イスラエル訪問・ネタニヤフ首相との面談等を通じて考えたこと
0.はじめに
2026年の年が明けてすぐ、1月4日(日)〜8日(木)にかけて、イスラエルを訪問することができた(現地滞在は1月5日(月)〜7日(水)の3日間)。
これはイスラエル政府による「2023年10月7日のハマスによるテロ(以下「10.7テロ」と記載する)の実相と、ガザ地区の和平の現状を見にきてほしい」という呼びかけに超党派(自民・維新・れいわ・無所属)の議員15人が応じて訪問することになったものである(航空機代などは自腹でした)。
この15人というイスラエル訪問団は、日本の国会議員の同国訪問団としては過去最大とのことであった。
(因みに自民党からは、小野寺五典先生、阿部俊子先生、大岡敏孝先生、大野敬太郎先生、宮内秀樹先生、松川るい先生、鈴木大地先生、私の8人)
実際には、小野寺先生、大野先生、松川先生は防衛産業やスタートアップ訪問等の別日程が中心で、ネタニヤフ首相とヘルツォグ大統領との面談のみ、両グループが合流した(冒頭の写真はネタニヤフ首相との面談時のもの)。
イスラエル訪問が初めてという私を含めた残り12人のグループについては、イスラエルの歴史を知るためのエルサレム旧市街地視察や、国会の仕組みや与野党勢力を知るための国会「クネセト」の見学などもスケジュールに含まれた。
一方で、1990年代から断続的にイスラエルの首相を務め、長きにわたって指導力を発揮してきたネタニヤフ首相と「1時間」という破格の長時間にわたって面談することができたほか、10.7テロにおけるハマスによる100人以上の虐殺の記録映像(20分間)を視聴したりと、同国・地域の安全保障環境や国際的な世論が厳しい今だからこその「特別な」スケジュールも組まれることになり、実質2日半の短い日程であったが、大変充実した視察となった。
個別の面談の内容や政府要人の発言等については、当然のことながらここでは詳細を記載することはできないが、以下では、書ける範囲で私自身がこのイスラエル訪問を通じて感じたことをできるだけ率直に記載することとする。
なお、ここで記載する内容は全て神田潤一個人の意見であり、全て神田潤一が責任を負うものです。
同行させて頂いた他のメンバーと相談したり擦り合わせたりしたものではなく、また自由民主党や高市政権の考え方や方針とも無関係であることを予め申し述べます。
1.現地で実際に見て、話を聞いて、意見交換しなければわからないことが多い
まず最初の率直な感想としては、一言で言えば、「実際に見て、話を聞いて、意見交換しなければわからないことが多い」ということである。
特に、10.7テロの実相やその後のガザ地区での戦闘、現在のガザ地区の状況などは、ハマスやパレスチナ側が意図的にSNS等を通じて偽情報等も含めて拡散させ、イスラエル側がその詳細を調査しそれが事実ではないこと発表しても、すでに拡散し、固定化された国際的な世論を覆すだけの十分な力を持たずに、全世界的にハマス・パレスチナ側に有利な(従ってイスラエル側に不利な)世論が形成されていることが多いという現実を突きつけられた。
つまり、ハマス・パレスチナによる「認知戦」は十分に効果を発揮しており、日本での議論はこうした「ハマス・パレスチナ寄り」の情報操作の影響を大きく受けているということが痛感された。
例えば、こうした事例として、今回のイスラエル側の説明によると以下のような点があげられる。
10.7テロを受けて開始されたイスラエルによるガザ地区への侵攻については、「イスラエル軍が民間人の犠牲を顧みずに本気で侵攻したら2週間で占領できたはずだ」という発言がイスラエル政府の要人からあった。実際にイスラエル軍は、侵攻する前に十分に情報収集を行い、当該地域の民間人に退避するよう呼びかけつつ侵攻を進めてきた。これは民間人の犠牲を最小限にするためであるが、それでもハマスは学校や病院など民間の重要施設内に意図的に拠点を設置し、民間人の退避も禁止して、こうした民間人を「人間の盾」として用いてきた。このためイスラエル側が意図しない民間人の犠牲者が多数発生し、ハマス側はこうした犠牲者をことさら「イスラエルによる大量虐殺」としてSNS等で発信してきた面がある。
現在のガザ地区におけるハマス側の地域には、毎日数百台のトラックで食糧等の物資が届けられている。これは国連が必要と算定した食糧の4倍に相当し、数量だけで言えば決して飢餓や栄養失調を招くようなことはないはずとのこと。実際にハマス側の地域の食糧等の価格は安定しており、こうした事実からも食糧や物資が不足している状況にはないとイスラエル政府は考えている。それでも健康や衛生面の問題が報道されるのは、地域の保健衛生状態について発表するガザ保健省が完全にハマスの影響下にあり、そこから意図的に選別され操作された、あるいは完全に偽の情報を国連や報道機関が公式発表であるかのように扱っていることが大きいのではないか、とのことであった。
10.7テロにおいて1200人ものイスラエル人が1日で虐殺されたが、記録映像を見ると、ハマスの戦闘員がとても直視できないような残虐な方法で殺戮を繰り返し、また死体を冒涜するようなシーンが数多く見られた(自分の子供の前でレイプされて殺された事例や生きたまま子供が焼き殺された事例も多かったとのことだがこうしたあまりにも残酷なシーンは記録映像には含まれていない)。しかも、こうした残虐な行為を、ハマスの戦闘員は誇りや喜びを表しながら、言わば狂喜しつつ遂行していた。このように10.7テロにおいて実際にどのようなことが行われたのかは、国際的にはほとんど報道されていないように思われる。
このように、10.7テロの実相、ガザ地区の戦闘や食糧事情等が「ハマス寄り」に報道されている背景には、歴史的に形成され、現在も根強く残っている「ユダヤ嫌い」があるとの声も聞かれた。
イスラエルとしては、様々な要因によりSNS等を通じた認知戦では劣勢な状況にあることを踏まえ、比較的友好的・中立的な国の政治家やメディアに対しては、今回我々が視聴したような記録映像を視聴させたり、実際の統計やイスラエル政府が収集した情報をもとに直接説明したりすることで、実際に起こったこと、現在起こっていることを直接理解してもらう努力をしているとのことだった。
訪問前、今回の超党派議員団のメンバーの間では、私も含めて、「今回の訪問ではイスラエル政府に騙されずに真実を見なければならない」という共通の使命感があったように思われる。
今回の視察では、我々はこのようにイスラエル政府に対してやや懐疑的なスタンスで話を聞き、物事を見たわけであるが、訪問を終えた印象としては、全体としてイスラエルの説明は説得的である程度辻褄が合っており、視察を通して概ね事実に基づいているという印象を持ったメンバーが、私を含めて多かったのではないだろうか。
もちろん、物事を公平に判断するためには、本来はハマス側やパレスチナ側からも話を聞き、実際にハマス側のガザ地区の現在の様子も見た上で判断しなければならないだろう。
ただ、我々が見た10.7テロの記録映像の残虐性や、我々が示された客観的な数字と、それらと整合的な説明から判断するに、イスラエル側の説明には相応の説得力があったことは確かである。
全ての日程を終えた訪問メンバーの何人かと意見交換したが、そのほとんどのメンバーが私と同じように、イスラエル政府の説明はある程度真実と捉えていいのではないか、という感触を持っているように思われた。
やはりイスラエルに実際に来て、現場や実際の映像をこの目で見て、当事者に直接話を聞く機会を得たことは、実際に起こったこと、現在起こっていることを理解し、今後の解決策や我が国として方針を判断する上で、大変重要なことであったと感じられた。
2.イスラエル人は実は大の日本好き
もう一つ、実際に来て、見てみないとわからないのは、「イスラエル人が、実は大の日本好き」であるということだ。
イスラエルの人々の説明では、イスラエル人の日本好きには以下のようないくつかの背景があるらしい。
イスラエルも日本も大変古い一貫した歴史を持っている民主主義国家
第二次世界大戦の前後に両国とも大変困難な状況に直面した(イスラエルは大量虐殺やパレスチナとの領土確保の戦い、日本は大量の戦死者と米国による占領からの独立など)
それにも関わらずその後の技術革新や工業化により高度に文明化し、先進国となった
現在も独裁的な国家や武装勢力によって厳しい安全保障環境に置かれているが、米国との同盟などを基軸にしっかりと国土を防衛している
日本は深い歴史に根ざした独自の文化を持ち、食べ物もおいしく、マンガやアニメなどで世界に強い文化的な影響力・発信力を持っている
しかし実際にはさらに、上記のような理屈以上に、イスラエル人は日本と日本人が「大好き」であるという印象を持った。
それは、今回の視察で体験した以下のようなことにも表れている。
(ドッキリ企画のような話だが)街を歩いていると常に注目の的になり、かなり頻繁に「日本人ですか?」と聞かれ、「イエス」と答えると「一緒に写真を撮らせて」と頼まれることが何度もあった。そこまでいかなくても『こんにちは、ようこそイスラエルへ』と日本語で挨拶されることも多かった。
10.7テロの被害を語ってくれた現地の女性は「今一番行きたいのが日本なの」と言っていたし、ガザ周辺地域の基地の若い女性司令官は、10.7テロ後にやっと取れた休暇では日本(福岡、大阪、京都)に1週間ほど旅行したとのことだった。
他の何人かからも「今、若者たちの間では、日本に旅行するのがブームだし、クールなことなんです」という説明もあった。
私自身「ユダヤ人」のイメージとして、「黒い帽子・黒い衣装に長いヒゲ、もみあげも長くてくるくる巻いている人」という、ややとっつきにくい印象があったし、実際にイスラエルでそうした人とたくさんすれ違ったが、やはり実際にちょっととっつきにくいと感じた。
一方でそれとは別に、ユダヤ人は自分たちの気質を「フツパ」という言葉で表すとのこと。
これは、「人懐っこくて他人とも大きな家族のように付き合うフレンドリーな気質」のことらしい。
上述のような我々日本人への接触の仕方は、まさに「フツパ」を感じさせるものであるが、彼らによると、さらに「日本人は特別だ」ということであった。
こうしたことは、やはり実際に来て、見て、話を聞かないとわからないことであった。
イスラエル人が我々日本や日本人のことを「大好き」であるということは、両国関係をさらに深めていく上で我々の大きな強みになりうる。
少なくとも我々は、このように好意を抱かれているということを認識し、自覚し、それに応えるような対応をもっと意識して外交を進めていく必要があるのではないか、と感じられた。
(この最中に何度も声をかけられ、一緒に写真を撮って欲しいと言われた)
3.ガザ地区をはじめ中東問題を解決することは本当に難しい
もう一つ、来て、見て実感したこととして、「エルサレムでは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地が、狭い範囲にひしめき合っている」ということである。
ユダヤ教の「嘆きの壁」、キリスト教の「聖墳墓協会」、イスラム教の「岩のドーム」などは、それぞれ歩いて数分の範囲に所在しており、それぞれに巡礼する異教徒たちが古い街並みを行き交っている状況にあった(それでも10.7テロの後はそれぞれの巡礼者が大幅に減少し、まだ回復していないとのこと)。
さらに、これらの宗教間の聖地を巡る争いは、長い歴史に根ざしているということ。
やや不正確な面もあると思うが、ざっとまとめると以下のような歴史的な経緯に思い当たる。
今回のガザ侵攻はイスラエルからハマスへの攻撃だが、それは2年前の10.7テロの報復とハマス組織による更なるテロのリスクを除去するため(イスラエル側の事情)
2年前の10.7テロは、ハマスがイスラエルの領土をパレスチナの手に奪還し、ユダヤ人を根絶やしにするために起こした(ハマス・パレスチナ側の事情)
ユダヤ人は第二次世界大戦中のナチス・ドイツによる大量虐殺が二度と起こらないように(国連決議をもとに)イスラエルを建国した(イスラエル側の事情)
ナチス・ドイツによるユダヤ人の大量虐殺は、ユダヤ人を生理的・生物学的に異質なものと位置付けて根絶やしにしようとした(反ユダヤ人側の事情)
ユダヤ人たちは中世ヨーロッパなどで、キリスト教徒から迫害を受けながら自分たちのコミュニティを守り、金融などのキリスト教徒たちが忌み嫌う仕事を担うことで居場所を確保してきたが、債権者として君臨し、財をなしたユダヤ人たちはさらに憎悪の対象となってきた(ユダヤ人側の事情)
キリスト教徒は中世ヨーロッパの教義の中で、イエス=キリストをゴルゴダの丘で処刑したのはローマ帝国と結びついたユダヤ人であると位置付け、宗教的な敵とみなして迫害の対象とした(反ユダヤ人側の事情)
そもそも宗教的な成り立ちとして、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教は一神教であり、同じような教義から出発しながら、近親憎悪的な感情もあって、それぞれが並び立つことが難しい
と、ざっと書き出してもこれだけの歴史や事情が出てくるが、それでも到底これで書きつくしたとは言えないだろう。
このように考えてくると、もはや誰が悪くて、どこまで遡ればみんなが納得する解決策が見つけ出せるのか、もう誰もわからなくなっているのではないか、という印象を受けた。
日本政府は従来から、イスラエルとパレスチナの問題には「二国間解決が望ましい」との立場をとってきたと言われる。
これは、「イスラエルの現状維持をある程度認める一方で、パレスチナも国家として承認し、ヨルダン川西岸やガザ地区をパレスチナの領土として認める」という立場である。
一方で、当然のことながらイスラエルの政府関係者からは、この「二国間解決」は決して現実的な解決策にはなり得ないし、その実現可能性はどんどん失われている、という意見が複数聞かれた。
彼らの中には、「二国間解決(Two-State Solution)は、解決(solution)ではなく幻想(illusion)だ」という発言さえ聞かれた。
我々訪問団のメンバーの間でも、上記のような現状を見て、聞いて、意見交換するうちに、これは相当根の深い問題であり、簡単に解決できるものではない、つまり「二国間解決は現実的には難しいのではないか」という意見が大勢になったのではないだろうか。
長い時間をかけて、お互いが平和のうちに共存する時間を重ねていき、世代が入れ替わっていく中で解決策を見出していかなければならないのではないか、と感じられた。
4.おわりに(それでは日本はどうするべきか等)
(1)イスラエルとの交流を深めるべき(特に農業や先端技術分野)
まず第一に、イスラエルのことをもっとよく知り、人的な交流を深めることである。
今回の視察では、「食料自給率はほぼ100%。そうでなければ敵対的な周辺国に囲まれる中で国民生活を維持できない」という説明があった。
それを裏付けるように、移動中の道路の両側には小麦や果樹などの整備された農地と植林された林が広がっていて、高度に発展された水耕栽培や「3回利用する」という水利用も含めて、建国以来長い時間をかけて砂漠地帯を開発し、徹底的に利用の高度化を高めてきた努力が窺われた。
実際に、食事の際には常にフレッシュな野菜や果物がふんだんに出てきて、それぞれが瑞々しくておいしく、そのほとんどがイスラエル国内で採れたものであるとの説明は、我々の事前のイメージをいい意味で大きく覆すものであった。
また、少ない資源や人的資本を最大限に活用するために、歴史的に科学技術の研究と技術革新が重要視され、成功することよりも挑戦することが奨励されてきた文化がある。
こうした文化に根ざしてイスラエルは多くのノーベル賞科学者を排出してきたほか、世界有数のスタートアップ大国となっており、特に防衛やサイバーセキュリティ、インターネット技術、宇宙などの先端分野で、世界をリードする状況にある。
日本はこうしたイスラエルにおける先進的な取り組みを、その挑戦を奨励する姿勢も含めて学び、取り入れるべきである。
また、先端技術を実装し、産業化することに強みを持つ我々日本企業がイスラエルのスタートアップ等と提携することを推進していけば、両国にとってさらに大きな飛躍につながるのではないだろうか。
(2)日本人はもっとイスラエルやユダヤ人を理解すべき
両国の人的な交流もまだまだと言える。
上述のように、イスラエル側からの「大の日本好き」とも言えるスタンスに対して、我々日本人はあまりにもイスラエルのことを知らない。
知らないどころか、誤った情報や意図的に操作された情報によって作られたイメージを抱いてしまっているケースが多いのではないだろうか。
実際に、上述の通りイスラエルにおける最も人気の観光地は日本であり、往復の直行便は常に満席の状況とのことだが、我々が往復した航空機の座席に日本人はほとんど見られなかった。
我々も出国前に「イスラエルに視察に行きます」というと、「今行っても大丈夫か?」「くれぐれも気をつけて」と言われることが多かったし、実際に我々も少し緊張しながら入国した。
もっとも、テルアビブやエルサレムの市街地など、観光やビジネスで滞在するような場所では、厳しい安全保障環境にあることは(所々にあるセキュリティチェック以外には)ほとんど感じられず、平和的な日常生活の風景が広がっていた。
実際に「アイアンドーム」と呼ばれる世界最先端の防空システムがしっかりと機能しており、全体としては95%程度、大都市圏や人口密度の高い地域ではほぼ100%の迎撃実績となっているとの説明があった。
つまり、イスラエル国民のほとんどは、他国からのミサイル攻撃は日常茶飯事であるが、それによる被害はほとんどなく、それほど恐れていないという現状を目の当たりにすることになった。
さらに、最後に訪れたヤッファのような地中海沿岸は、今回のような冬でも気温20度を超えて暖かく、古い街並みが青い海によく映え、リゾート地としての高いポテンシャルが感じられた。
ガザ地区はそこからさらに南の地中海沿いの地域にあたり、「政治的な問題がなければ高級リゾート地としての条件が揃っている」という声も現地ガイドから聞かれた。
こうしたイスラエルの現状は、日本ではほとんど認識されていない。
我々はもっとこうしたイスラエルの現実を知らなければならない。
そのためには、もっと多くの人が観光やビジネスで現地を訪れ、現地の状況を見て、それを共有していかなければならないと感じた。
少なくとも、ハマスによって意図的に操作され拡散された偽情報や、情報不足からくる勝手な思い込みによって判断し、食わず嫌いになっている現状は、両国にとって全く建設的な状況ではないということが痛感された。
(3)防衛面での連携・協力を進めるべき
もちろん、両国が連携を深めていくべきもっとも有望な分野は防衛面であろう。
イスラエルも日本も、ともに「アジアの民主主義国家」であり、「アメリカの同盟国」という共通点と立ち位置を持つ。
そして周囲を、決して友好的とは言えない独裁的国家・覇権的国家に囲まれ、厳しい安全保障環境に置かれている。
例えば、サイバーセキュリティにおける監視技術やドローン、宇宙技術などの分野では、日本とイスラエルの両国とアメリカが連携することにより、他国が追随できないような高度な防衛技術を構築することが可能となるのではないだろうか。
実際にイスラエルからは、ぜひ日本と防衛面での協力を進めたいというラブコールが複数の政府首脳から聞かれた。
こうした取り組みを進めることは、東アジアの平和と安定のため、現状を力で変えようとする試みに対する強力な抑止力となりうるだろう。
今回の、過去最大規模の国会議員団の訪問と意見交換を、今後の両国の取り組みの深化に繋げていかなければならないという思いを強くした。
(4)同時にパレスチナ側の言い分も聞き、できればその仲介役となるべき
一方で、上述の通り、極論すれば、今回は一方的にイスラエル側からの視点で物事を見て、イスラエル側の説明を聞いたに過ぎない。
例えそれがある程度の客観性と説得力を持っていたとしても、ハマス側、パレスチナ側からの言い分も聞かなければフェアとは言えないだろう。
幸運なことに、イスラエルの最大の敵対国家であるイランは、かつて日本に多くのイラン人が訪れるなど、歴史的には日本に親近感を持っている国として知られている。
さらに、イラン以外でも、トルコやヨルダン、中央アジア諸国など、歴史的な経緯などで日本に親近感を持っているイスラム側、親パレスチナの国は少なくない。
また、日本の多神教的な文化、さまざまな宗教を柔軟に受け入れる歴史に根ざした国民性は、こうしたさまざまな事情を持つ国々の間に立ち、それぞれの立場を尊重しながら関係性を結んでいくことができるという大きな利点を持っているのではないだろうか。
こうした強みを持つ日本が、パレスチナ側とも相応の関係性を構築し、その言い分を聞き、イスラエルやアメリカとの仲介役を務めることは、日本に期待された、そして日本にしかできない役割なのではないだろうか。
もちろん簡単な役回りではない。
しかし、平和国家を標榜し、軍事力・防衛力だけに頼らない平和外交によって東アジア地域の、そしてグローバルな平和と安定を構築していく責任を果たしていくためには、このような日本の絶好の立ち位置をしっかりと認識し、その認識のもとで何ができるか、何をしなければならないかを改めて真剣に検討する必要があるのではないだろうか。
(5)残った疑問
このように考えてきた上で、最後に残った一つの大きな疑問がある。
それは、「なぜこれだけの諜報網(モサドやハッキング技術等)や防御力(強力なイスラエル軍等)を持っていながら、10.7テロを防げなかったのか」ということである。
面談の中で何度かこの疑問をイスラエル政府関係者に問いかけた際には、「諜報活動などで得た情報の過小評価」、「防衛力の高さに対する過信と傲慢さ」、「ハマスやパレスチナ側への(希望的観測を含めた)信頼感」などをその背景にあげていた。
こうした反省から、10.7テロ以降は、「どんな小さな兆候も見逃さない」、「防衛力を過信しない」、「ハマスやパレスチナへの強硬姿勢・強硬措置」などを実践しているとの説明もあった。
しかしやはり、どんなにこうした説明を受けても、これまで最新の注意を払って自分たちの領土を守ってきたイスラエルが、10.7テロではいとも簡単に(と感じられるように)ハマスの戦闘員によって民間人を含めた虐殺を許したというのは、今回最も辻褄が合わないと感じたことであった。
今回のイスラエル訪問で、最後まで後味の悪さが残った点であった。
<参考>イスラエル訪問のスケジュール
【1月4日(日)】
(18:35)成田空港発
【1月5日(月)】イスラエル視察1日目
(0:30)イスラエル・テルアビブ空港着
(9:00-10:30)国立ホロコースト記念館「ヤド・ヴァシェム」見学
(13:15-17:00)ガザ近郊視察
・キブツ(村)のテロ襲撃現場
・ナハル・オズ基地からの拉致被害者
・ノヴァ音楽祭の会場での生存者
【1月6日(火)】イスラエル視察2日目
(9:00-11:15)イスラエル国会「クネセト」訪問
・アミール・オハナ国会議長と面談
・メラヴ・ベン=アリ日本・イスラエル友好議員連盟会長と面談
(11:30-13:00)マハネ・イェフーダ・マーケットで昼食(食べ歩き)
(13:15-14:40)イスラエル外務省見学
・10.7テロの虐殺の記録映像(20分)を視聴
(15:00-16:30)エルサレム旧市街地を視察
・聖墳墓教会
・嘆きの壁
(18:00-19:00)ビンヤミン・ネタニヤフ首相と面談
(19:20-19:50)イツハク・ヘルツォグ大統領と面談
【1月7日(水)】イスラエル視察3日目
(8:15-10:30)イスラエル外務省
・ギデオン・サール外務大臣と面談
・アジア局で意見交換
(12:00-13:40)イスラエル国防軍・キリヤ司令部訪問
・中東地域の安全保障環境の説明
・ガザ地区に対する人道支援の現状説明
(14:00-16:00)ヤッフォにて昼食・古い市街地の視察
(18:50)イスラエル・テルアビブ空港発
【1月8日(木)】
(13:00)成田空港着


神田議員、この度のイスラエル訪問、本当にお疲れ様でした。 世界的な反ユダヤ主義、そしてイスラエルへの無理解と誤解が吹き荒れる中、現場を訪れ生の声を聞くということが、いかに尊く勇敢なことだろうかと思います。 これからも益々のご活躍をお祈り致します。
多くの方がイスラエルにより殺されてしまいましたが、ガザのパレスチナ人ジャーナリストの方のアカウント等もご覧になってください。 イスラエルによる空爆、ドローン攻撃、発砲等で7万人以上のガザの人々がどのように亡くなったのか、どのような環境にいるのか、少しばかりはご理解頂けるのではない…
神田先生、詳細なレポートありがとうございます。イスラエルは10.7の虐殺テロ、拉致、監禁、拷問、殺戮の被害を受け、拉致被害者を取り戻す奪還作戦を800日以上続けて来ました。市街地ずっーとロケット弾、時にミサイル雨を受けながら素晴らしい防空システムがあるとはいえ着弾により人命失われや建物…