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きみが与えてくれるものならば/Novel by 黄華月葉

きみが与えてくれるものならば

2,738 character(s)5 mins

私は、痛みも苦しみも受け入れて見せよう。
■槍弓現パロです。弓が女体化しているので注意!!■槍弓初投稿ですよろしくお願いします。冬ちゃん経由で運命に嵌りました。そんな私の心をズキュンと打ち抜いたのがアーチャーでございますアーチャーかわいいよアーチャー、流石夜の真ヒロイン!■腐った私はNLもいけますが好みの男を見たらまずBLで妄想してしまいます(爆)てなわけでカモン!ランサー!今ではアーチャーとランサーが並んでいればそれでおkという。なんであの二人ってああも夫婦臭がするんだろうね?←知るか■この頃泣ける小説が読みたい。涙もろいとひょんなことでぼろぼろ泣いちゃうんですが(中学の頃涙そうそうの小説読んでぼろ泣きしました、下校中に!)、そんなわたしはハッピーエンド派!泣ける幸せって素晴らしいとは思いませんか?だからバッドエンドもつい派生を妄想したりしちゃうんだが。てなわけでハッピーエンドしか書けないよどうしよう■槍弓が好きです。殺伐してても痴話げんかしててもイチャラブしてようと大好きです。弓に多大な愛を注ぐ槍と、無意識だろうと自覚してようと槍が大好きな弓が好きです。というわけで結婚しろ。//なにこれ~ どうもありがとうございます!しかし書いてて思った、こいつめんどくさいな。こうなったら槍に幸せにしてもらうしかないですね!

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三月の半ば頃だった。
天気予報でも桜前線が報告されるようになり、運がよければ舞い散る薄紅色の花びらの吹雪の中を歩くことが出来る。
冬と春が混ざり合った暖かくとも肌寒さが決して抜け切れていない、けれども嫌う人はいないだろうそんな季節。
きっともう少ししたら花見のお誘いが来るだろうとぼんやりとそんなことを思いながら、人ごみの中心にいるだろう幼馴染の姿を探す。相も変わらず人気者な彼だからこその現象だろうと思うと仕方ないとしか言いようが無い。その大半が女子であることには少しばかり嫉妬するが。

今日、ランサー・ク・ソラスは三年間過ごした中学を卒業する。

二歳年上の彼とはどうあがこうと一年しか同じ校舎内で過ごす事が出来ないのは解っていた。しかし理解するのと感情は別だ。せっかく二年も我慢して、ようやくまた同じ時間を過ごす事が出来るようになったばかりだというのに。時間というのは時に無慈悲である。
半月が過ぎたら彼はまた遠くへ行ってしまう。頑張って追いつこうとしても彼はいつも置いていく。そのことがとても悲しい。
けれど他の女子からしてみれば自分は羨ましいポジションにいるのだという。彼女たちに比べれば私はまだ彼と繋がっている。ああ、こうして必死にランサーと繋がりを持とうとしている女子たちを見て安心している私がいる。
(醜いな)
ふっと自嘲する。
だがこの繋がりも後どれだけの間保っていられるのだろう。
私が彼のそばにいられるのも幼馴染であるからだ。いずれ、彼は隣に立つに相応しい女性を選ぶ。そしてそれはきっと自分ではない。いや―――自分では駄目なのだ。
その時がおそらく、ランサーとの別れの時になるだろう。
幼い頃はずっと彼の側にいたいと駄々を捏ねた事もあったが、今ではそう素直にいえた過去が羨ましい。
大きくなるにつれて、大人になるにつれてどうしても理解せざるをえなかった。
自分はランサーに相応しくない―――その事実を。

ならばせめて、今だけは。

今だけでも、彼を―――。


「エミヤ、」

はっと我に返った。これが中学時代最後だからとお願いして、先に帰っていろと言うランサーをずっと待っていたのだ。折角の一緒の時間を考え事で浪費していたなんて、と深く落ち込んだ。勿論ランサーにはそんなこと悟らせないが。

「何だ、ランサー」
「いや、お前が途中で急に黙り込むから。何かあったのか?」

僅かに眉を顰める彼にふるふると首を振って見せた。
少しでも反応が遅れるとこの過保護な幼馴染は根掘り葉掘り聞き出そうとしてくる。それもこれもかつて虐めを受けていたという過去があったからこそなのだが。
あの時は友人の凛曰くランサー無双だったらしい。自分を虐めていたとされる女子生徒を始め、それに加わった数人が泣いて謝ってきたほどだった。
全てをランサーに話したのは凛であり、彼も私の知らない所で彼女たちと話をつけたらしく、いきなりのことで混乱するしかなかった私が事のあらましを知ったのはその数日後だった(こちらも情報源は凛である)。普段は女子に優しいランサーが女子を泣かせたなんて当時の私は信じられず、後に自分も黙っていたことをこっぴどく叱られた為に事の真偽を本人に確かめることは出来なかったのだが、それ以来というもの彼に隠し事をするのは出来るだけ避けている。彼を怒らせ、その美しい顔を怒りに染めるのはもうこりごりだ。

「今晩は何を作ろうか悩んでいただけだよ」
「・・・・・・本当か?」
「ああ。信じられないかね?」
「いや、信じる。だけどつらいことあればすぐに言えよ?俺に出来ることがあれば力になってやっからさ」

そう言って彼は笑った。
ああ、やはり彼には笑顔が一番似合う。
不適な笑みも、子供のような幼い笑顔も、馬鹿笑いする時も、それこそ(私は見た事が無いが)他人を嘲笑う時だろうと私は好きだと胸を張って言える。
笑顔に限ったことではない。喜怒哀楽それぞれに染まった顔、寝顔、何の表情も浮かべていない能面のような顔だって、きっと彼ならば私はそれだけで好きになれる。


―――好きに、なったのだ。


愕然とした。
(何で――――――、)
思わず足を止め、立ち止まる。

「エミヤ?どうした」

不思議そうなランサーの声が聞こえてくるもそれに応えることは今の私には出来そうも無かった。
(待て―――、待て、落ち着け私!)
どくどくと心臓がうるさい。まるで耳のすぐ中にあるかのように鼓動が大きく響く。
ぎゅっと胸元を握り締めてもう片方の手で顔を覆う。
体を折り曲げる。きっと今の私はランサーにお辞儀をしているような状態だろう。ぎょっとしたようなランサーの気配が近づいてくる。降りた髪のカーテンの中で彼の靴が視界に入った。
そっと壊れ物に触るように大きくて暖かい手が私の背中に落ちる。

「おい、エミヤ?本当は何かあったんじゃないのか?一体どうしたんだ?」

いつもならずっと聞いていたいと思う低い声が今は鬱陶しい。


だめだ、ランサー。(何でもないんだ、ランサー)

私の名前を呼ばないでくれ。(私は大丈夫だから)

私に触らないでくれ。(いつまでも君に頼っている私ではない)

折角―――、(だから、もう君は―――)


(私を選ばなくともいいのだよ、と言いたかったのに)

この気持ち、気付かないフリをしてずっと押し殺していたのに。


「苦しいのか?エミヤ」
「――――――苦しいよ、ランサー」

君が好きだ、ランサー。
そう言葉にする事も許されない私は、苦しむしか他は無い。
それが君の側にいるための対価ならば喜んで受け入れようとも。
ああ、早く。
溢れそうになる涙をばれないように拭い取って。
どくどくうるさい心臓を深呼吸して落ち着けて。
力を入れすぎて真っ白な手をゆっくりと解いて。
固い顔に彼が好きだといってくれた笑顔を浮かべて。

心配しなくてもいい、愛しい君。
私はきっと大丈夫だから。
君がいなくとも、何とかするから。
だから君は。
どうか君は、幸せに―――、

「エミヤ」
「え、」

顔にランサーの手が触れる。それに思わず目を瞑ってしまい、大きな雫が何滴か地面にぱたぱたと落ちた。
ちっと舌打ちが聞こえて、ぐっと彼の手に力が込められて。



くちびるにふれたやわらかくあたたかいぬくもりは、なんなのだろうか。

Comments

  • 弓がかわいかったです。ハッピーエンドいいですね…。できればランサー視点のお話しが読んでみたいです。

    December 26, 2012
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