。 そして、時効が撤廃されたことにより警察に「特命班」が設置されました。特命班は捜査資料の再検証、関係者への再聴取、証拠品の再鑑定などを行います。夫の悟さんは「時効撤廃の効果は、この特命班ができたことが大きい」と話しています。