「これ渡すために呼び出したのか」
「うん。ヘアピンのお礼」
「そっか」
「じゃあ、帰ろうか」
「……なあ、俺好きなんだけど」
「何を?」
「お前を」
「へ!?い、いきなり何を言ってくれてるんですか!?」
「落ち着け。……だけど、今は返事しないでいい。今年も来年も恋愛とかしてられないと思うから」
「……はあ。なら今言わないでほしかったよー」
「悪い。つい言いたくなった」
「うん。……あ、じゃあこのヘアピン返すね。全部終わっても私のこと好きだったら、もう一度それを渡して欲しい」
「分かった。こっちも返した方がいいか?」
「うんん。それはいい」
「そうか。……久美子、全国金獲ろうな」
「うん」
☆
私たち……といっても殆ど先輩たちのおかげで全国金賞を獲った吹奏楽部には43人も1年生が入ってきた。低音パートにも各楽器1人は来てくれた。
今日はそんな1年生たちと滝先生の顔合わせの日だ。
「……これが去年の目標でした。そして先輩方は見事達成されました。今年の判断はみなさんにお任せします」
滝先生が黒板に書き込んだ「全国大会金賞」の6文字に、1年生たちも背筋が伸びる。
「先生、お話いいですか?」
「どうぞ」
「口先だけのスローガンなら誰でもできる。だからここではっきり言っておきます。やるからには本気でやる。私は本気の先輩たちを見てきたから、この目標だけは適当にやられたくない。だから1年生……多数決を採るので、しっかりと手を挙げてください。これから1年、緩くやるか。それとも私たちと全国大会金賞を目指すか!2、3年生には今更確認しません。1年生だけ、手を挙げてください。結果次第で私もみなさんへの対応を変えます」
1年生がお互いの顔を見合っている。同級生の意思を確認したいのだろう。しかし、優子先輩の圧で誰も声を出せないでいる。
「では、決を採ります。全国大会金賞を目標にする人」
手を挙げる1年生たち。昨年も思ったけど、やっぱりズルい。ズルいけど、松宮先輩も優子先輩も本気なだけなのが今なら分かる。
「みんなの気持ちは分かりました。では1年生にも全国大会金賞を目指してもらいます。これから大変なこともいっぱいあると思いますが、きっと乗り越えられると信じています。頑張りましょう!」
「はい!」
「……分かりました。では私もこの目標に向けて全力で指導します。また、私は顧問としてみなさんとお互いに信頼しあえるように努力します。私に対する意見や批判はいつでも受け入れます。それがオーディション結果に悪影響を及ぼすこともありません」
☆
今年の課題曲・自由曲が決定して、パート練習に入った。
「誰かやったことある人っているの?」
「一応、中学の時に」
「どう?難しかった?」
「龍聖には荷が重かった。本番でも収拾つかなかったし」
「北宇治だったら?」
「大丈夫じゃないですか?顧問も先輩も……特にオーボエの人すごいし」
「求くん!先輩にそんな言い方したらダメですよ!」
「あ、申し訳ありません!みどり先輩」
求くんはみどりちゃんに対する態度だけ全く違う。どこかで似た光景を見たことがあるような気がする。
「あ、そっか。麗奈に似てるんだ」
「高坂先輩?求くんがですか……?」
「そうそう、麗奈も松宮先輩や鎧塚先輩の前だと、みどりちゃんの前の求くんみたいになるんだよ」
「そうなんですか!?全く想像できない」
「……どっかの部長さんにも似てるね」
「ていうか、先輩方ってその松宮響先輩のシンパみたいな人多くないですか?」
「それは仕方ない。松宮先輩はなんていうか、鮮烈だった。昨年はこの人について行けば全国金賞獲れるってみんな思ってた。他の先輩もみんな頼りになったけど」
「経歴だけ見ても同じ人間と思えないもんね〜。人生何周もしてるんじゃない?」
「はいはーい。私たちは私たちのペースで練習しようね」
☆
とあるファミレスの一角。私は奏ちゃんから夏紀先輩への愚痴を聞いていた。こういうことを話す程度には信頼してくれているみたいだ。
「去年のトランペットソロも、オーディションで決めたんですよね」
「うん」
「その時1年生だった高坂先輩と3年生の先輩で」
「それって本当にギスギスしなかったですか?」
「そんな気になる?」
「気になりますね。私にとっては1番大事なことかもしれません」
「発表直後のトランペットパート以外は納得してたよ」
「じゃあ、トランペットパートはダメだったんですね」
「トランペットはねえ。麗奈は中3の時もソロコン銀獲ったって知られてたから、理性では分かってても感情では……って感じかな。何も言わないけど不満はありそうだった」
「……」
「だけど、元オーボエの原田先輩が出てきて、元トランペットの香織先輩に言ったんだ。全国金賞、獲るんでしょって。そうしたら香織先輩が麗奈に最高のソロよろしくって。それであっさり終わった」
「そうですか」
「あ、でもそのあと一波乱起きそうになってたなあ。麗奈が滝先生と知り合いだって厄介な噂が流れちゃって。まあ事実なんだけど。それも優子先輩がみんなの前で滝先生に事実確認して解決したよ」
「でもそれは全国金賞獲ったからですよ。もし結果が出ていなかったら、3年生の先輩が吹いたほうが良かったってみんな言ってたんじゃないですか?」
「それは、ちょっと違う」
「どう違うんですか?」
「当時の3年生でオーディション落ちて1年生が受かったらどうするって話があったらしくて。元チューバの岡部先輩は、自分が落ちて北宇治のみんなが全国金賞獲れる確率上がるならそれで良い、無理に自分が出ても楽しくないって。北宇治はそういうところだよ」
「それも上手いから言えるんですよ。昨年、実力制でも3年生は32人全員出て1年生はたった6人しか出られなかったんですよね」
「……まあ、去年の先輩たちはすごすぎたからなあ。あの人たちと2年しか離れてないって今でも信じられないよ。でも、今年の3年生だってすごいよ。私たちも、後輩に負けるつもりはない」
ある日の帰り道で、受験も部活も妥協しないと言っていた葵ちゃん。それで本当に受験でも部活でも頂点に立った4人の先輩の1人。その裏で、私の5歳上のお姉ちゃんは大量の時間とお金を犠牲に、ようやく大人になれた。
そして夏合宿の日。キャンプファイアーの隅で松宮先輩に誓いをたてた時から、秀一も変わった。私や葵ちゃんより背の低かった秀一のことを思い出す。幼い頃、3人で遊んでいた時間に私だけが取り残されているように感じる。
だけど今は、難しいことは考えずにとにかく全国金賞を目指す。それで良いと本気で思っている。私は不器用で、ゴチャゴチャ考えていたら部活に集中できないから。ユーフォも北宇治も大好きだから、後悔したくない。
「まあいいです。私の思った通りだったので。ちょっと食べます?」
「……」
「久美子先輩?」
「え?ああ、うん。ちょうだい」
☆
オーディションで手を抜いた奏ちゃんを夏紀先輩と共に連れ出した。奏ちゃんは誤魔化そうとしているけど、夏紀先輩に詰められている。
「じゃあ何なの!?私はあんたの本音が聞きたい」
「本音?そんなの、あなたが3年生だからですよ。下手な先輩は存在自体が罪ですよ。本人が気にしなくても周りは気にします」
「うん。……で、そもそもなんで私が負ける前提なの?私、黄前ちゃんには勝てないけど久石ちゃんには負けるつもりないんだけど」
「なっ!」
「私は高校から始めたけど、そっちだって中学からでしょ?それで2年と少しやって受験して……。悪いけど、私の北宇治での2年間が、久石ちゃんの経験に負けるわけない。すごいお手本だっていたんだから」
「……」
これは私もずっと思っていた。別に奏ちゃんって夏紀先輩とそんな変わらないよねって。片方だけ取るとしても、どっちが受かるか分からないレベルだ。いや、寧ろ……。
「え、何も言い返さないの?」
「……」
奏ちゃんも納得する部分があったのだろうか。何も言い返さない。
「……言葉にしないだけでみんな思ってますよ。中川先輩に出て欲しい。真面目に部活やって副部長ま」
「いや、聞いてたよね?」
「……」
「「……」」
奏ちゃんは完全に黙り込んでしまった。だけど、今なら話してくれる気がした。
「はあ……。奏ちゃん。中学の時何かあったの?」
「……中学の時、同じようにオーディションがあって、その時下級生だった私が選ばれて先輩が落選しました。でも先輩もみんなもこれで良かったんだって。その分、私がいい演奏をして金を獲ってって。でも、銀賞で終わった瞬間みんな言うんです。これだったら3年生が吹いた方が良かったねって。それで分かったんです。上手い演奏が大切なんじゃない。1番大切なのは、みんなが納得できるかどうかなんだって」
上を目指すなら避けられない問題だ。私も似たような経験があるから、気持ちは分かる。でも、私のトラウマを解消してくれたのは北宇治と夏紀先輩だ。
「北宇治は」
「それで言ったら私は今のままじゃ納得できないんだけど。てか北宇治はそんな場所じゃないから」
「それは……」
北宇治は違うと私が言い切るより先に、夏紀先輩が話し出した。
「まあ?そもそも私の方が上手いから関係ないんだけどね」
そのまま説得の言葉が続くのだろうと思っていたところに、先輩からは煽り文句が飛び出した。奏ちゃんは呆気にとられて一瞬フリーズしたあと、いつもの目が笑っていない微笑みを浮かべた。
「……さっきも思いましたけど、私の方が経験長いし、上手いですから」
「プププ。長い?経験多いとは言えないんだ。大事なのは期間より密度だもんね」
「継続は力なりと言いますよ。そもそも、すごいのは北宇治高校であって、中川先輩じゃありませんよね。在籍していただけの先輩に密度とか言われても……」
「先輩に向かってよくそんなこと言えるね!A編成になれなかった子だって努力では負けてるつもりないし」
「ユーフォでは私の方が先輩ですよ。それに私だって金獲ろうって必死に頑張ってました!」
「ならここでも頑張りなよ!」
「先輩がもっと上手ければ私もそうしましたよ!」
「だから!私」
私は何を見せられているのだろうか。突然小学生のような口喧嘩が始まった。
「あの、夏紀先輩、奏ちゃん?」
「「あっ」」
「「「……」」」
2人は気まずそうに顔を逸らし、何か言おうとして口を開いては閉じるのを繰り返している。俯いて少しずつ紅潮していく2人を見ると、さっきまでの険悪な空気が嘘みたいだ。
なんだか馬鹿らしくなった私はもう話をまとめることにした。
「……奏ちゃん。北宇治はどんな結果に終わっても、奏ちゃんの努力を否定しない。うちの部は全国金賞を目指してる。もしも奏ちゃんが私や夏紀先輩より上手なら、北宇治は奏ちゃんを選ぶべきなんだよ」
「でも」
「オーディション全力でやってみなよ。少なくとも私と夏紀先輩は絶対奏ちゃんのこと守るから。だって、奏ちゃん頑張ってきたんだもん」
「……」
奏ちゃんは俯き考え込んでいる。夏紀先輩にフォローを求めて視線を送る。先輩は私の視線にサムズアップと頷きで応えたあと、口を開く。
「そうだよ?私に負けてもその頑張りは無駄にはならないから安心して」
「あぁ!……もう、中川先輩がA編成になれなくても知りませんから。私たちが全国金賞獲るのを指咥えて見ていてください」
「ま、精々頑張りなよ」
「本当に知りませんからね。ふんっ」
「はあ……」
☆
「これより、コンクールメンバーを発表する」
「……続いてユーフォニアム。中川夏紀」
「はい!」
「黄前久美子」
「はい!」
「久石奏」
「っはい!」
あんなことがあったから、夏紀先輩も奏ちゃんも一緒に選ばれてホッとした。
そして3年生は全員A編成だった。選ばれた1年生は43人中僅か7人。2、3年生の所属パートはなかなかいい感じにばらけているのだと感じた。卒業した先輩たちがちゃんと計算してくれたのだろう。
反対に、1年生は全体で43人いることもあって大変だ。特にサックスとホルン、パーカスには2年後波乱が起きるだろう。私がいなくなった後のことだけど、どうしても考えてしまう。北宇治でずっと努力する人の姿を見てきたから。
☆
B編成も無事に金賞を獲り、関西大会出場を決めた私たちは今年も橋本先生、新山先生の指導を受けることになった。
「うーん。今言おうか迷ったんだけど、これオーボエとフルートの掛け合いのとこ大丈夫?オーボエにその他がついていけてない。フォローさせてもらうと傘木さん?も全国上位の腕前だとは思うよ。でもオーボエが強烈すぎて合奏って感じがしない。心に残る演奏をしても、それが合奏になっていなければ減点されるよ」
「ええ。関西は今のままでもどうにかなるかもしれないけど、全国は分からないわ。ライバルも全国クラスになるのだから」
「それで、全国金賞を目指すならオーボエがその他の楽器に合わせるんじゃなくて、その他の楽器が彼女に見合うレベルになってほしい。ここの主役はオーボエだから、同格になる必要はないよ。でも、大作では引き立て役にも格が求められるって話」
「私もそれは感じていました。みなさん、第3楽章は単純に弾くのは簡単かもしれませんが、最も印象的で表現力が求められる場面です。しっかりとイメージを持ち、ここの練習も怠らないように」
「「「はい!」」」
全員が気合いを入れ直す中、希美先輩はただ1人俯き、フルートを腿の上でギュッと握っていた。私はその光景を目撃してしまい、不安を抱くのを止められなかった。
☆
私の不安は解消されぬまま関西大会当日を迎えた。
「おーい!」
「香織先輩マジエンジェ〜!」
「久しぶり」
挨拶にきてくれたOGの先輩たちに1年生は困惑していたが、優子先輩の猫撫で声にそれは驚愕に変わる。私たちにとっての優子先輩は最初からこうだったけど、頼りになる部長としての姿しか知らない1年生は驚くよね。
ふと希美先輩の様子を確認すると、何かを探して落ち着きなくあたりを見回していた。そして会場の方向から歩いてくる松宮先輩を見つけた希美先輩の表情が明るくなる。
「松宮先輩、お久しぶりです!来てくれて嬉しいです!」
「久しぶり。野口たちも会場には来てるよ。頑張ってね」
「はい!」
秀一、空気読んでよ!松宮先輩の元に行こうとした希美先輩であったが、それより先に秀一が挨拶しに行ってしまった。それも態々小走りで。
「今日は東京から?」
「夏休みは実家で母の元、ひたすらピアノ弾いてるんだ。今日は息抜きも兼ねて来た。麗奈やみぞれから聞いてなかったんだ」
「そうですか。先輩の時間を無駄にはしませんから」
「うん。楽しみだよ」
さらに麗奈や鎧塚先輩、フルートパートまでもが松宮先輩を囲み始めてしまった。これではもう個人で話している時間はない。希美先輩のメンタルが不安だ。
「高坂先輩どころか塚本先輩まで求くんみたいになってますね」
「あはは、そうだね。……はあ」
「黄前ちゃん、ばぁ!よっ!」
「あすか先輩……!」
奏ちゃんといっしょに松宮先輩周りにできた人の輪を眺めていると、あすか先輩に後ろから話しかけられてびっくりした。振り返って見たその姿は相変わらず綺麗だ。
奏ちゃんに紹介して、私はもっとお話したかったけど先輩はすぐに去ってしまった。去り際に渡された絵葉書を鞄の奥にしまう。
いつまでもいなくなった先輩に頼ってはいられない。希美先輩の不調は今更どうしようもない。なんとか関西を乗り越えて万全な北宇治で全国に行こう。
☆
良かった。希美先輩はしっかりと練習の成果を出せていた。不調など私の勘違いだったのかもしれない。
「15番、京都府代表、北宇治高等学校、ゴールド金賞」
今更ここで大喜びする部員はいない。みんなほっとしている。問題は全国出場だ。
「……2校目、15番、京都府代表、北宇治高等学校」
「やった!」
良かった。ここまで司会の言葉以外は何も聞こえていなかったが、集中を解いた途端に北宇治のみんなの声はもちろん、他校のざわめきまで聞こえてくる。
「北宇治3年連続だ」
「秀塔はまた落ちたよ」
「もう関西4強だね」
「顧問変わってすぐ龍聖も選ばれたし、これからは北宇治と龍聖の2強じゃない?」
「そっか、顧問変わったから明工も来年からは……」
「っ」
「ぅぁぁ……」
「先輩……」
他人事のように関西の吹奏楽部事情について話している声もあれば、すすり泣くような声や嗚咽も聞こえてくる。後者はもちろん、前者だってきっと人並み以上の努力をしてきている。ただ設定した目標が違うだけ。私たちはここにいる全ての人の努力も背負って金賞を獲る。
去年はついていくのに精一杯で周りなんて見えていなかったけど、私たちは関西代表なんだ。
☆
関西大会の翌々日。第3楽章も形になってきた……と言いたいところだけど、希美先輩は完全にスランプを迎えてしまっている。関西大会での演奏は見る影もない。
「はい、やめ。傘木さん、全国大会までに調子を取り戻せますか?」
「……」
「傘木さん、返事は」
「……はい」
「……分かりました。しかし、場合によっては鎧塚さんに抑えていただくことになります」
「っ!」
フルートとオーボエの掛け合いが全く掛け合いになっていない。その後の練習では、3年生のカリスマ的存在だった希美先輩の弱りきった様子に影響され、多くの部員が集中できていなかった。
「なんですか、この演奏は。みなさんは全国金賞を獲るのでしょう?1週間前の方がずっと良い演奏をしていましたよ。……今日の練習は終わりにします。明日までに関西大会の疲れを解消してきてください」
「「「はい」」」
練習が終わっても部員同士の話はなく、夏休みなので音楽室はそのままに楽器の片付けを終えた。先輩からいつもの解散の挨拶もなく、本当に帰っていいのかもよく分からない状態のまま私たちは学校を出た。
校門で合流した葉月ちゃんの話に機械的に相槌を打ち続けていたところ、楽器ケースを持った希美先輩を見つけた。
「あ、私忘れものしちゃったから先帰ってて!」
「別に待つよー?学校すぐそこだし」
「葉月ちゃん、帰りましょう」
「賛成。疲れを癒さないと」
「え?うーん、分かった。久美子またね」
「うん、またね」
みどりちゃんと麗奈が察してくれて助かった。私は学校に向かうフリをして、3人が振り返って歩き始めたあと、彼女たちに気付かれないように希美先輩の方に向かった。
どうして自分がこんなことをしているのかよく分からないけど、あの日の練習中、ただ1人だけ俯いていた希美先輩の姿がずっと頭から離れなかった。
「希美先輩!」
「おー、驚いた。どうしたの黄前ちゃん」
「楽器持って、どこに行くんですか?」
「ちょっと外で練習しようかなって」
「今日は疲れを癒さないと」
「疲れとかじゃなくて、私の問題だからね。君も分かってるでしょ?」
希美先輩はいつもの微笑みと軽い調子で答える。だけど、音楽室であんな姿を見せられてしまえば、それは全く意味がない。
「それは」
「明日まで……かは分からないけど、絶対全国までには間に合わせるから。じゃ」
「待ってください!」
「どうしたどうした、心配してくれてるの?大丈夫、20時くらいには帰るから」
「あの、そんな状態でどんなに吹いたって無駄だと思います」
上辺だけの言葉じゃ何を言ってもひらりと躱されてしまう。だから、私は希美先輩の傷を抉る覚悟を決めた。
「えーと、そんな状態って?」
「分かってますよね。技術とかの問題じゃないって」
「いやいや。みぞれは文部科学大臣賞だよ?」
「技術で負けてるのはそうです!でも、言いたいのはそういうことじゃなくて……」
「そんなはっきり言う?ひどくない?」
「あ、や、それは!すみません。でも、誤魔化さないでください」
「はあ。……参ったなあ」
ダメだ。きっと私では何を言っても躱されてしまう。そう思うとなんだか悔しくて希美先輩を睨みつけた。すると私を怒らせたと思ったのか、先輩の態度がため息とともに変わった。
「何があったんですか?」
「何があったというより、ずっと抱えていたことなんだ」
「?」
「はあ。気持ちのいい話じゃないよ?私、ずっとみぞれに嫉妬してるんだ」
「嫉妬?」
私が知る希美先輩はいつもハキハキとしていて、パートも学年も関係なく誰とでも話せて、みんなから頼られている人だ。人間だから負の感情を抱くことはあるだろう。だけど、あの希美先輩が特に仲の良い鎧塚先輩に対して、演奏に影響するほどの嫉妬を抱き続けていたと聞いて少し怖くなった。
「……私なんとなく行った部活見学で松宮先輩のフルートに感動してさ。それでフルート始めたんだよね。みぞれはいつもクラスで1人でいたから、可哀想って気持ちと吹部の戦力になればって気持ちで私が誘った。正直に言えば、私みぞれのこと下に見てたのかも。だけど、みぞれは気付けば私よりずっと上手くなってた」
じゃあ希美先輩は、中学時代からずっと嫉妬していたのだろうか。でもそれなら、リズと青い鳥の前から実力の差はよく理解していたということだから、何故今なのだろうか。
「松宮先輩のこともそう。みぞれと先輩がピアノ教室の知り合いなのは初日から聞いてたけど、その関わりは思ってたよりずっと濃かった。私が最初に憧れたのにって思うことすらできない。先輩は私が会う前からみぞれのことをとても可愛がってきたんだなって分かる」
その気持ちは少し分かる。私も、麗奈が松宮先輩やみぞれさん、それに知らないピアノ教室の子の話を楽しそうにしている時、少しだけ胸がキュッとする。
「先輩との関係も、楽器の才能も。みぞれは私が欲しいもの全部持ってる。実はみぞれ本人にも羨ましいって言ったことあるんだ」
「じゃあ、なんで今更?」
「今更って、やっぱりひどくない?……昨年まではフルートパートとして私の方がお世話になってたから、多分ちょっと優越感もあったんだ。それに、会えなくなってようやく先輩のこと好きだったんだなって。前までは単純に憧れているだけかとも思ってたから。あはは、ださいよね」
私も秀一がパートの子と話しているのを見ると心がざわつく。今では返事を延期させられて良かったと思う。希美先輩の気持ちは分かる。だけど、それにしても先輩が完全に部を離れたのは3月。
「いいえ。でも、先輩が東京に行ったのはもう大分前ですよね」
「私は第3楽章やり始めた時から毎日どうにかなりそうだったよ。夏休みにみぞれから先輩が帰ってきてるって聞いた日は本当に辛かった。……あ、一応言っておくけど、みぞれのことはちゃんと好きなんだよ?」
「長々と語ってましたけど、松宮先輩が鎧塚先輩ばかり構っていて寂しいということですか?」
鎧塚先輩とか第3楽章がどうとかより、松宮先輩に蔑ろにされているようで悲しいというだけの話なのではないだろうか。鎧塚先輩に嫉妬しているのは本当でも、それはもう乗り越えていた。
だけど、松宮先輩がいなくなったことで、乗り越えたはずの嫉妬に耐えきれなくなったんだろう。だから関西大会に先輩が応援にきたら、あっさりと全力を出せた。
そう考えたら気が抜けた。麗奈が実は誰よりもピュアなように、いつも頼れる希美先輩も1人の乙女なんだ。
「……長々と、ねえ」
「あ、私昔から思ったことをすぐに、いや、全く思ってないんですけどぉ」
「いいからいいから。うん、黄前ちゃんの言うとおりだよ。ごめんね、こんなくだらないことで。話して少しスッキリしたよ。ありがとう。じゃ、もう行くね」
希美先輩も関わりの薄い後輩に向かって、全力で寂しいアピールをしていたことに今更ながら気づいてしまったのだろう。頬を赤く染めて早々に話を切り上げようとしている。だけど、それでは意味がない。
「くだらなくなんてないです。私も麗奈からピアノ教室の子の話を聞くと少しモヤモヤします。それから……私、トロンボーンの塚本秀一と幼馴染なんですけど、秀一がパートの子と話してるのもなんか嫌です」
「え?あー、そうなんだ」
「好きな人のことだから、嫉妬してしまうのは仕方ないですよ。しかも嫉妬する相手が私よりずっと上手くて、ソロパートで比べられて……、考えるだけで辛いです」
「ありがとう。でも、みんなに迷惑かけちゃってるから」
「はい。でもそれは希美先輩が悪いわけではありません。悪いのは松宮先輩です」
「ええ?それは無茶だよ」
確かに無茶かもしれない。だけど、恋する乙女にはそれくらい許されてもいいと思う。
「無茶じゃないです。あの、松宮先輩には会わないんですか?」
「今忙しいだろうし邪魔になるよ……」
「こんな良い人を誑かしておいて何食わぬ顔で東京行って、大学生活をエンジョイしてるんですからそれくらい我慢してもらいましょう」
「先輩は一人暮らしだから大変だよ。ピアノ弾ける時間も少なそうだし、今は本当に貴重なお休みだと思う」
「でも、希美先輩が行けばきっと喜んでくれますよ」
「そうかもしれないけど、貴重な時間を私が……」
悩む希美先輩はとても可愛いけど、焦ったくて我慢できない。
「それで、会いたいんですか!?会いたくないんですか!?」
「あ、会いたいです」
「じゃあ行きましょう。大丈夫ですよ、こんな可愛いんですから」
「でも何を話せば」
「鎧塚先輩が羨ましいです、寂しいですって素直に言いましょう」
「それは無理だよ」
「……もう、私が連れて行きます。本当にいやなら振り解いてください」
私はモジモジする希美先輩の手首を掴んで松宮先輩の家に向かう。スマホで「松宮ピアノ教室」を検索し、ナビに従って歩く。地図を読むのは苦手だけど、私が道を間違えると大人しく引っ張られている希美先輩が少し抵抗するから全く迷わなかった。
そうして辿り着いた立派な家。立派だけど変な形だ。あの出っ張っていて1階しかない部分が教室なのだろうか。私は先輩をドアホンの前に立たせた。
「それでは、頑張ってください」
「あの、やっぱり私も帰ろうかな」
「……」
希美先輩を無視して、私は人生初めてのピンポンダッシュを決行した。なるほど、すごい爽快感だ。曲がり角まで走ったところで、角から顔だけを出して先輩の様子を見る。
どうやら向こうからの反応がないようで、留守だったのかもしれない。様子を見ていると、周りをキョロキョロ見回した先輩がスマホで誰かと通話し始めた。それを確認した私は自宅に向けて歩き出した。
☆
おっす!松宮響19歳です。高校生活が忙しかったからか、大学最初の前期は楽勝だった。まあ理系なら大学レベルの知識も頭に入ってるしね。結果通知は届いたけど、問題が分かっていたから当然の如く主席だった。
帰ったらひたすらピアノを弾いて、たまにフルートで息抜きと自由な生活を満喫している。心配だったご飯は日曜日に1週間分作って冷凍すれば余裕。友達と遊ぶのも大事な息抜きだ。練習のために付き合いを断ることだらけだけど、みんな理解してくれている。いやー、大学生活最高!
こんな風に感じているのも、高校生活を満足いく形で終わらせることが出来たからだろう。北宇治、好きです!きっと今の吹部は何も悩むことなく、ただひたすらに練習に打ち込んでいることだろう。僕が事前に爆弾は解体してしまったからね。感謝はいらないよ。北宇治が好きだから!
ふう。一昨日は原作をのり超えて関西代表になるという瞬間を目撃して感動した。思い出すとテンションもぶち上がりだ。そして、今は母の指導の元でひたすらピアノの練習をしている。うざいOBみたいになりそうだから北宇治高校には顔を出していない。
「あ、ごめん電話きた。傘木さんから」
「確か北宇治の?出ていいわよ」
「うん。……もしもし傘木さん、どうしたの?」
『コンクール来てくれてありがとうございます。それで、今からお話したいんですけど大丈夫ですか?』
「あー。……ちょっと話してきていい?」
「いいわよ。久しぶりなんでしょ?」
「ありがとう。……大丈夫。それでどうしたの?」
『ありがとうございます。今、松宮先輩の家の前にいるんですけど、直接会えますか?』
「え、そうなの!?もしかしてチャイム押してた?ごめん今行くから。……家の前にいるみたいだから迎えに行く」
「私はここで待ってるから話してきなさい。家あげてもいいわよ」
「うん。……こっちは切るよ」
『分かりました──』
玄関の前には、制服姿で鞄と楽器ケースを持った傘木さんがいた。
「お待たせ、あがっていいよ」
「お邪魔します」
「はーい。なんか飲む?」
「いえ、大丈夫です」
僕たちはリビングに移動してテーブルに対面に座る。
「それでお話って?」
「あの、私がみぞれのこと羨ましいって言ったの覚えてます?」
「原田とオーディションで揉めた時だね」
「はい。あの時は抑えられたんですけど、最近ダメなんです」
「……え?」
なんで?そのイベントはもう終わったんじゃないのか?関西大会の演奏も良かったし。
「リズでみぞれと掛け合いやってると、改めて実力差を突きつけられているみたいで。先生たちには格が違うって言われちゃうし。そんなの私が1番分かってますよ。6年一緒にやってきたんだから」
「みぞれの才能はずるいからなあ」
「松宮先輩が言います?同年代のピアニストは私よりずっと凄まじい感情を抱いていると思いますよ」
それは本当にその通りだと思う。だけどあの時は自分のピアノの才能がどれほどのものか正確に分かっていなかったし、ただただフルートが上手くなりたかったから。
「……でも、みぞれはすごい努力してるし、音楽自体は幼い頃からやってたから。その点僕は、ピアノと勉強は才能に頼りきりだし、嫉妬できるような身分じゃないなって」
「そんなことないですよ。でも身分か。私はどうですか?」
「どうだろうね。傘木さんはみぞれが欲しいものを色々持っているけど、傘木さんにとっては非常に重要な音楽の才能という面で、みぞれは圧倒的。だから2人はこのまま嫉妬し合えばいいと思う」
「みぞれが私に嫉妬?」
「してるよ。僕が吹部に誘わなかったとか、原田を応援したってだけであんなに拗らせるんだよ?みぞれは別に鈍感じゃないよ」
寧ろみぞれは内側に色々溜め込むからね。傘木さんに向ける感情も良いものばかりじゃないはず。
「でもやっぱり羨ましいです。それで今日は練習も全然集中できませんでした」
「塚本くんにも似たようなこと言ったけど、我儘なんだよなあ」
「我儘?」
「うん。傘木さんはかなり恵まれた環境にいるじゃん。僕たちが入った時なんて、練習まともにやったら冷やかされてたんだよ。それで何人か辞めた。みぞれのオーボエと比べられるなら、せめて支えられるようにって思わないと。嫉妬するのは仕方ないんだけどさ」
「それは分かってるんですが」
「他校にはどんなに努力しても関西も行けなかった子もたくさんいる。なんかまるで自分が恵まれてないみたいなこと思ってそうだけど、そんな甘えないでよ」
こんなに傘木さんは甘えん坊だっただろうか。あと、みぞれに嫉妬しているって言うけど、それほど弱っているようには見えないんだよな。
「先輩はみぞれには甘いですよね」
「そりゃ妹みたいたもんだから。でも間違ってたら正すよ」
「妹ですか。……私は?」
「?後輩でしょ」
「そっか。ふふふ」
傘木さんもみぞれもやたら「妹」に反応するな。さっきまで手応えなかったのに、いきなり嬉しそうな顔になった。傘木さんは本当に何を話しに来たんだろう。
それに僕は傘木さんにも結構甘いと思っているんだけどな。僕は落ち込んでいる2歳下の後輩に対して、ウジウジするなら辞めろと言い放つよ。
「話を戻すけど、寧ろ感謝しなきゃ。そんな上手い子がいること、3年も全国にメンバーとして出れること」
「恵まれているのは本当に分かってるんです」
「僕はみんなが羨ましい。1年生から全国出たかったよ。先輩ってなんだよ、僕は10年フルートやってるんだぞって思ってた。今はもうピアノばっかでフルートは息抜き程度……そうだ、着いてきて。荷物はいいよ」
「?はい」
素晴らしいことを思いついた。僕は思いを託すことができるし、傘木さんも少しズルいかもしれないけど簡単にパワーアップできる。
僕は小さい防音室に傘木さんを連れてきた。隅に置いてあった2つの楽器ケースから、総銀製のフルートが入ったものを差し出す。
「これ貸すよ。楽器の質をみぞれのオーボエに近づけられたら、多少助けになるかな」
「……」
「傘木さん?」
「先輩のフルート……!いいんですか!?」
「お、おお。いいけど。頭部管どうする?あと他に何個かあるよ」
「吹いてみてもいいですか?」
「いいよ。この4つね」
なんかめちゃくちゃ元気になった。この子本当にみぞれの演奏に打ちのめされて来たんだよね?まあ高級楽器に触れる瞬間はワクワクするよね。プロアマ問わず、楽器に関してだけは金銭感覚がバグってしまうくらい高級楽器には魔性があるんだ。
傘木さんは頭部管を試して、結局最初についていたものが気に入ったらしい。
「これがいいです!」
「そっか。自分のと比べると吹き心地はどう?」
「こっちの方が吹きやすいかも?こんなに変わるんですね」
「それだけで15万以上するから変わらないと困るね」
「ええ!?」
本当に驚くよね。
「こっちのフルートも吹いてみたい?重いから今からは辞めた方が良いかなって思ったんだけど」
「いや、ゴールドはちょっと落ち着かないです」
「まあ金を使ってるから高いけど、どっちが良いとかではないしね」
「……ちなみに、この銀は全体だといくらなんですか?」
「小さい頃に買ってもらったものだから分からないけど、似たようなもので新品だと今は100万くらい?」
「あうぅ……」
かわよ。みぞれ関係の話は全く響いてなさそうだったけど、傘木さんはすっかり元気になった。これも高級楽器の力か。
僕は固まってしまった傘木さんからフルートを受け取り、手入れをしてからケースにしまう。
「僕の代わりに、この子を頼むよ」
「あ、はい!絶対このフルートで金賞獲ります。先輩もピアノ頑張ってください」
傘木さんに聞かせるつもりのない独り言だったけど、防音室で他に音もないから聞こえてしまったか。恥ずかしいな。
「うん。じゃあもう遅いし送るよ」
「ありがとうございます」
傘木さんの家はあがた祭りの時に送ったきりかな。徒歩で10分くらいだろうか。母に断りを入れてから家を出る。
「じゃあこれ。全国終わってしばらくしたら受け取りに行くから」
「当日でも大丈夫ですよ」
「いや、余韻に浸りたいだろうし」
「そういうもんかあ。……あ、私も響さんって呼んでいいですか?私のことも希美でいいです」
「いいよ。明日から頑張れそう?」
「はい。本当はみぞれに嫉妬してたの演奏のことだけじゃないんです。でも、そっちも解決しました」
「そう?大丈夫だと思うけど、自分のフルートの手入れも怠らないようにね」
「もちろんです。送ってくれてありがとうございました」
「うん。応援してるよ、希美」
「っはい!私も応援してます、響さん」
ふう。また北宇治の爆弾を処理してしまった。*1
希美を家まで送り届けた僕は実家に向けて歩き始めた。誰かと話しながらであれば30分の道のりも大して苦じゃないのに、1人になるとたった10分がとても長く感じる。
そして、希美の悩みを聞いたせいもあるのか、夜道を静かに歩いていると考えないようにしていたことを色々と考えてしまう。
「ごめん、送ってたら遅くなった」
「それはいいけど。響、全国大会聴きに行くとか言わないわよね?」
「言わないよ。後輩のことはフルートに頼んだし」
「そう」
☆
「さて、みなさん関西大会の疲れは癒えましたか?」
「「「はい!」」」
「傘木さんも、よろしいですか?」
「はい!あの、今日は第3楽章からお願いできますか?」
「よろしいでしょう。みなさん聞きましたね?では……」
そうして始まった第3楽章は、これまでで1番良いものだった。鎧塚先輩のオーボエを希美先輩のフルートがしっかり支えている。まさに2人の世界が出来上がっていた。
少し話しただけで、松宮先輩は希美先輩のスランプを吹き飛ばしてしまったんだ。OBを頼りたくはなかったけど、そもそも問題の元が先輩なのだから今回はいいだろう。
「傘木さん、とても良くなりましたね。……それから、もしかして楽器を変えてしまわれたのですか?」
「はい。ダメでしたか?」
「いいえ、今言った通り音は良くなっています。しかし、かなりの出費を強いてしまったのではないかと」
「あ、それは借り物なので大丈夫です」
「そうですか。安心しました」
いやいやいや、借り物ってそういうことだよね?どういう話し合いをすれば松宮先輩が使っていた、おそらく超高級品を貸すような結果になるのだろうか。
「希美、それ響さんの?」
「うん、相談したら貸してくれた。いいでしょ!」
「……うん」
「「「……」」」
「「「きゃぁぁ」」」
希美先輩と鎧塚先輩のやりとりに音楽室中が大盛り上がりだ。吹奏楽部では備品を使い回しているから、楽器の間接キスだのなんだのは気にしない人が多い。
しかし、松宮先輩のフルートを見せつける希美先輩のあの自慢気な表情と、羨ましそうな鎧塚先輩。みんな色々と察してしまっただろう。
「はい、みなさん静かに。……試したいことがいくつかあるので、今日は第3楽章に集中しましょう。ではもう一度最初から」
……とにかく、これであとは全国大会に向けてひたすら練習あるのみだ。