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君を好きなことがバレた/Novel by ひがし

君を好きなことがバレた

8,834 character(s)17 mins


あ、エミヤとランサー仲直りしたのかぁ、良かったなあ。エミヤはどうか知んねぇけど、ランサーは飲み会の時から、エミヤのこと気に入ってたみたいだし、ちゃんとまとまったみたいでよかったわ!
ん?どこまで分かってんだって?…さぁ?おれは友達が幸せならそれでいいんだよ!!!
By茶髪の友人(ランサーにエミヤのとっている講義を教えた男)

傘村トータさんの「君を好きなことがバレた」という曲を聞いて突発的に書いてみたいと思いました。
初めて小説を書くので読みにくいと思いますが、読んでいただけたら嬉しいです。誤字とか脱字あったらすみません。
すごい話まとまらなくて長ったらしくなってしまいました。
読み進めていったら変なところとか多いと思いますが、広い心で流して頂けると幸いです。
槍弓いいですよね…キャラ崩壊すごくて、こんなランサー、エミヤは嫌だ!という方もいらっしゃると思うので、そういう方は静かにブラウザバックして下さい。

君を好きなことがバレた、とてもいい曲なので、聞いてみて下さい。あまり、この話とうまくシンクロしている訳ではないです。書いてるうちに自分でもよく分からなくなってきました。でもちょっとでも皆さんの萌に刺さればいいなと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございます。

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君を好きなことがバレた。

完璧に隠していたつもりだ。絶対に言わないつもりだった。
誰にも知られず、私だけの心の中で、君を想えればそれで良かった。


「またナンパか、ランサー」
わざとらしく、嫌味たらしく、大きくため息をついた褐色白髪の男をじとりと睨む。何故こいつは、人が落ち込んでいるところ(ナンパは失敗に終わった)に現れるのだ。
「まぁ、見たところ失敗したようだがね。光の御子がなんとも情けない…おっと失敬。君はそう呼ばれるのは好まないんだったかね?全く君は、見る度、違う女性を口説いているが、本当に節操のない犬…」「犬っていうな!」
フンっという効果音が見えるほど、嫌味な笑みを浮かべ、ペラペラと皮肉をのたまうこいつは、エミヤという。
俺、ランサー・C・アルスターと、エミヤ・A・アインツベルンは、同じ大学の同回生だ。俺とエミヤの仲は、正直言って良くない。それはもう良くない。どれくらい良くないかというと、軽い口論から殴り合いの喧嘩に発展することが1週間に1回ほど(多い時は3回)あるくらいに仲が良くない。
エミヤは頭が固い男だった。口を開けば皮肉のオンパレード、人をバカにしたような笑みが得意な男だった。そして、人なら誰しもある誇りというものを持たない男だった。
気に食わない、腹が立つ、こいつに対する感情はそんなものが占めている。

「はぁ、お前ってほんと嫌な奴だよな。なんだってお前は人の見られたくねぇ時にタイミングよく現れるかねぇ…」
「…さぁな、君がどこかしこでナンパをしているのが悪いのだろう。私だって見たくて見ている訳では無い。」
…こいつは話に嫌味を混ぜないと死ぬのか??
「あー!くっそ、気分悪ぃ!じゃあな、アーチャー」
「もう二度と私の前で情けない面を見せないようにするんだな。」「うるせぇわ!!!」


ランサーが去って、1人、アーチャーことエミヤは走っていくランサーの後ろ姿をずっと眺めていた。その背中が小さくなって見えなくなるまでずっと。

一目見たときから、心臓を穿たれたような衝撃が走った。
1回生も終わりに近づいた頃、同じ学科の友人から誘われた飲み会で、出会った。
瑠璃色の髪、恐ろしい程に整った顔、長身の自身と変わらぬほどの背丈に鍛えられた身体、そして、2つの赤。神々しく美しい赤色の瞳。人間離れした容姿からは想像できないほど、快活で人好きのする笑顔に、兄貴肌で誰に対しても分け隔てのない人格の持ち主。
それがランサーだった。
これが恋だと気づいた時に、絶望し、そして諦めようと、この恋は要らない、いや、持ってはならない感情だと、何とか消そうとした。
まだ、まだ彼とはなんの関わりもない。まだ間に合う。幸い、飲み会ではそこまで話すこともなかったし、大丈夫だ。
そう思っていたのに。

「なぁ、お前さ珍しい色してるよなぁ、どこ出身?」
何故、学科の違うはずのこいつがここにいるんだ。これは貴様のうける講義ではないはずだろう。
「なぁーってば。聞いんのか?おーい?」
うるさい、やめろ。私に話しかけないでくれ。あああ顔が近い近い。…いや本当に綺麗な顔をしているな…って違う!しっかりしろ私!!!
「……私は純日本人だ。この見た目のせいでよく間違えられるがね。君は確か、先日の飲み会でいた…」「ランサー・C・アルスターだ。アイルランド出身。スポーツ学部だ。」「…ご丁寧にどうも。名乗られたなら名乗り返した方がいいかね?エミヤ・A・アインツベルンだ。学部は工学。この講義は工学部必須の講義だ。スポーツ学部の君がとるべき講義ではないだろう。なんのようかね?」
極めて平静を装いながら、なぜこんな所にいるのかを聞く。迷い込んだのかもしれない。
「や、お前がさ、工学部でこの講義受けてるかも知んねぇって聞いたから来たんだよ。」「……は?」
声に出てしまった。いや、こいつは今なんといった?
「飲み会でさぁ、うわー珍しい色のヤツいんなあって気になってたんだよ!話しかけようと思ったんだけどさ、タイミング合わなくてよぉ…だからお前のこと知ってるやつに聞いてさ!」ランサーが何を言っているのか分からない。私に会いに来た?私の事が気になっていた??何を言っているんだこいつは。まだランサーはなにか喋っているが全然頭に入ってこない。処理が追いつかない。どうすればいいんだ!?
「でさ!LINE交換しねぇ?」「なにが、でさ、なのか分からない。すまないが、失礼する。」
ちょうど講義も終わるので、席を立とうとすると、ガッと腕を掴まれた。
「まてって!話聞け!俺、留学生でここらへんよく知らねぇし色々教えて欲しいんだよ!…なぁだめか…?」
「うっ…なぜ私が…あぁ、やめろ、そんな顔をするな!!分かった!分かったから手を離せ!!」
しゅんと悲しそうな顔をされると弱い。しかもこいつは顔面がいいのだ。そんな顔をされては断れないではないか!!
「よっしゃ!サンキュ!よろしくな!エミヤ!」
………眩しい…。
私の計画は失敗してしまった。ランサーと連絡先を交換してから、ランサーは私に何かと構うようになった。うまい酒のあるところはどこだ、飯のうまいところを教えろ、釣りができるところはないか、、、ことある事に私に聞いてきた。耐えられなかった。やめて欲しい。勘違いしてしまう。ダメだとわかっているのに、彼に頼られるのが、話しかけられるのが嬉しかった。それから1週間ほどたったある日。
「あのさ、お前といるとすげえ落ち着く。ありがとなエミヤ。俺、お前のことすげぇ好きだわ!」
グラリ。視界が揺れた。やめろ。やめてくれ。そんな言葉を俺にかけないでくれ。好きだなんて、言わないでくれ。そんなふうに言ってもらえる人間ではないんだ。だって、私は、俺は君のことが…
「ハッ、私のことがすき?冗談はよしてくれランサー。私のことを何も知らないくせに。」
「…なんだと?」「いや、私は君が留学生だから仕方なく一緒にいるんだ。なにか勘違いをされると面倒だからいうが、私は君のような人間とは相容れない。」
「…つまりなんだ、お前は同情で俺に優しくしていたと、そういうことか?」
「あぁ、そうだとも。物分りが良くて助かるよ。」
グラグラ、私はちゃんと立てているだろうか。分からない。離れないといけない。これ以上近くにいては、耐えられない。バレてしまう。君のことが好きなことがバレてしまう。それだけは絶対にあってはならない。
「あぁ、そうかよ。面倒かけて悪かったな。」そう言ってランサーはくるっと背を向けて、去っていった。
これでいい。これでいいんだ。これで良かった。…なのに何故、私は泣いているんだ。


それから、私とランサーとの距離は連絡先を交換する前に戻った。しかし、私は、ランサーが好きなままだった。それどころか、想いは日に日に強くなっていった。
私は自分がこんなに浅ましい人間だとはじめて知った。ランサーを見かけると、つい話しかけてしまう。彼に好きな気持ちがバレたくないから皮肉しか言えないが。
私は自分がこんなに嫉妬深いとは思わなかった。彼が女性と話していると、胸が締め付けられる。どす黒い気持ちで心が埋まってしまう。
私のような人間が、ランサーを好きだなんて烏滸がましいにも程がある。無くさなくてはいけない。しかしそう思う程に、彼への想いは強くなってしまう。…なら、誰にも、彼にも、知られ無ければいいのでないか?こんな気持ちもとより持つべきものでは無い。誰にも知られないのであれば持っていないのと同じなのではないのか。バレなければいい。絶対に上手く隠す、隠してみせる。だから…君を好きなことを許してくれ。ランサー。


白髪が視界の端に見えて思わずそちらをみる。俺よりも少し背が高く、凛とした姿勢で廊下を歩くその男。ずっと引っかかっている。俺から話しかけて、連絡先を交換した(強引だった自覚はある)あの日から。あいつが俺に向ける表情は、今のように嫌味たらしくなくて、仕方ないなと眉を下げて笑ったり、俺が話す内容にたまに声を上げて笑ったり。どこか、愛おしいものを見るような目が、俺は好きだった。声だってそうだ。あいつは俺を呼ぶ時、まるで大切なものの名前のように呼ぶのだ。
あれは全部嘘だったのか?本当に?
「チッ…わっかんねぇ〜。」ぐしゃぐしゃと髪を掻き回して遠くにいるアーチャーを睨む。わかっている、なぜこんなに気になるのか、初めてあいつを見た時、どうして自分から声をかけようと思うほど気になったのか。
「どうしたもんかねぇ…」

ここ数日、ランサーを見かけない。何かあったのだろうか。日に1回はランサーを見かけるのに(エミヤが無意識に探しているから)この2日ほど、姿を見ていない。まぁ、私には関係のない事なのだが。
「ランサー?あぁ、あいつなんか風邪ひいてるらしいぜ。…エミヤお前、ランサーと仲悪かったんじゃなかったっけ?」「いや、少し気になってしまってね。教えてくれて感謝する。」「おう!全然!…お前らさ、一時期仲良かっただろ?また、仲良くできるといいな!」
「……あぁ、そうだな…」
結局聞いてしまったあげく、なにを思ったのか家の住所まで教えてもらって、はよ元気になれよ!って言っといてくれよな!と伝言まで頼まれてしまった。なんでさ。
そして、私は今、ランサーの家の前に来ている。手には、先程の友人からもたされたゼリーが入った袋と、私が買った食材が入った袋。…私は、彼から伝言を受けおっているし、ゼリーだって彼からもたされたものだ。仕方ない。これは仕方ないのだ。心の中で言い訳しながら、恐る恐るチャイムを押す。ピンポーンと、いうチャイムの音にすら緊張してしまう。
タンタンと扉に近ずいてくる足音がする。ダメだ。ランサーが扉を開ける前に帰ろう。とりあえずゼリーの袋はノブかけて…
「へいへい、どちらさんですか〜…って、アーチャー…?」終わった…

とりあえず上がれよ。と言われてしまって意外にも綺麗に片付いたランサーの部屋にあがる。
「で?お前何しに来たの?」きた。大丈夫だ。言い訳は完璧だ。
「君を見かけないと思っていたら、君が風邪だと友人から聞かされてね。お見舞いと伝言を頼まれてしまったのだよ。私も暇ではないと言ったんだが、頼むと言われてしまってね。仕方なく。」
「ふぅん?友人って?どいつ?」「君とよく一緒にいる、茶髪の男子生徒だ。」「あーあいつかぁ」
大丈夫だ。本当の事だし、嘘は言っていない。ランサーの目がすぅっと細まって、ニヤリと笑った。
「あーちゃぁ。お前さ、嘘ついてんな?」
ドクンッと心臓がはねた。何故そんなことを、いや、嘘はついてないぞ。おちつけ、私。冷静になれ。
「今さ、LINE、そいつから来たんだよ。お前が俺の事見かけねぇからどうしたのかって聞いてきて、風邪だって教えてやって、俺の住所教えたからそっち行くと思うぞってな?お前から、俺がどうしてるか聞いたんだ?」
…あの男!!!変なところで気を回すんじゃない!!!何とか言い訳を…!
「はぁーーー、良かったぁ」「…え?」
ランサーは少し困ったようなでも安心したように笑う。
「俺さ、お前に嫌われてんだと思ってよ。あん時俺もカッとしてお前の話聞けなかったてのもあったけど。」
そうして、ランサーはニッと笑うと、「俺の事、心配してくれたんだな、ありがとなエミヤ」
あぁ、君はまだ私にそんな笑顔を見せてくれるのか。私は君のことを裏切っているも同然なのに。ありがとうなんて言葉をかけてくれるのか。
「…別に。うるさい犬が急に静かになったら気にもなるだろう。」「ほんっとにお前は口が減らねぇな!?」
皮肉言わねぇと死ぬのか!?なんて失礼な事を言われても、返す気になれなかった。
「じゃあ私はこれで。」帰ろうと立ち上がった時、
グゥーー、ギュルルルル。なんだ、ものすごい音がなった気がする。もしかして腹の音か?こんな大きな音がなるのか?? 「あー…わり…腹減っててよ。」腹の音だった。
「何か食べたらどうかね。」「あー、いやでも今なんもねぇだよなあ」そう言って冷蔵庫を開けるランサーの後ろから覗いた冷蔵庫は、酷い有様だった。
「なっ!?何も入ってないでは無いか!!水と酒だけ!?一体どんな生活を送っているんだ貴様!!調味料も、入ってはいるが全然使った形跡がない…これはいつのものだ…?もう2週間も期限が切れているものがなぜ冷蔵庫に入っているんだ!!!野菜室にもなにもない!?貴様なにを考えているんだ!?普段どうやって食べているんだ!!!!!!!」
私の様子に圧倒されたのか、ランサーは、「い、いつもはコンビニ弁当とか、まぁバイト先で賄いもでるし、そんな作らなくてもいいかなぁって…」「このたわけ!!!コンビニ弁当などで栄養がとれるか!!ちょっとまっていろ!!!」私は持ってきていた袋から材料を取りだし、ランサーをキッチンから追い出した。

「すげぇ!美味そう!!!」即席だが、消化のいい雑炊を作ってランサーの前に置く。(米があって良かった。)
「これくらい造作もない。全く貴様はどんな神経をしているんだ、大体冷蔵庫に何も入っていないなど…「いただきます!」話を聞け!!!」
「…!!!!うっま!!!!アーチャー!これめっちゃ美味い!!!お前すげえな!」
「うぅっ…そうかね…口にあったなら良かったよ。あぁ、そんながっつかなくても誰も取りはしないぞ。」
もしもの為に、材料を買っていてよかった。ランサーが私の料理を食べているなんて、なんだが嘘のようだ。
「元気そうで良かった…」「ん?何だって?」「っ、なんでもない!!」

「じゃあなアーチャー、悪かったな。色々と。」
「本当にな。…早くなおせと、友人が言っていた。見たところそこまで酷くないようだし、まぁ安静にしておくことだ。ではな。」早く帰ろう。色々ありすぎた。
「アーチャー。」後ろから声をかけられ、振り向く。
「なんだ。まだ何かようか。」
「お前さ、なんだかんだ俺の事好きだよな。」ニヤッと笑ってランサーが言う。
どうして。いつ気づかれた?やはり来なければよかった。なぜ想わせてくれない。ダメなのか。やっぱり君を好きでいるのは良くないのか。いやだ。気づかれたくない。バレたくない。まだ、まだ君を
「エミヤ…?どうした?顔色悪いぞ!?」
「やめてくれ!!」
好きでいさせて。

君を好きなことがバレた。君はきっと気にしないと思うが、私にとっては大問題なのだ。だから、遠くへ行こうと思う。まぁ、君が私をどう思っていようがそんなことは正直関係ないのだ。好きだなんて言葉に出来なかった。言うつもりなんて無かった。伝えられたらどれほど良かったのか。言葉では伝えられない。一言も、許されない。
でも、君といた日々は、とても楽しかった。なんて綺麗な日々だろうと思った。ずっと続いて欲しかった。でも、バレてしまった。最悪だ。あぁ、情けないほど私は君に夢中なのだ。
ランサーを好きなことがバレたので。私はランサーから離れようと思う。


エミヤがいない。いや、実際はいるのだ。でも大学でどうやっても会わなくなった。俺の見舞いに来てくれた時、帰り際に、ちょっとからかってやろうと思って、前から少し思っていた事を言った。その後だ、エミヤの顔から血の気が引いた、まるで、絶対にバレてはいけない罪がバレたような。絶望感、罪悪感、そんなものが入り交じった目をしていた。大丈夫かと、手を伸ばしたら、その手を払われてエミヤは走って行ってしまった。
まただ。近くなれたと思ったら、離れていってしまう。なぜ俺から離れる。なぜあんな顔をする。皮肉屋でも良かった。喧嘩をしても良かった。ただ、近くにいるだけでいいんだ。
「あぁ。好きだ。」そうだ、好きなのだ。捕まえなくてはいけない。あの男は、多分俺のことを嫌ってはいない。むしろ…「まぁ、話せばわかることさね。」
視界の端に、白髪がみえた。

「まてこらアーチャァァァァ!!!!」
「しつこい!ついてくるな!」
「逃がすか!!!」「ほんとにしつこいぞ!?」
なんでさ、なんでさ、なんでさ!?!?なぜ私はランサーに追いかけられているんだ!?
~数分前~
「ランサーとは学部が違うから会わないでおこうと思えばこうも簡単に会わずにすむのだな。」少し寂しい気もする。 ドドドドドド 「む?なんの音だ?」なぜか私のことを呼ぶような声も聞こえる気がする。どんどん近ずいてくる…?「アァァァチャァァァ!!!」「ランサー!?!?」
~回想終了~
思わず逃げてしまったが(すごい形相だったので)、本当にしつこい。私は運動神経は悪くはないし、足は早い方だ。なのにランサーはずっと追いかけてくる。正直こわい。捕まったら何をされるんだ?もしや、好きなことがバレたから、それに対する報復か?くそ、余計捕まる訳にはいかない。なんとか振り切らねば…!
工学部のよく使う教室が多くあるこの範囲なら、うまくいけば撒けるはずだ。
階段や、抜け道などをうまく使いつつ距離をはなしていく。
「はぁっはぁっ、ここまでくれば、、大丈夫か…はぁ」
もうダメだ。正直走れない。なんとかまけたようだしここでじっとしていよう。廊下の突き当たり、ちょうど死角になる所に座る。なんだって、見つかってこんなに追いかけ回されなくてはならないのか。そんなに気に食わなかったのなら、ほおっておいてくれればいいのに。
「なんで、忘れされてくれないんだ。」小さく蹲り、顔をふせる。
ふっと、自分の体に影がかかった。
「アーチャー、やっと捕まえた。」あぁ、どうやっても君からは逃げられないんだな。

「本気で逃げやがったな。お前。めっちゃ疲れたわ。」
「逃げるだろう。あんな形相でおってこられたら誰だって本気を出して逃げる。」
逃げないようにと腕を掴まれながら向かい合って話す。
「あのよ、なんで俺の事を避ける?大方、あの時言ったことが原因なんだろうけどよ。何を隠してる?」
「何も隠していないさ。私が君を好きだなんてつまらない冗談をいうから、耐えられなかったのさ。」
「嘘だな。何を隠してる。何を恐れてる。言え。」有無を言わせない目だった。反論など認めないという声だった。
やめてくれ。暴かないでくれ。君にだけは知られたくない。私のこんな気持ちは知られたくない。
「…なぁ、エミヤ。おれさ、お前のこと知りたい。だめか?俺にはお前を見せてくんねぇの?」優しく、壊れ物に触れるように頬を撫でられる。じわりとランサーの掌の温かさが伝わる。だめだ。そんなふうに触らないで。やめてくれ。溢れてしまう。言ってはいけないのに。許されないのに。
「…やめてくれ…そんな風に触られていい様な人間じゃないんだ…私は…」
「んー?いやだ。俺はエミヤに触れたいから。」
「そんなこと言うんじゃない。やめろ、本当に。…勘違いしてしまう…」ボソリと言った最後の言葉をランサーは聴き逃してはくれなかった。
「何を?何を勘違いするんだよ。なぁ。エミヤ、いえよ。じゃないと俺、お前のこと離さねぇよ?」ずいっと一気に距離を縮められる。驚いて後ろに下がろうとするが後ろは壁だ。頬を撫でる掌が唇を撫ぜる。もう腕は掴まれていない。なのに、逃げられない。じっと見つめられる赤が恐ろしい。恐ろしいのに。目が離せない。
「う、ぁ、、ぃ、ゃ、、」
「言えよ。エミヤ、ちゃぁんと言えたら、そうさなぁ、ご褒美、やろうなぁ?」
声が近い。甘く優しい声なのに、逆らえない。でも言えないんだ。言ってはいけない。バレてはいけないんだ。
じわじわ、ランサーの声が頭を、脳を犯していくような感覚がする。「えーみやぁ。な?ちゃんと言えるよな?ほら言って?お前。俺のことどう思ってんの?」
あぁ、だめだ。もうバレているのだ。離れようとしたのにそれも失敗に終わった。思えば失敗ばかりだ。恋心を消そうとして失敗し、なんとか諦めようとして失敗し、ランサーから離れようとして失敗して、あげく絶対知られてはならない事までバレてしまった。
「…そんなことを知って何になるんだ。頼むからこれ以上踏み込んで来ないでくれ。暴かないでくれ。ダメなんだ…こんな気持ちは…もってはいけない。」
「うるせぇ、よこせ。お前の気持ちも全部。俺のもんだ。」「横暴だな…こんなもの…欲しがる気持ちが分からない。」「そうかぁ?俺はずっと欲しかったけどな」
そう言うと、ランサーは両手で私の顔包むと、鼻と鼻がくっつくのではないかというくらい近ずいて、「さぁ。エミヤ、お前の気持ち、俺によこせよ。全部貰い受ける。」
あぁ、敵わないなあ。
「…きみが、好きだよ、ランサー」
「あぁ、俺もすきだ。エミヤ。」
その瞬間、ちゅうっと可愛い音でキスをされた。
…キスされた!?!「な!!?何をする!?なんで、なんでさ!??」「なんでって…ご褒美、やるって言ったろ?」さっきの甘い顔はどこに行ったのか、ランサーは見たこともない、捕食者の顔をして、
「あーちゃぁ、もっといっぱい”ご褒美”欲しくねえか?」
「ひぇっ…」
この後私はとんでもないやつを好きになってしまったんだということを身をもって体感した。


君を好きな事がバレたので、遠くに行こうと思った。
君の優しい言葉も、温かく笑う顔も、私に向けられていいものではないと思っていた。
でも、君は、私が君から離れることを許さなかった。
そばにいて欲しいと言われた。好きでいて欲しいと言われた。
君を好きなことがバレたけど、私はまだ君のそばに居る。


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