閉店日迎えた名鉄百貨店 客として従業員として「人生の隣りに…」
名古屋駅前の名鉄百貨店本店(名古屋市中村区)は28日、開店から71年あまりの歴史に幕を下ろします。買い物の楽しさだけでなく、店舗前の巨大マネキン「ナナちゃん」、世界で現存するのは同店に2台のみという手すりが垂直に落ちるエスカレーターといった名物でも知られ、愛されてきました。1954年の開店以来、地域とともに歩んだ日々のラストシーンを詳報します。
10:00
開店後に客が続々「ありがとう」
午前10時に開店すると、店の前で列を作っていた客らが続々と店内へ。
「おはようございます。いらっしゃいませ」と迎え入れる従業員らに「ありがとう」「さみしいです」と声をかける客の姿もあった。百貨店の石川仁志社長も自ら店頭に立ち、記念品の花を配っていた。
開店直後の1階は大混雑。貴金属店の前でショーケースを眺める人や、従業員から商品の説明を受ける人らで、歩く隙間がないほどの盛況ぶりだった。
09:30
本店長「いよいよ最後の一日」
名鉄百貨店の1階では、従業員らが参加する最後の全店朝礼があった。
犬塚篤史・本店長は「71年の歴史は単なる数字ではありません。一人ひとりが積み重ねてきた誠実な仕事の集積が歴史を作ってきました」と述べ、「いよいよ最後の一日です。私たちが積み重ねてきたおもてなしを最後の最後まで届けてください」と呼びかけた。従業員から、大きな拍手があがった。
08:30
開店を待つ女性「さみしい」
午前8時半ごろから開店を待っていた名古屋市中川区の女性(56)は、高校卒業後の約10年、名鉄百貨店の食品売り場の販売員として働いていたという。
「他のブースとの売り上げ競争もあって面白かった。職場が変わってからもよく立ち寄って買い物をした」と振り返る。
小学生の頃から通ってきた名鉄百貨店の閉店。昔は売り場の床が木でできていたといい、歩く度に音を立てながら、親が買い物をしている間に弟と服の間に隠れて遊ぶなどした思い出が懐かしいという。「百貨店は人生とずっと隣り合わせだった。さみしいね」とこぼした。