弓兵のララバイ
読み専がとうとう二次創作に手を出しました。
FATE沼こわい。
弓さんかっこよくて哀しくて可愛くて素敵。影弓も素敵。
ララバイ:lullaby 「子守唄」 歌詞は北原白秋の「揺籃(ゆりかご)のうた」より。
今回はカップリングはないつもりですが、アルトリア→弓に見えるのあり。
作者の本命は槍弓。
ゲームはやらないで、漫画とアニメとネット知識で書いてる不届きものです。
キャラ崩壊、人称間違い、設定違いなどあったらお許しください。
チダ ヒロミと申します。今後よしなに。
さいごに
若干、弓さんを聖母にしすぎたかも知れない。さすがにおんぶキャリー投影はしないと思う。しません…………よね?
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はじめに沈黙があった。
「……………………………………………なんでさ」
その中にぽつりと落とされた男の一声が、見ていたもの全員の気持ちをきれいに代弁していた。
「……うぎゃー」
「だうー」
「めっちゅー」
理不尽への問いに応えて上がる(いや、応えたつもりもないだろうが)現実を容赦なく認識させるものたちの声に、理性も知能も感じられない。
他の目撃者たちはまだ呆然としている。
あぁまた厄介ごとの臭いがする……と赤い弓兵は、カウンターのうしろで額を押さえた。
時間は十数分ほどさかのぼる。
「だあぁぁあしつけえ!」
「はっはっどうした狗!逃げ惑うばかりではないか?
いつもの無駄な威勢はどこにやった!」
「くはは、これは愉快!仮にも大英雄が、血相変えて逃げ回るとはなぁ」
ばたばたばた。
どたん。
がしゃ。
どかどか。
青と金と黒。カルデア食堂の、碁盤の目のように整然と並べられた長机に椅子で仕切られた小路をすり抜け、蹴飛ばしかけ、右に左に走り回っているサーヴァントが三名。
蒼が印象的な槍兵のクー・フーリン、視覚にうるさい金色をまとう英雄王、そして奈落の黒がよく似合う復讐鬼エドモン・ダンテス。
「なんだぁアイツら。うるせえな」
そんな光景を遠巻きに見ていたひとり、キャスターのクー・フーリンが眉根を寄せると、横にいたものたちも無言で肯定を返した。
彼の右隣に青の騎士王アルトリア、端っこの席にライダーのアキレウス。
アーチャーことエミヤは彼らと向かう形で皿を洗っている。
時刻は昼二時を少し廻ったころ。キャスターと騎士王が手合わせのシミュレーションルームからちょうど出てきたところで、食堂にこもっていたエミヤが声をかけた。
「焼き菓子の試作をしていたら少々作りすぎてしまってね。ティータイムにはちょっと早いが、味見していってくれないか?」
これを彼らが断るはずもなく、さらにどこから湧いたか「お?なんだ、旨そうだな」と,アキレウスがいつの間にやら混ざっていた。
そしてはじまったくつろぎの時間を邪魔する、闖入者三人組。
手早く食器を片付けつつ、エミヤは自慢の動体視力で彼らの一挙手一投足を余さず睨みつけている。
今は人がいないといえあの馬鹿ども、飲食する場でホコリを立てるなど非常識と知らんのか。床や備品を損壊でもしたらただでおかんぞ。
「不粋ですね……斬り捨てましょうか?」
「おう、台所の守護者どの。あいつら轢きつぶしてきていいか」
カウンター勢も不快をあらわにするが、彼らはどちらかといえば、赤い執事の出来立て新作菓子を独り占め(三人だが)する貴重な機会に水を差されたことに苛立っている。
「いや、さすがにそれはちょっと待て」
だが、いくらなんでも実力行使は止める。
おやつタイムを邪魔された気持ちはわかるが腹ペコ勢よ、食堂を半壊でもさせて、その日のうちに後悔するのは君らだぞ。
「ここは任せてくれ、奴らがまだ騒ぐなら私が止めに―――」
その言葉が、しめくくられる前に止まった。
まず、ここまでの間で、エミヤはぎゃーすか騒ぐ彼らのわめき声から、おおよその事情に当たりをつけていた。
どうやらランサーがギルガメッシュの機嫌をひどくそこね、英雄王が宝物殿から謎の秘薬を持ち出して彼を追い掛け回し。たまたま居合わせた岩窟王が面白がってその追走劇に混ざったらしい。
「こ、のッ!」 「うお?」 「ギャッ!?」
一瞬の出来事だった。
追い詰められたランサーが咄嗟にエドモンを楯にしようとして。バランスを崩した彼が安定の慢心王の足を引っ掛けて一緒に転び、三人まとめてもつれるように倒れる。
ぱちゃーんと、霊薬の瓶がころがった。
あなた様の書く赤弓が好きです。 どの話も見つけてから何回も読み返してます!! 特にこの話の赤弓のバブみがヤバくて好きです…… 無理のない程度に執筆活動頑張って下さい。 陰ながらではありますが、応援しております。