米山隆一氏、新潟知事選に意欲「4月中旬までに結論」 衆院選で落選
5月14日告示、31日投開票の新潟県知事選で、元知事の米山隆一氏(58)が立候補に意欲を示している。今月の衆院選新潟4区で落選し、比例復活もなかった米山氏は朝日新聞の取材に対し「自分に時が来れば、その覚悟はある」と語った。
知事選には現職の花角英世知事(67)が3選を目指して出馬を表明している。米山氏は、知事が昨年11月に容認した柏崎刈羽原発(同県)再稼働のプロセスも争点の一つになるとの見方を示し、「(県政について)ちゃんと議論をしないといけない」と述べた。
米山氏は2016年の知事選で初当選。同原発の再稼働には慎重な立場で、安全性に加えて避難方法と健康・生活への影響を検証する「三つの検証」委員会を立ち上げた。18年に異性問題で辞職。21年から衆院議員を2期務めた。
米山氏は今月22日の取材に、政治家をサッカー選手に例え、「フィールドに出るために諦めずに走り込みを続けている」と現状を表現した。
「時が来れば、覚悟はある」
知事選をめぐっては、米山氏が所属していた立憲民主党県連が候補者の擁立を検討することを明らかにしていた。しかし、その後の衆院選で、立憲から中道改革連合に移った5人全員が県内の小選挙区で自民党候補に敗退。米山氏は、中道の候補擁立の動きは「雲散霧消した」とし、「現在の状況では、単独でもやる気のある人でないと難しい。それができる人はそういない。私は、自分に時が来ればその覚悟はある」と話した。
ただ、衆院選で自民が大勝した状況では直ちに判断することは難しいとし、「情勢を見極めながら4月の中旬までには結論を出したい」と述べた。衆院選の結果については「保守的な熱狂の流れは世界的に起こっていて、日本だけの問題ではない」と分析。中道については「経済的弱者の選択肢になれれば」と話した。
記事後半では、米山氏との一問一答も掲載。衆院選での敗戦や中道改革連合の今後などについても尋ねています。
柏崎刈羽再稼働容認のプロセス、争点に
知事選の争点として、①人口減少対策②病院の経営問題③原発再稼働容認の民主的プロセス――の3点をあげた。
原発再稼働をめぐっては、花角知事はかねて、再稼働の是非を判断した後に「県民の信を問う」と説明。出直し知事選などをするとの見方が多かったが、実際には自民が過半数を占める県議会での議決を受けて信を得たと判断し、昨年12月に「地元同意」を国に伝えた。
米山氏は、こうした知事の手法を疑問視し、再稼働容認の是非を直接問う県民投票条例の制定を公約にしたいと主張。「制定しても直ちには実施せず、いずれ来る原発のリプレース(建て替え)時に県民の民意が反映できる制度を構築したい」と話した。
昨年3月には市民団体が約14万3千筆の署名を集めて県に提出。これを受けて条例案を出したが、県議会で自民会派などの反対多数で否決された経緯がある。
人口減少問題については「地域における都市(街)機能の集約化がキーワードになる」、病院の経営問題については「県立病院やJA厚生連病院を含めた大きな病院グループとして運営していく構想がある」と述べた。
知事選をめぐっては、花角知事が18日の定例記者会見で、3選を目指して立候補すると表明。原発再稼働の「地元同意」のプロセスについて「トータルで私がやってきたことを評価していただきたい」と話した。
野党側は18年に立憲、国民、共産、旧自由、社民の5党などが「野党統一候補」を擁立。22年は立憲が独自候補の擁立を断念し、「反原発」を掲げる候補を共産、社民、れいわが推薦・支持したが、いずれも花角知事に敗れた。
米山隆一氏の一問一答
米山隆一氏との主なやりとりは次の通り。
――衆院選では自民党候補に敗れて議席を失いました。振り返って、どのような選挙戦でしたか。
保守的熱狂が起こってしまいました。その主戦場になったのがSNS、ネットの世界。世界各国で起こっているので、それぞれの政党や個人の責任であることは大前提として、その文脈を無視して政党や個人のみに全てを帰すことはできません。
――米山さんは以前から選挙でのSNS対策の重要性を訴えていました。衆院選では生かされなかったのですか。
選挙に地上戦と空中戦があるとすれば、主戦場はあくまで地上戦というのが党(所属する中道改革連合)の考え方でした。空中戦で勝負が決まるということを全く理解していなかった。
――具体的には何が足りなかった?
明らかに事実と異なる理由で攻撃されたときに直ちに党として訂正を求め、場合によっては法的措置を取ることが必要でした。放っているうちに延焼して消火できない状態になってしまいました。
――中道への率直な思いを。
立憲民主党が公明党と一緒になることで無色になってしまった。自分たちはど真ん中で中立だと主張したが、無色になったことで本来の立憲のファンが離れてしまった。中間層を取りたいんだったら、一定のファンをつくったうえで自分たちの立ち位置を定義しないといけませんでした。
――新しい中道はどうあるべきだと考えますか。
真ん中よりちょっと左の立ち位置にする。左というのは、経済的な弱者のための政治をするという意味です。株でもうけている資本家ではなく、物価高の影響を直接受ける弱者。実のところ多くの人はここに当たります。党名は立憲民主党のままがベストですが、「民主福祉党」のようなものでもいいと思います。
――衆院選前までは、知事選で立憲が候補擁立を検討する責任があるとしていました。
衆院選(の大敗)で状況が一変したので、もう雲散霧消しました。
――自身が出馬する可能性は。
現在の状況では、(党の擁立を受けない)単独でもやる気のある人じゃないと難しい。それができる人って(他に)なかなかいないでしょう。私は、自分に時が来れば、その覚悟はあります。自分で全部やりますよ。ただ、出るからには勝たなければならない。1カ月あれば選挙できますから、4月まで情勢を見ることになると思います。
――知事選に出るとしたら、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題は争点になりますか。
原発は再稼働していますから、今後の意思決定プロセスになると思います。ぼくは県民投票条例を制定したいと思います。ただし、条例はつくっても直ちに実施はしない。やがて来るリプレース(建て替え)時に民意を反映できる仕組みを構築するんです。あとは福島第一原発事故クラスが起こったときの被曝(ひばく)シミュレーションを出します。
――ほかに争点となりそうなことは。
人口減少対策と病院の経営問題でしょうね。病院は、県立病院とJA厚生連病院を一つの大きな病院機構にしてしっかりと運営してもらう構想があります。人口減少対策は、地域における都市(街)機能を集約して増やしていくことがキーワードになるでしょう。(県政について)ちゃんと議論をしないといけないと思います。
――いまは知事選に向けて準備を進めている状況ですか。
サッカー選手に例えたら、フィールドに出るために諦めずに走り込みを続けている感じです。政治家としての理想は、そのときそのときのベストプレーをすることですが、フィールドにいなければパスもできないし、シュートもできない。いつ声がかかってもいい状態にしておかないといけないと思っています。
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