WHAT IS “JAPAN PRIZE”?

世界中の教育コンテンツクリエイターたちがつくる国際アワード「日本賞」とは何か?

教育コンテンツを手がける世界のクリエイターたちが毎年注目するアワード「日本賞」。NHKが1965年に立ち上げて以来、50年以上の歴史をもつ同賞は、社会における「教育」の変化を敏感に感じ取り、多様な作品を取り上げてきた。4月22日(月)に開催されるアカデミーヒルズとのコラボレーションイベント「ライフ・デザイン~「日本賞」エントリー作品から学ぶ、人生の“魅せ方”と“編み方”~」を前に、事務局長の田中瑞人に「日本賞」の意義とその可能性について聞いた。

TEXT BY Shinya Yashiro

国際的な議論の場をつくるために

1965年にNHKが立ち上げた「日本賞」という国際的なアワードがある。日本の伝統文化などを審査するアワードのように思えるが、実はその評価軸は「日本的」であるかどうかとは関係がない。「教育」をテーマに世界でつくられた作品を審査するアワードなのだ。

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1/5青少年向けカテゴリーの作品を審査する第二部会の審査員たち(「日本賞2018」より)
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2/5クリエイティブ・フロンティアカテゴリー プレゼンテーション審査(「日本賞2018」より)
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3/5クリエイティブ・フロンティアカテゴリー ファイナリスト作品ショーケース(「日本賞2018」より)
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4/5「教育×多様性」エントリー作品上映とセッションの様子(「日本賞2018」より)
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5/5グランプリ日本賞 受賞作「マイ・ライフ ビデオブログが私の人生」をプロデュースしたローナ・ケネットさん(「日本賞2018」より)

2017年から日本賞の事務局長を務める田中瑞人は、その創設の背景をこう語る。「実は、日本賞より古い『イタリア賞』というイタリア放送協会(RAI)が実施しているアワードがあるんです。第二次世界大戦でヨーロッパに災いをもたらした同国は、ある種その『償い』として1948年に公共番組によって文化を支えるプラットフォームを作り、国際的な交流を始めたんです」

文化を通じて行われる世界との交流——。当時からその重要さに気づいていたNHKは、1960年代にプラットフォームのローンチを決意。イタリア賞をはじめとする世界のコンクールと差別化するために、教育をテーマに創設されたのが「日本賞」だ。「『セサミストリート』が衝撃をもって受け入れられていた時期でした。パペットを巧みに使った演出は、教育番組として本当に新しいものだったんです。あとは、英国のBBCや北欧の放送局も、体系的な学校教育番組を制作していました。ネットに何でもあるいまと違って、当時はテレビに教育のニーズがあり、様々な試みが行われていました」

日本でも、都会の学校だと容易に可能な理科の実験が地方だと難しいなど教育の格差が問題となっており、「遠隔教育」が熱心に研究されている時期だった。「そのため日本賞が始まった当初は、数学や昆虫を扱った学校教育番組がグランプリを受賞することも多かったですね。また、成人向けの作品も従来からある講座形式のものが主流でした」

田中瑞人 「日本賞」事務局長 1964年生まれ。87年、NHK入局。音楽芸能番組部、京都放送局、ハイビジョン番組部を経て、96年から教育分野の制作に携わる。音楽教育番組「わがままオーケストラ」で国際エミー賞ノミネート。数学教育番組「マテマティカ」で日本賞総務大臣賞受賞。現在「日本人のおなまえっ!」「テンゴちゃん」などの制作を統括するほか、制作局のデジタル戦略設計やMIT media labとの共同研究を担当している。2017年から「日本賞」事務局長(Photo by Koutarou Washizaki)

しかし、1990年ごろから、その流れに変化が起き始める。徐々に社会性の高い作品が注目を集め始めてきたのだ。「1989年の『驚異の小宇宙 人体~免疫~』というNHKの番組がグランプリを取ったころから、新しい流れが生まれてきた印象があります。次第にジャーナリスティックなものや、大人向けのドキュメンタリーが増えてきました。その後はいじめなどの社会問題が注目されるようになり、フォーカスの対象が完全に変わりました。当時の受賞リストを眺めると社会の変化が垣間見えます」

時代に合わせて変化する「教育」の意義

自身もNHKの番組制作者としてキャリアを育んできた田中は、日本賞のグランプリを受賞した『いじめー生き残るために~いじめの心~』という番組のことが忘れられないという。「1997年にBBCがエントリーした作品なのですが、社会的なムーブメントを放送局がつくったという意味で衝撃的でした。この番組が発表されたのは、英国の学校にも大量にいじめがあることが統計的に明るみに出た年でした。BBCは番組を作るだけではなく、NGOと協力し、『ヘルプライン』といういじめの電話相談ホットラインを開設したのです。番組と合わせて、世論のディスカッションを引き起こしたBBCに、放送局が社会に果たす新しい役割を見せられた気がしました」

その後、メディアの変化に合わせて、日本賞を受賞する作品も徐々に変化してきた。しかし、その評価軸は基本的に変わっていないという。「普通のアワードは、番組の出来や、面白さで評価されます。ただ、日本賞はずっと『教育効果の高さ』に軸を置いています。たとえば、教育目的でデザインされた番組を授業で放映すると、すぐに子どもたちの間で議論が始まるんです。その後の人間形成に影響するといっていい。娯楽番組は、映像を観ている間は子どもを引きつけますが、その後の行動が変容するかというとそうはならないことが多い。その意味で、日本賞は、子どもがどういった大人になるかに影響を与えられる作品が選ばれる賞であり続けてほしいと思っています」

日本賞のもうひとつの特徴は、数ある教育コンクールのなかでも特に制作者をひきつける独自の地位を保ち続けてきた点だ。その理由のひとつは、毎年審査委員を変えるなど、オープンな運営姿勢を貫いてきたことによる。「毎年32人の審査委員を世界中からリクルートするのは大変な作業です。事務局の情報だけでは足りないので、世界中の放送局や制作関係者などに声をかけ、紹介してもらうこともあります。その結果、長年の間に審査委員のコミュニティが築かれ、ネットワークが培われてきました」

そうした世界規模のネットワークは、同時に最先端のトレンドへのアンテナとしても機能する。変化する教育の定義、解釈に応じて、近年は作品のなかでインタラクションがうまくデザインされているかどうかが大きくなっているという。「2018年のグランプリ日本賞を受賞した『マイライフ ビデオブログが私の人生』というBBCの作品は、動静脈奇形という疾患のため、顔に隆起がある主人公が ビデオ・ブログで自身の姿を公開している様子を伝えたドキュメンタリーです。この作品ではYouTuberになるためのアドバイスを視聴者に向けてしてくれたりもします。ネットに自分の顔を晒すとこういう反応が来るから、こう対処した方がいいと自身の経験を通して発信するなど、これまでの作品とは一線を画す内容になっています」

街の世界観を拡げるために

そんな日本賞が、今回アカデミーヒルズとのコラボレーションで「ライフ・デザイン~「日本賞」エントリー作品から学ぶ、人生の“魅せ方”と“編み方”~」というイベントを行うことになったのは、「ダイバーシティ」というキーワードがきっかけだった。2018年の「INNOVATIVE CITY FORUM」における教育に関するセッションでの取り組みの結果、まちづくりを手がける森ビルは自身が捉えてきた世界の狭さを痛感するとともに、同じ時期に開催された日本賞の授賞式で目にした作品を通して、ダイバーシティの捉え方や枠組みが拡がったのだという。そんな世界観を見つめ直す機会を、街に暮らし働く人たちにも体験してみてほしいとの思いが、イベントの根幹にある。

一方で田中は、今回の機会が日本賞のもつ価値を世の中に還元するチャンスだと捉えているという。「毎年エントリーされる北欧の性教育の作品は障害者の性を扱ったものでもコメディタッチで、見方によってはブラックユーモアを感じることもあります。ただ彼らはあっけらかんと、あくまでそれを『ハウツー』だと思っている。日本人とは何をタブーと捉えるかが違うんですね。作品を観ながら、北欧と日本の違いが多様性のなかにあることが分かると、すごく自由になれるはずです。今回のイベントでは、オランダ、イギリス、オーストラリアでつくられた障害をテーマにした作品を3本上映します。作品で描かれる各国の『違い』に触れれば、日本の習慣に囚われて考えがちな人にも『自分の頭で考えていい』という当たり前のことが理解してもらえるはずです」

田中のいう通り、様々な制作者の手でつくられた作品を観ることで人は自分が知らなかった存在に触れ、世界の多様性を感じることができる。4月22日(月)のイベントは、世界の教育作品と相対してきた「日本賞」の在り方から、ダイバーシティの本当の意味を知る貴重な機会となるだろう。

A PLEASANT LUNCH BOX

見た目も味も大満足。アウトドアで魅せるランチ

アウトドアが心地いい季節。ランチタイムには、お弁当を買って外へ出ましょう。ここでは、見た目も味も大満足な、楽しいランチボックスが見つかる、珠玉の3店をご紹介します。

TEXT BY KAZUHIDE TAIRA
EDIT BY TM EVOLUTION.INC

薪で炊いたご飯と極上のおかずで心も豊かに
ぎん香(ギンカ)

ぎん香(ギンカ)
5/5店内ショーウインドーには、様々なお惣菜も。ポテトサラダ¥150から、たまご焼き¥150、焼き魚の真空パックまで。夕食にも重宝しそう。
鮭・銀だら西京焼弁当¥2,000
1/5鮭・銀だら西京焼弁当¥2,000。ほど良い塩味の鮭と、炭火でふっくら焼き上げられる脂ののった銀だらが食欲をそそる。付け合わせは、煮物、香の物、たまご焼き、ブロッコリーなど。
さば・豚塩こうじ弁当¥1,300
2/5さば・豚塩こうじ弁当¥1,300。意外な取り合わせだが、脂ののったさばとこうじ漬けの豚肉のジューシーな味わいが絶妙にマッチ。
ぎん香(ギンカ)
3/5包装も端正で、開けるのが楽しみになること請け合い。
ぎん香(ギンカ)
4/5薪釜で炊き上げられるご飯も珠玉の味わい。つやつやのお米は、ほんのりとおこげの香りがし、どこか懐かしい。
ぎん香(ギンカ)
5/5店内ショーウインドーには、様々なお惣菜も。ポテトサラダ¥150から、たまご焼き¥150、焼き魚の真空パックまで。夕食にも重宝しそう。
鮭・銀だら西京焼弁当¥2,000
1/5鮭・銀だら西京焼弁当¥2,000。ほど良い塩味の鮭と、炭火でふっくら焼き上げられる脂ののった銀だらが食欲をそそる。付け合わせは、煮物、香の物、たまご焼き、ブロッコリーなど。

最適な状態で熟成され、炭火で丁寧に焼き上げられる極上の干物、丁寧に手作りされたお惣菜、そして薪でふっくらと炊いたご飯。ここは、お弁当という小宇宙を、選び抜かれた食材と卓越した技術で作り上げる、既成概念とは一線を画した至極のお弁当屋さんだ。

爽やかな春の風を感じながらこのお弁当を開けば、美しい盛り付けと芳しい香りに心も弾む。さば塩焼、鮭塩焼、鮭ハラス焼、銀だら西京焼、とりこうじ焼、牛みそ焼、豚みそ焼、豚塩こうじ焼を単品で、もしくは組み合わせで提供するお弁当は30種類以上。季節の素材を使った煮物や和え物、ポテトサラダ、ひじきなどは、単品で付け加えることもできる。

近隣オフィスワーカーはもちろん、その評判を聞きつけ、予約を入れて遠方から買いに来る客まで、ランチタイムは大賑わいだ。¥3,000から配達も可能。ランチタイムにお弁当を広げ、おかずを分け合いながらわいわい食すのも良し、オフィスに持ち帰ってパワーランチも良し。それぞれの時間を『ぎん香』のお弁当が彩ってくれそうだ。

ぎん香(ギンカ)

ぎん香(ギンカ) 住所 東京都港区麻布十番3-3-7 1F 電話 03-6453-7885 営業時間 9:30~15:30/16:30~21:00 ※予約可 ※カード使用可 ※価格は税込

思わず感嘆する、見め麗しきいなり
呼きつね(コキツネ)

呼きつね(コキツネ)
4/4うっかりすると見逃してしまいそうな、こじんまりとした店構え。小さな看板を目指して。
呼きつね(コキツネ)
1/4ご飯を包むのではなく、「巻く」スタイルの小さないなりには、ハランに巻かれた柴漬けが添えられる。これがまた、いなりに好相性。
呼きつね(コキツネ)
2/4この日の具材は、焼海苔、ししゃもの卵、明太子、金胡麻、くるみ。具材は季節によって変わる。
呼きつね(コキツネ)
3/4こちらは20個入り¥3,000。蓋を開ければ、ぎっしりと詰められた細長く小さないなりが並ぶ。その様は、まさにインスタ映え。
呼きつね(コキツネ)
4/4うっかりすると見逃してしまいそうな、こじんまりとした店構え。小さな看板を目指して。
呼きつね(コキツネ)
1/4ご飯を包むのではなく、「巻く」スタイルの小さないなりには、ハランに巻かれた柴漬けが添えられる。これがまた、いなりに好相性。

六本木の閑静な住宅街にひっそりと佇む、いなり専門店。清楚で可愛らしい見た目、ひと口で食べられる小ぶりで上品な姿が評判を呼び、一般の方々はもちろん、楽屋見舞いや撮影の差し入れなど、芸能関係の方々にも愛される、唯一無二の個性的ないなりを供している。

使うお揚げは熊本の南関揚げ。これを丁寧に油抜きし、時間をかけて煮込む。巻き上げられる酢飯は、いなりに合うようブレンドされた米を使い、酸っぱ過ぎず、甘過ぎず、お揚げとの絶妙なハーモニーを奏でる。いなりは20個入り¥2,500~に加え、8個入り¥1,000~、27個入り¥3,600~、48個入り¥7,000~の5種。様々なシチュエーションの“お持たせ”に対応してくれる。もちろん、我が家へのお土産にも喜ばれそうだ。

店名である『呼きつね』の由来は、店の矜持でもある「福を呼ぶ、笑顔を呼ぶ、感動を呼ぶいなり」の意。忘れ難い見た目、繊細な味わい……ハイブリッドな魅力に満ちた、いなりの新境地を是非。早い時間に売り切れることも多いので、予約がお勧めだ。

呼きつね(コキツネ) 住所 東京都港区六本木7-12-12 小林荘1F 電話 03-6434-9171
 営業時間 10:30~19:00 定休日 月曜(祝日の場合は翌火曜休み) ※予約可 ※カード使用不可 ※価格は税込

焼肉の名店が供す、肉尽くしのディナー弁当
焼肉 TORAJI 麻布十番店(ヤキニクトラジ アザブジュウバンテン)

焼肉 TORAJI
4/4麻布十番駅至近。2軒目に繰り出すのも好立地だ。
トラジ弁当¥2,800
1/4トラジ弁当¥2,800。入る肉は、生タン塩、生カルビ、ハラミ、ヒレ焼。ライス、キムチナムル付き(ライス大盛+¥100)。
焼肉 TORAJI
2/4『TORAJI』とは、韓国語で「桔梗」の意。彼の国では、その根が生薬として用いられており、店の理念でもある「医食同源」を表したもの。
焼肉 TORAJI
3/44~18名の個室が9室ある。掘り炬燵式で、ゆるりと焼肉が楽しめる。
焼肉 TORAJI
4/4麻布十番駅至近。2軒目に繰り出すのも好立地だ。
トラジ弁当¥2,800
1/4トラジ弁当¥2,800。入る肉は、生タン塩、生カルビ、ハラミ、ヒレ焼。ライス、キムチナムル付き(ライス大盛+¥100)。

『TORAJI』は、1995年、恵比寿に1号店をオープン。24年が経過した今では、全国に60店舗を構えるに至った。店舗は、それぞれが異なる意匠でゲストを出迎えてくれる。ここ麻布十番店のインテリアは、どこか懐かしく温かい空間だ。木や土、紙を多用した内装は、落ち着いた雰囲気。その中で、厳選された肉が満喫できる。店内は、大きなオープンキッチン、小上がり、個室が用意され、様々な場面での利用が可能だ。

『TORAJI』と言えば、厚切り肉を使った焼肉の開祖。ストレートに肉の美味しさを感じてほしいという想いが結実した名店である。1995年の1号店オープン以来、その理念は脈々と受け継がれている。

こちらが供するお弁当は、何とも豪華なラインナップ。写真のトラジ弁当に加え、焼肉弁当¥2,000、上焼肉弁当¥2,600を用意。キムチとナムルなども付き、満足度は高い。お弁当の価格は、肉の多さが基準になっている。カクテキ、サラダ、スープなどのサイドディッシュも見逃せない。肉は店舗内の空き個室で焼くので、お弁当はいつも出来立て。熱々の焼肉弁当を持って、仲間と夜の公園なんて、結構新しいかも。

焼肉 TORAJI 麻布十番店(ヤキニクトラジ アザブジュウバンテン) 住所 東京都港区麻布十番1-10-3 モンテプラザ2F 電話 03-5575-5529 営業時間 11:30~L.O.14:30(土曜・日曜・祝日のみ)/17:00~L.O.翌4:00(日曜・祝日~L.O.23:00) 定休日 無休 ※金曜・土曜・祝日13:00~19:00はお弁当の提供休み ※平日のランチタイムはお弁当の提供休み ※お弁当は、店舗の混雑状況によりお時間をいただく場合あり ※カード使用可 ※価格は税別