放課後デイサービスに入れない――。障害の重い子が排除される矛盾 現場で起きていること #こどもをまもる
同区在住の田中さん(仮名)は、特別支援学校に通う予定の長男のため、近隣の事業所に片っ端から問い合わせた。しかし「自閉スペクトラム症でこだわりが強く、知的障害もある」と伝えた途端、難色を示されることが続いた。 「あるとき『恨まないから正直に教えてほしい』と理由を聞いたところ、『こだわりの強いお子さんには1対1でないと対応できないので無理』と。週5日の通所を希望していましたが、受け入れてくれそうだったのは新規開業のところか、虐待まがいの話がささやかれているような事業所ぐらいでした」
特に3年ほど前から、状況はさらに悪化している──。そう語るのは、江東区で障害のある人や家族をサポートする「のびのび相談支援センター」で相談支援専門員を務める青野京子さんだ。 「運動や習い事的なことをさせてくれる事業所は増えていますが、障害が軽い子しか受け入れてくれません。特別支援学校に進む子たちは、以前は秋から探して年内にどうにか行き先が決まっていましたが、最近は入学直前の3月になっても決まらず、近隣の区で探すことも少なくありません。ひとり親のあるお母さんは『こんなに預け先がないなら、働くこともできない。もう死ぬしかない』と泣いていました」
人員を手厚くすると経営が苦しくなる構造
放デイの事業所数は地域間の格差が大きく、東京都は人口10万人あたり8.9カ所(2024年10月時点)と全国最低だ。ただ、都心部でも検索すればズラリと出てくる。問題は、障害の重い子を受け入れる事業所がごく一部に限られていることだ。 その背景にあるのが報酬制度だ。現在は、「利用者1人・1日あたりの基本単価」(利用時間区分や定員などに応じて決まる)に、延べ利用人数を掛け合わせ、さらに各種加算を積み上げる形になっている。 人員配置の基準は、標準的な「10人以下」の場合、利用者10人に対し、児童指導員もしくは保育士が2人以上。この10:2という最低基準が、障害の重い子が放デイに入りにくい問題と深く関係しているという。 全国で約400の事業所が加盟する一般社団法人「全国放課後連」(障害のある子どもの放課後保障全国連絡会)事務局次長の真﨑尭司(たかし)さんはこう解説する。