放課後デイサービスに入れない――。障害の重い子が排除される矛盾 現場で起きていること #こどもをまもる
制度上は障害の重さによる線引きはないはずだが
5年生になろうとする頃、就学前に通っていた児童発達支援の先生が、冒頭で紹介した放デイ「第3こぴあクラブ」に掛け合ってくれた。施設長の丸目香耶さんは田中さんの事情を酌み、普段は週1、長期休みの間は週3程度、受け入れることを決めた。丸目さんは言う。 「放デイの制度の歪みによって、子どもに被害が及んでしまったケースだと思います。明確に利用を断られなくても、やんわりと言われて居づらくなって、実際はやめさせられているケースはすごく多い。うちの事業所もギリギリで運営していますが、今回はお母さんに『誰も助けてくれない。福祉には頼れない』と諦めてほしくないと思ってお引き受けしました」
放デイを利用するには自治体が発行する「通所受給者証」が必要だ。「障害者手帳」を持っていなくても、日常生活に困難があり、支援を必要としていると判断されれば給付される。つまり制度上は、障害の重さによる線引きはされていない。しかし現場では、より手厚い支援を必要とする子どもほど排除されやすいという逆転現象が起きている。 なぜこんな矛盾が起きるのか。障害者福祉が専門で、こども家庭庁のこども家庭審議会障害児支援部会の委員でもある立命館大学の田村和宏教授は、「どういう子にどんな支援が必要で、そのためにどういう環境整備と人員体制、どれくらいの報酬が必要なのか十分議論を尽くすことなく、一律に10:2の最低基準が適用されていることが問題」と指摘する。 こども家庭庁の担当者に最低基準についての見解を聞くと、こう返ってきた。 「10:2では障害の重い子を見るのは難しいという声は確かにありますが、10:2でも十分だという声もあります。我々は、基準に定める人員数に加えて職員を配置する場合に、(児童指導員等加配加算など)加算による報酬上の評価をしており、そうした中で職員一人ひとりの支援の質の向上を図ることが重要だと考えています。放デイの数が増える一方で支援の質が問われることもあり、今、研修体制の整備などを進めているところです」