「黒字で赤字線を救う」は限界?――JR3社が内部補助を否定、100年前の鉄橋を誰が直すのか
国鉄分割民営化から40年。輸送密度1000人未満の赤字ローカル線が拡大するなか、JR3社は内部補助の限界を宣言した。人口減と老朽化が進む地方鉄道の維持費を誰が負担するのか。国の責任と公共性の再定義が迫られている。
有識者会議中間取りまとめによる方向性提言
「(鉄道)事業者単独で維持困難な路線を国(や地域)が残すべきと判断する場合、路線の維持・運営に支援を」。JR東日本、西日本、九州の3社が国土交通省の有識者会議に示した回答が、波紋を投げ掛けている。大都市圏の黒字路線で上げた収益を地方の赤字ローカル線に回して路線を維持する内部補助を明確に否定したからだ。
有識者会議の宮島香澄委員(日本テレビ)が提示した「再構築目的だけでなく、さらに必要と考える制度やスキームについて具体的な意見はあるか」との質問に対する回答で、沿線で路線を支える体制の構築を提案した格好。鉄道施設を国や沿線地方自治体が所有し、JRが運行に専念する上下分離方式や、維持費支援の制度化を視野に入れたとみられる。
JRグループ各社はこれまで、内部補助で赤字ローカル線を維持してきた。国交省も2001(平成13)年、JR会社法の対象から完全民営化した会社を外す法改正にともない、大臣指針で完全民営化しても路線の適切な維持に努めるよう求めている。
有識者会議は地方公共交通を再構築する目的で2022年に設置された。座長の竹内健蔵東京女子大現代教養学部教授ら有識者で構成し、第1期は赤字ローカル線の将来を検討する目安として1日1km当たりの平均旅客数を示す輸送密度1000人未満を提言している。これを受け、地域交通法改正で存廃を含む路線の将来を話し合う国の再構築協議会が生まれた。
第2期の議論は2025年10月から始まり、JR各社からヒアリングを進めている。3月末までに中間取りまとめする予定で、国交省鉄道事業課は「国交省としての方針は中間取りまとめを見て判断したい」と述べた。