息子と父と母と
イベント全部クリアしました、まだまだ「Fate/Accel Zero Order」熱が冷めません!!
あの方までカルデアにおいでになるとは予想外だったので書きたくなりました。
イベントネタバレ、ラストに槍弓要素がありますのでご注意ください。
キャラ崩壊も激しいです、スナイパーは親ばかで、アーチャーに関する記憶有です。
□2016年05月01日付の[小説] デイリーランキング 88 位、2016年05月01日付の[小説] 女子に人気ランキング 82 位入りました!!
女子に人気ランキング入りは初めてだったので嬉しいです。
□2016年05月02日付の[小説] デイリーランキング 70 位入りました。
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「いい加減腹くくりやがれ!!」
「断る!!
いくらマスターの頼みとはいえこればかりは聞けない!!
絶っ対に聞けない!!!」
「餓鬼みたいにわがまま言うんじゃねェよ!!」
コアラのように柱へしがみつくエミヤの腰布を槍のクー・フーリンがぐいぐいひっぱっている。
なんともシュールな光景だが両名たちは至ってまじめだ。
なぜこんなことになったかというと遡る事数時間前・・・
冬木に現れた新たな特異点の調査のためマスターである少年とマシュ、諸葛孔明ことロード・エルメロイⅡ世は現地へ赴いていた。
そして保護してきたのが聖杯の器であるアイリスフィール・フォン・アインツベルン。
アインツベルン家のホムンクルスであり、第4次聖杯戦争におけるアルトリアの代理マスター、エミヤの養父の妻・・・いうなれば義理の母に当たる人物だ。
そして直後の英霊召喚の儀を行ってきたのがその夫のアサシンのエミヤ・・・、衛宮切嗣。
妻を連れて来たら見事に夫も釣れてしまったのだ。
これにはマスターもマシュもびっくり、ロマンも口あんぐり。
アルトリア達は絶叫と共に気を失ってしまった。
そりゃそうだろう。
あれだけ必死に守ってきたアイリが突然サーヴァントとして現れたと思ったら、トラウマである切嗣までもが現れたのだ。
いくら騎士王といえどSAN値がもつわけがない。
リリィですら「なんだかよくわからないですけど胃が痛いです・・・」といって体調不良を訴え、ヒロインXは「セイバー討伐もそうですがこのアサシン討伐もいますぐ成し遂げなければならないと私の第六感がささやいてます!!!」と剣をぶんぶん振り回してアサシンエミヤに斬りかかろうとしていた。
槍のアルトリアは無言で槍を構え、突撃しようとしていた。
まぁ、アイリスフィール本人が彼女たちを止めたことで事なきを終えたのだがそれ以上に面倒なのが、この弓のエミヤだ。
彼がこのカルデアに居ると知ったアイリは是非とも会いたいとマスターにお願いし、マスター自身いつもお世話になっているエミヤのためと思い彼を連れてくるようクー・フーリンに頼んだのだが結果は冒頭の通りだ。
「君には分かるかね!?
待遇の良い職場に突如義理の両親が現れたんだぞ!!
今の私の姿を知らないんだぞ!!!
アイリスフィールはともかくじいさんが目にしたらなんというか知れたもんじゃな
い!!」
「別に親なんてどうこうもねぇだろうが。
自分の好きなことして楽しんどきゃあいいだろう。」
「過保護な父親を持つ君に言われたくない!!」
「あれは親父が勝手にやったことで俺がピーピー言うってもんじゃねぇからな!!」
「君はなぜ変なところで寛大なのかね!?」
「御託はいいからさっさと行くぞ!
向こうも向こうで貴様に会いたがってるらしいからな!!」
「嫌だ!!絶対に嫌だぁあああああああああああああああああああああ!!!」
「お前キャラぶっ壊れてるぞ!!!」
「じいさんに会うくらいならキャラが壊れた方がマシだぁああああああ!!!」
結局筋力Bに筋力Dのエミヤはかなうことはできず、柱から引っぺがされるとク-・フーリンに俵担ぎされ彼らのいる部屋まで直行したのだった。
「あなたが切嗣の言っていたシロウね!!
あらあら、こんなに立派な子がいて鼻が高いわ~。」
嬉しそうにニコニコ笑いながらエミヤの頭をなでなでするアイリ。
ちなみにこの部屋に居るのはエミヤとアイリ、そして部屋の壁に体を持たれているアサシンのエミヤこと切嗣の3人のみ。
マスターとマシュ、クー・フーリンは気をきかせて退出済だ。
しかしエミヤにとってこれは有難迷惑であり、今にも逃げ出したいのか体をプルプル震わせている。
会った事のない義理の母と養父と三人っきり、しかも養父に至っては自分と同じ“抑止力”と聞く。
そんな複雑な状況に一人ほおりこまれては胃がもたない。
せめて頭を撫でてもらうことを止めてもらおうと恐る恐る彼女に話しかけた。
「あ、アイリスフィール・・・その。」
「なぁに?
別に私の事はお母様とか母さんって呼んでもいいのよ?。
あなたは私の息子であることに代わりはないんだから。」
慈母のような微笑みに自然と何も言えなってしまう。
ほっこりとした温もりは遠い記憶に存在する母を思わせる。
と、
「・・・士郎・・・。」
懐かしい声で名を呼ばれ、エミヤの肩が強張る。
コツコツと足音が近づいてくるとエミヤの前でその音はやんだ。
光のない濁った瞳が、強張るエミヤを捕える。
「じいさん、なんだな・・・。
まさか私と同じように抑止力となっていたとは驚いたものだ。」
「僕だって同じだよ。
汚れた仕事は僕のような人間がするもので、士郎がすることじゃない。」
「そんな、ことは・・・!」
「切嗣、シロウもそんな怖い顔をしちゃだめよ。」
それぞれの眉間のしわを指でつつきながらアイリスフィールはほおを膨らませた。
「アイリ・・・。」
「アイリスフィール、私たちは別にそんな怖い顔をしているわけでは・・・。」
「今は暗い話をするより明るい話をするべきだと思うわ。
だってせっかくもう一度会えたもの。
始まりくらい、明るいものではじめたいものね。」
にっこりと笑うとエミヤと切嗣の手を掴み、そっと握らせた。
幼いころに感じた大きな手は、いつの間にか自分と同じか小さく感じる。
あの最期に握った冷たさは感じられず、“生きている”時のような体温がじんわりと伝わってきた。
情けなくも目頭が熱くなる。
「これから大変だろうけど、みんなで力を合わせて一緒にがんばりましょう。
ね!」
「・・・じいさんが叶わないわけだな。」
「そうだね、アイリはすごいから。」
無表情だった切嗣の口角がわずかに上がり、エミヤは苦笑いを浮かべるのだった。