愛しているから
ずっと、君だけを。■槍弓現パロです。弓が女体化しているので注意!!■前作novel/1826000と続いておりますが、これ単体でも読めるようになっております。連投サーセン!今回は槍が主人公。■基本的に私は槍→弓から始まり、ガンガン攻めて粘り勝ちする流れが大好きです。片思いも好きです、しかし悲恋はNOTということで。ですが弓が槍への思いを抱え込んで悶々しているのも大好きである。とりあえず槍弓ならばオールオッケー!←オイ■私高校時代は女子高なので男女一緒(なんていうんでしたっけ?)の高校生活というのがあまり良く分からないんですが、そこは妄想でカバーしろということでいいんですかね?■ところでこの槍弓この後ラブラブいちゃいちゃしていくわけですがどうバカップルなのかはみなさんの想像にまかせて構いませんね?小学校時代とか書かなくても別にいいよね!ご主人様槍と拾われた奴隷弓のちょっぴりエロティックな話が頭の中でぐるぐる回って集中できないんです!誰か書いてくれないかな(ノω・\)チラッ
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彼が幼馴染と初めてあったのは、小三の頃の夏休みに通っていたラジオ体操でだった。
自分が言えた義理ではないが、日本では珍しい色彩に目が惹かれ、隣に住んでいることが判明してからは必然と一緒に時を過ごす事が多くなっていた。
一緒に遊んで、一緒にご飯を食べて、一緒にお風呂に入って、一緒に寝た。学校がある日は一緒に行って、一緒に帰ってきた。
幼馴染が分からない問題があると頭を悩ませれば教えて、解けたと言って笑えばその頭を撫でてやった。よく料理の手伝いをするようになり、時々出されるお手製の不恰好な料理を美味いといいながら食べればうれしそうに微笑んだ。
手を繋いで、顔を見合わせては笑いあって。
そんな関係が崩れ始めたのは彼―――ランサーが中学生になってからだった。
通う校舎が違うから途中で別れなければならない。日によっては登校時間すら違うから顔を合わせないまま一日が始まることもある。一緒に帰ろうと約束したけれど、時々用事が入って長い間待たせたこともあって、それでも彼女はうれしいと笑うのだ。
せめてもとお弁当を毎日欠かさず持っていっているが、ある日クラスメイトにからかわれて恥ずかしくなり、次の日の弁当をさりげなく断ろうとしたらひどく傷ついた目をされたことがあった。今ではその理由も分かり、そんな目をさせないように細心の注意を払っているも、それでも寂しさに彼女が傷ついていくのは見て取れた。
挙句の果てには虐められていた事実が浮かんできた。しかもその理由が自分ときた。その時ランサーは怒りのあまり目の前が真っ白になって、手は上げなかったがその分口で犯人達を言いくるめ、自分への恋心とやらをべきべきにへし折ってやった。
彼女が自分のことで、しかも他人に傷つけられるなんてことは絶対にあってはならなかった。
関係が変わっていく。その事に気づきながらも見ないフリをした。
告白されたのは、二年生になってすぐの頃だったと覚えている。
多くの女子から好意を寄せられているということは理解していたものの、これまでのランサーには幼馴染の存在がどうしても強く印象付けられていた。しかし彼女は今ここにはおらず、おそらく別の小学校から上がってきたためそのことを知らなかったのだろう後輩の女子は、頬を赤く染めながら返事を待っていた。
その時の彼の考えは、あくまで幼馴染を中心にしたものだった。
(俺が恋人作ったらエミヤに対するやっかみとか減るんじゃないか?エミヤも俺ばっかりとじゃなくて、他の奴との時間が増えるし。あいつも好きな奴ができたらこんな風に告白するんだろうか・・・・・・あ、やべ。断固拒否するおじさんの姿がよゆーで想像できるわ。てか俺も拒否するな、あいつにはまだ早い)
そんなことを云々としかしコンマ数秒の間に考えて見せたのはひとえに過保護だからである。
とにもかくにも幼馴染のためを思ってOKした後輩との付き合いだったが。
「・・・・・・あのさ、悪い。きっと俺じゃない奴のほうが幸せになれると思う。だから別れよう」
「・・・・・・うすうす気付いてました。私じゃ駄目だったんだなって」
泣きながらも笑って去った後輩に罪悪感を抱くも、それだけだった。
このようなことを数回繰り返し、ランサーはようやく付き合いながらもすぐ別れることになる理由に気がついた。
しっくりこないのだ。胸に穴がぽっかりと空いたまま、彼女達といてもそれは埋められることは決して無かった。
空白を埋める方法はすぐ側に転がっているけれど、見なかったフリをした。
エミヤが同じ中学に入学してきた。
そのことにランサーは喜んで、小学時代と同じように二人は過ごす事が増えた。
それでも「一緒」はやはり減って、仕方ないことだとランサーは寂しく思いながらも受け入れて、でもどうしても見逃せないことが一つあった。
「エミヤ、一緒に帰ろうぜー」
「悪いなランサー、今日は凛と寄り道するんだ。どうせなら私より彼女でも誘いたまえ」
「・・・あ、そう。なら仕方ねえな。ところで今日の夕飯俺んちだから」
「分かっている。ちゃんとご飯時には向かうさ」
・・・・・・また、だ。避けられている。
手を振ってその姿を見送りながら漠然とそう思った。
以前なら必ず一緒に帰っていた。用事があって一緒に帰れない時は次を約束し、名残惜しそうに何度もこちらを見ていた程だ。なのに今では指で数えられるほど。しかも最近何かとつけて「彼女」という言葉を口に出すのだ。とどめに「向かう」ときた。「帰る」ではなくなったその日、明らかにエミヤとの間に溝が出来たことをランサーは敏感に感じ取った。
それでも幼馴染という絆が二人を繋いでいる以上、ランサーは物寂しく思いながらもそれ以上気にすることはなかった。
本当は問いただしたい自分がいるのに気付きながら、見なかったフリをした。
「お前、本当に弓弦と仲いいよなー」
昼休み、相変わらず幼馴染特製の弁当を取り出したランサーにクラスメイトはそう言った。
「知ってるか?こいつ、小四まで弓弦と一緒に風呂入ってたってよ」
「うそ、まじで!?幼馴染ってそういうもん?」
「しかも弁当作ってくれるし、家族ぐるみの付き合いがあるときた。もうお前ら結婚すれば?」
「今も彼女みたいなものだよなー」
昔のようにエミヤとの仲をからかわれながらも、しかしながらランサーは改めて彼女との関係を考え直してみた。
ずっと幼馴染として大事にしていた。
しかし、本当にそれだけ?
傷ついた姿を見たくない。泣いた姿を見たくない。困っていると手を貸したくなる。頼られるとすごく嬉しい。ずっと笑っていろと本気で思う。
守ってやりたい。誰かではなく、自分が。
あいつの隣に自分じゃない誰かが立つのを想像して、その誰かを殺したくなった。
(ああ、くそ)
がりがりと頭をかいた。最悪だ、気付いてしまった。
ずっとずっと見なかったフリをしてきていたのに、これでは無駄骨ではないか。
エミヤが、好きだ。
幼馴染の関係から変わりたかった。
隣に彼女がいなかったから穴は埋まらなかった。
問いただして、本音を聞きだしたかった。
一体自分のことをどう思っているのか。
好かれている自信はあったが、それはどの好意なのか。
自分と同じ感情を抱いてくれてると期待してもいいのだろうか―――。
「ずっとずっと、お前しか見えてなかったんだと思う」
ぽつりと唇を合わせたままささやいたランサーにエミヤはびくりと身を震わせた。
それで我に返ったのか逃げ出そうとする身体を優しく両手で捕らえ、ぎゅっと抱きしめる。
震え続ける小さな身体がとても愛しい。
「だからさ、抱え込んでるもの俺にも背負わさせろ。一緒に苦しんでやる。一緒に泣いてやる。一緒にいてやるから・・・・・・ずっとずっと、お前と一緒にいたいからさ」
「らん、さ・・・・・・」
「好きだよ、エミヤ」
だから、泣くな。
手を頭に乗せて優しく自分の肩に押さえつける。すぐにぬれて水気を感じ取り、どんどん広がっていく滲みに、彼女の涙腺が決壊したことに気がついた。
泣かせたくなかったが、これでエミヤが我慢していた何かを吐き出せるならむしろ泣いてしまえと思ってしまう。どうせ目が腫れたエミヤも可愛いのだからむしろ新たな顔が見れてランサーには得でしかない。
苦笑してよしよしと乗せたままの手で頭をなで繰り回す。
「エーミヤ」
「う・・・・・・るさい、ばかもの・・・・・・っ」
「ヒデェ。けど、エミヤ馬鹿ならなってもいいや」
「一度死んでしまえ・・・・・・!」
そう悪態をついたあと、両手を背中に回して「やっぱりしんじゃやだ、らんさー」と呟くのだからこいつは俺を本気で殺しにきてるんじゃないかと思いました。まる。
きっと、怖かったのだろう。
親からいないものとして扱われていた過去を持つからこそ、エミヤは叔父夫婦やランサーからいつか捨てられることを恐れていた。一度幸せを感じてしまっているからこそ、その時の絶望はいっそう大きい。
だからこそ早く自立できるよう家事の腕を磨いた。そうすれば一人でも生きていける。
だからこそランサーを避けていた。そうすればいつか繋がりが切れても乗り越えられる。
悲しいのだと、寂しいのだと、苦しいのだと訴えることなく気持ちごと心の奥に封じ込めて。そして何事もなかったかのように笑って見せるのだ。
――――――冗談ではない。
「言っておくけどな、エミヤ。俺はお前を手放す気はさらさらねえぞ」
ぎくり、と腕の中の身体が一瞬固まったことに図星かとため息をつきかけ、不安にさせるだけだと呑みこんだ。
「お前の言い分は後で聞く。だけどな、離れようとするなら追っかけてやるし、隠れるなら見つけ出してやる。お前が俺との間に線を引くならそれすら越えてやる、てかむしろその線消してやる」
「な、なんで・・・・・・」
「言ったろ、好きだって。逃がさない。離さない。逃げようなんて許さないし考えさせない。なあ、お前俺のこと好きだろ」
息を呑んだ音が耳に響く。
その事に安堵し、腕に更に力を込めた。
「だったら大人しく―――俺に愛されてればいいんだよ」
エミヤからの答えはなかった。
だが背中に回った手がぎゅっと服を掴み、力を抜いた身体をランサーに任せたことが彼にとっては返事に他ならなかった。
(・・・・・・ばかもの)
抱き上げられ、自宅へと運ばれているその道の途中で、エミヤは内心で悪態をつく。
しかしながらその顔は幸せそうに笑っていた。