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今日はハグの日だそうだ。
ぽつりとこぼされたそれが、あまりにも気のない呟きだったので、へえ、とこちらも気のない返事で返した。
それが朝食時の事だ。
その時はそれ以上なんという事もなく、俺は学校に向かった。
なので、学校の後バイトに寄って帰って来た俺をなぜか玄関先で出迎えてくれたアーチャーが、
「おかえり」
と言いながら両手で抱き込んで来た時には正直言って訳が分からずに固まってしまった。
そのまま痛くない程度に力を込められると、じわりと体温が伝わり、鼻腔が奴の匂いで満たされる。
柔軟剤の匂いに混じって、出汁や油の匂いがするのは夕食の支度をしていたからだろう。
そこで初めて、さっき「おかえり」と言われた事を思い出した。
「ただいま」
とくぐもった声で返したのが届いたようで、背中に回された手が慰撫するようにぽんぽんと軽く叩いてくる。
応えるように奴の背中へ腕を回すと俺もぎゅっと抱き返した。
End
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