【日東交通】悲しみの上総湊駅

 当ブログで、JR内房線の上総湊駅と、駅前にある日東交通バスのりばが登場するのは4回目となる。日東交通の組織体系や建物が変わったりする都度に記事にしてきた。天羽日東バス時代の記事は、日東交通と吸収合併してから差し替えているし、各路線や特徴ある車両についても記事の中でピックアップしてきた。これまでの記事でもゴテゴテと書いているように、建物のたたずまいと車両が気に入っていた。
 前置きが長くなったが、今回は旧事務所が解体され、プレハブに建て替えられてから初めて再訪した。
4年ぶりの上総湊駅
 君津駅で内房線下りE235系の快速15両編成から、E131系2両編成の上総一ノ宮行に乗り換える際は座席の獲得競争となる。小生は偶然にも快速の乗車位置が良かったので、先頭車のロングシートに座れたものの、前方や後方の車両に乗っていた連中は、乗り換えに時間がかかって座れない。立ち客が何人もいる車内を見て、「2両編成は短すぎる。4両編成が妥当だ」などと思ったが、早くも次の青堀で先頭車を中心にまとまって降りて、僅かながら乗車した人もいたが、車内に空席ができた。さらに大貫、佐貫町も降車ばかりで、乗車は皆無だった。上総湊では小生を含めて十数人が降車し、車内は半分くらいとなった。沿線の過疎化もあって日常の利用者は少なく、残念ながら日中は2両編成で間に合ってしまうのだ。ただし、ゴールデンウイークなどの多客期は行楽客が多いので、4両編成が望ましい。もっとも、「サンキューちばフリーパス」や「サンキューちばフリー乗車券」の利用者が多くても、車内が混んでいるだけで収入に繋がらないだろう(社線にはどのような按分になるのか不明)。
 コロナ禍以来、4年ぶりの上総湊駅だ。「みどりの窓口」は閉鎖され、委託駅員がいる改札口を出ても、駅前広場にタクシーの姿はない。湊タクシーが京成グループの君津タクシー湊営業所となったあとも長く続かず、結局は撤退してしまった。平成30年12月1日から、佐貫町駅前に車庫のある天羽合同タクシー(本社は木更津市潮見で、木更津合同タクシーと同じ場所にある)のみだが、保有台数は2台で、1台しか稼働していない日もあり、上総湊駅に常駐していない。のりばのポールに天羽合同タクシーの連絡先が書いてあり、フリーダイヤルなのは結構だが、営業時間は8:00~16:00と早仕舞いだ。交通系ICカードならともかく、クレジットカードが利用できない。人口減少とマイカー社会とあって、タクシー利用者は極めて少ないのだろう。
 上総湊駅の1日平均乗車人員を比較すると、20年前の平成16年度は1,147人だったが、10年前の平成26年度は806人、令和6年度は453人と大幅に減少しており、近いうちに400人を切るだろう。改札営業時間は9:20~11:45と12:45~16:30となっているものの、窓口営業を行なっていない。列車の到着時に下車客をチェックしているほか、待合室やホーム、トイレの清掃ぐらいであろう。折返し列車がある時間帯は不在なので、乗り換え案内放送を流すことはなく、列車の運休や遅れが生じた時ぐらいだ。いずれは、佐貫町駅ともども業務委託が解除され、無人駅となってしまうのではないだろうか。
 平成27年3月14日のダイヤ改正で特急「さざなみ」は君津~館山間が廃止され、土休日に運行されている「新宿さざなみ」は上総湊に停車しない。かつての房総夏ダイヤでは、113系11両編成の快速「青い海」が千倉まで乗り入れ、上総湊も停車していた。
 駅の左手にある館山保線区上総湊保線管理室だった建物は、水色からクリーム色に塗り替えられていた。ダブルキャブが止まっていた保線用自動車庫は、シャッターを閉じたままだ。平成13年に保線技術センター発足に伴い、保線管理室や機械グループが廃止され、無人となった。千葉保線設備技術センター(木更津エリアセンター)から巡回などで来た時に、休憩で使用しているのだろう。末期の館山保線区に上総湊と安房鴨川に保線管理室が残っていたのは、災害警備箇所があったためだという。
 それにしても、上総湊駅前は人がいない。「駅前通り」といえる県道236号・上総湊停車場線沿いの店屋もほとんどが閉じている。下車客は車の迎えを待っていた2人を除いて消え去った。約30分の滞在時間に、駅前広場に来た自家用車が2台のほか(ほかに駅前を通り過ぎた車が数台)、どこからか京成タクシーイーストかすざ営業所のトヨタジャパンタクシーが実車で現れただけだ。平日の天羽高校の登下校時間はそれなりにいるのだろうが、通学生の数自体も減少している。
 富津市の人口減少は、バス利用者の減少に直結している。特に少子化で、令和2年4月1日に小中学校の大規模な統合が行なわれ、スクールバスが大幅に拡充されることになり、通学生の利用が皆無となったことで大打撃を受けた。令和2年4月16日のダイヤ改正で最小限の運行回数となった。さらに、令和8年3月31日をもって佐貫小学校(大貫小学校と統合して大佐和小学校に再編)と環小学校(天羽小学校と統合)も閉校となる。
DSC_0085.JPG↑上総湊駅
DSC_0086.JPG↑改札口
DSC_0097.JPG↑ホームに入線するE131系2両編成の木更津行
DSC_0094.JPG↑天羽合同タクシーのりば
DSC_0078.JPG↑旧館山保線区上総湊保線管理室
変貌した日東交通のりば
 誰もいない日東交通のりばに向かう。敷地にあるのはダルマ型ポール1本、JTの灰皿、プレハブの乗務員休憩室だけだ。改正健康増進法が施行されたにもかかわらず、屋根も仕切りもない場所に灰皿が置かれているのは珍しい。誰が吸殻を片付けるのだろうか。上屋はなくて吹きっさらしで、以前はいくつも並んでいたベンチは1つもないが、バスは内房線と接続したダイヤが組まれているので、ここでバスを待つ人はいないと思われる。旧窓口の前にあった自動販売機も撤去された。以前の上総湊駅発着路線は交通系ICカードが利用できなかったので、乗車前に自販機で飲み物を買って千円札を細かくしたものだ。自販機は上総湊駅にあるし、売上も少なかっただろう。
 前回の令和3年4月に訪問した時は、上総湊出張所が富津営業所と統合された直後だったが、上総湊案内所として営業していた。日東交通湊営業所→天羽日東バス本社営業所→日東交通富津営業所湊出張所→日東交通上総湊案内所と変遷をたどった事務所も、令和3年12月10日をもって閉鎖された。運転手が最大3人しか来ないのに大きな建物は不要で、もともと老朽化していたところに、房総半島台風で痛めつけられたこともあって解体されたようだ。耐震性の問題もあったと思われる。
 現在、上総湊駅から発車するのは、戸面原ダム線(上総湊駅~天羽高校前~環駅~関豊駅~戸面原ダム)が7本、竹岡線(上総湊駅~十夜寺~竹岡駅前~高島別荘入口~東京湾フェリー前)が7本(土休日6本)、湊富津・笹毛線(上総湊駅~笹毛~佐貫町駅~大貫駅前~富津公園)が2本(土休日1本)のみだ。
 一部の路線は富津市から補助を受けて維持しているが、利用者は極めて少なく、市の財政が厳しいこともあり、やがては全路線が撤退してしまうのではないのだろうか。デマンドタクシーといっても、天羽地区には受け皿となるタクシー事業者がないに等しいし、他地域も受託できるほど人員のいる事業者はない。
 そして、高島別荘入口行の三菱ふそうKK-MJ23HEが、1台だけ発車待ちしていた。時刻表には「バスは出発5分前より乗車できます」と書かれているが、このバスは1時間以上前から中扉が開いている。
 空店舗の前でデジカメのシャッターを押しながら📷、「ここは別の駅だ❗️オレの知っている上総湊駅前のバスのりばは、風格のある事務所と木造車庫が建ち、古いバスが何台も止まっているはずだゴルァ❗️(゚Д゚)」と、心の中で叫び続けた(本当に叫んでいたら不審者で、住民から110番通報されかねない💦)。
 いつまでも懐古厨の老害のように、昔を偲んでいても仕方がないので、バス進入口を通り過ぎ、裏手に回ってみる。日東交通のりばと並んでいた両総通運跡地の月極駐車場は閉鎖されたままとなっている。敷地の境界にある上総湊周辺案内図と観光案内の看板は古いままだ。数十年も更新されていないので情報が古いままだが、見る人はいないのだろう。房総半島台風で倒壊した木造車庫の跡地は、がれき類がきれいに片付けられ、乗務員休憩室が平屋建てのプレハブとなったので前方がよく見える。建物がないと広々としている。
 上総湊出張所廃止後は未使用だった第二車庫跡地は、富津警察署湊駐在所が建っている。富津警察署庁舎の老朽化により、令和6年12月23日に湊から佐貫へ移転したことに伴うものだが、土地をうまく活用できたものだ。国道127号線沿いに確保できなかったのか。
 富津市内の小学生のスクールバスを運行するため、一時的に設置されていた羽田空港交通の車庫もバスは止まっておらず、プレハブの事務所も撤去されていた。どこかへ移転したようで、再び空き地となっている。
DSC_0075.JPG↑駅前通り。右側の両総通運跡地の月極駐車場は閉鎖
DSC_0049.JPG↑寂しくなった日東交通バスのりば
DSC_0050.JPG↑旧鴨川日東バスのポールを再利用
DSC_0063.JPG↑木造車庫跡地から眺める
DSC_0057.JPG↑ポールを活用した「車両駐車禁止」の看板
DSC_0053.JPG↑上総湊周辺案内図。なくなった公的機関や学校も多い
DSC_0070.JPG↑観光案内。釣り船が多い。今はどのぐらいの民宿があるのだろうか
DSC_0060.JPG↑第二車庫跡地にできた湊駐在所
DSC_0067.JPG↑羽田空港交通の車庫は空き地となっていた
袖ヶ浦200 か 326
 平成15年式の三菱ふそうKK-MJ23HE(三菱自動車バス製造)。富津営業所所属。
 全長7mの三菱ふそうエアロミディMJワンステップバス。平成15~16年にローカル路線用として7両導入された。このうち、「326」は木更津営業所平岡車庫に配置された。当初は行先表示が幕式だったが、平成20年にLED式へ交換されている。正面のスリーダイヤとFUSOのエンブレムは撤去された。正面にICステッカーが貼られていない。
 令和7年に日産ディーゼルKC-RN210CSN(富士8E)の置き換え用として富津営業所へ転属した。上総湊駅でエアロミディMJを見るのは斬新だ。湊・富津・笹毛線で使用されている三菱ふそうPA-ME17DFとともに、今や旧上総湊出張所管内の顔となっている。
 ただし、古参級の車両なので長くは活躍せず、近いうちに置き換えられると思われる。
DSC_0091.JPG↑木更津営業所平岡車庫から転入した三菱ふそうKK-MJ23HE。幕式の頃は「高島別荘」と表示していたが、現在はきちんと「高島別荘入口」となっている

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