「輸送密度350人」は成果か警告か? 利用者1.7倍も「存廃目安」に遠く及ばない現実、「都民の血税を回すな」都市部の冷淡な声も

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輸送密度350人。国の存廃目安1000人には届かないが、19.5%増と4年で1.7倍に伸びたJR加古川線。住民の努力を成果とみるか、限界の数字とみるか。次回WT会合で評価を巡る攻防が本格化する。

JR西日本の実証実験

西脇市を走る加古川線の列車(画像:高田泰)
西脇市を走る加古川線の列車(画像:高田泰)

 1日1km当たりの平均旅客数を示す輸送密度が350人。国土交通省の有識者会議が存廃を含めた将来のあり方協議の目安に示した1000人に遠く及ばない数字が、赤字ローカル線の行方に影響する可能性が出てきた。対前年度比で19.5%増。コロナ禍前の2019年度(321人)を上回り、利用促進開始から4年で1.7倍になったからだ。

 路線は兵庫県中央部を南北に走るJR加古川線。輸送密度350人は加古川駅(加古川市)~谷川駅(丹波市)間48.5kmのうち、北端の西脇市駅(西脇市)~谷川駅間17.3kmで、大阪・関西万博開催中(2025年4~10月)に行った実証実験で記録された。

 西脇市駅~谷川駅間は昼間に3時間に1往復の時間帯があり、加古川駅との直通便は正午過ぎの1往復だけ。1982(昭和57)年の1日14往復がいまや1両編成のワンマン列車で平日9往復、週末8往復に。沿線住民が「鉄道で昼間に出かけると帰りの便がない」と苦笑いするほどダイヤは使い勝手が悪い。

 こうなったのは、乗客が減って運行本数が削減され、さらに乗客が少なくなる負のスパイラルに陥ったためだ。輸送密度は1987年度の1131人が2024年度で293人に減り、関西のJR区間で最悪。年間2.5億円程度の営業赤字を出し続け、廃線の危機に直面している。

 実証実験は関西へ来る観光客を加古川線にどれだけ引き込めるかを調べる目的があった。JR西日本は本数が少ない昼間に1日2往復増便し、谷川駅を通過する福知山線特急をすべて停車させた。だが、特急から加古川線に乗り換えた乗客は1日平均0.6人。増えた乗客の約8割が地元の定期券利用者で、観光は振るわなかった。

 その一方で、住民の利用増で輸送密度は大きく伸びた。なかでも黒田庄駅(西脇市)は定期券利用者が前年度の1日平均23人から43人にほぼ倍増している。それでも人数で見ると増加幅はごくわずか。350人という輸送密度を増えたとみるべきか、やはり少ないと受け止めるべきなのか。

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