近似的に恋をする
■本編未プレイで、見たのはUBW。途中プレイはEXTRA。士郎の性格がわかりません……;ω;■別シリーズ書く前のリハビリで。士弓があんまり少ないので、ええーい!書いたれ!!!となって書いた……・ω・プロットすら立てなかったのでメモ書きクオリティですがもし良ければ見てやって下しあ■いきなり士郎くんのサーヴァントがアーチャー設定です。時系列は適当捏造。まさにやおい。お粗末様です;ω;もっと士弓が読みたいです安西先生……っ■タグ、評価ありがとうございます……!つ、続き、だと……!?続きはないんだぜ……でも嬉しいので何か書きたい……。■小説ルーキーRK95位ありがとうございます!><■士弓スキーの同士が予想上にいらっしゃって嬉しい……っ!>ω<
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理想に焦がれた。
いっそ痛々しい程、貫いたその姿勢に。
常人では至れぬ道程を突き進み続け、理想を叶えたその身に憧憬を抱かずにはいられなかったのだ。
例え自分がその道程を決して歩まぬとわかっていて――否。
決してその道程を辿れぬ、辿る事を望まれておらず、また自身も望んでいないからこそ。
強烈に惹かれ、焦がれるのだ。
もっとずっと、近い距離で、この眼に焼き付けていたい。 離れる事なぞ許さずに、決して己が至れぬ理想そのままの理想自身を抱いていたいのだ。
近似的に恋をする
あの男を――アーチャーを、士郎は自身と重ねた事はあまりなかった。そう言えば他人は意外に思うだろう。
何せあの男と自分は『衛宮士郎』であり、同一人物なのだ。
アーチャーが士郎についてどう考えているのか士郎には判らない。
だが、士郎はアーチャーをまさに自分自身だと同一に考える事は出来なかった。
アーチャーはあまりにも【理想】であり過ぎた。理想とは追い求めるものであり、自身のものとして掴み取った時点でそれは理想ではない。終着点と始点の自分。同じ衛宮士郎でもあまりにも違う、あの男と自分の在り方。
(アーチャーを、『俺』だとは思えない。確かに『衛宮士郎』でも、それでもあの男が俺の将来の姿だとは思えない)
でなければ。
これ程に惹かれる筈が、眩しくて、どうしようもなく欲しいと思う筈が、あるだろうか。
(俺の理想だからこそ、惹かれるのか。惹かれるからこそ、俺自身だと同一視できないのか)
複雑な感情だった。胸を渦巻く感情、感傷。
苦く、屈辱的で、甘く、背徳的で、現実味がないにもかかわらず、凄烈。
可笑しかった。どんな言葉を、概念を並べ上げたところで、自分があの紅い弓兵に惹かれているのは間違いないのだから。言い訳する自分が子供じみて思えたのだ。
少年らしさから逸脱し始めた苦味を口端に浮かべながら、士郎は笑った。
自身を子供の様だと思いながら、『男』の顔で士郎は笑っていた。
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「最近ちょっと顔つきが変わったわね、あんた」
煎餅を咀嚼し終えて早々、遠坂凛がそう言い放った。
いれたてのほうじ茶を配膳していた士郎は、思わずどきりとして動きを止めてしまった。
そのあからさまな動揺に赤い悪魔の美しい唇がにんまりと意地悪げに歪んだ。
――思わず、頭を抱えたくなる。
「何かあった?」
揶揄するような言葉に、隣に居た桜の肩がびくりと跳ねる。
何故桜がそこで反応するのか士郎には判らないが、何だか彼女の辺りの空気が重く淀み始めている様な――。
否、気のせいに違いない。
目線を逸らせば赤い悪魔の活き活きとした視線とぶち当たる。
「何かあるわけないだろう?」
数日前まで遠坂は所要でロンドン時計塔へ赴いていた。
といっても、僅か数日の不在である。
――何かがあってたまるか、と思う。
けれど本当に、そのたった数日で実際に『何か』があった。
遠坂が指摘したくなる類の何かが。
思わず、目を逸らして肩を竦める。
とぼけようとする士郎に、赤い悪魔はにやにやと笑いながら追撃する。
「そう? まるで片思いでもしているみたいな、思いつめた顔しているけれど」
――ガシャンッ。
彼女の発言にその場の人間が全て固まっている中、大きな音が響いた。
桜がセイバーの前に差し出していた深皿が、テーブルに派手に落ちて大きな音を立てたのだ。
わんわん、と円を描いて皿の動きが止まる。
飛び散った個別包装の白い饅頭をセイバーがハッとした様にせっせと皿に戻し始めても、桜は無言でうつむいている。
「え? 嘘――マジな訳?」
遠坂は自分で言っておきながら、挙動不審でうろたえている。
冷や汗が吹き出てきた。
そんな訳がないだろう。苦々しく呟いた言葉は誰が聞いても嘘だと判る程に掠れていて、説得力がなかった。