外国遺族年金への課税「平等原則に違反しない」 東京地裁が請求棄却
日本の遺族年金は非課税なのに、外国の遺族年金には相続税がかかるのは不公平――。そんな論点を巡って争われた裁判の判決が25日、東京地裁であった。篠田賢治裁判長は、外国の遺族年金への課税は「合理性を欠くということはできない」などとして、原告の請求を棄却した。
原告は、米国の遺族年金を相続税の課税対象とされた東京都と神奈川県の相続人。いずれも米国の遺族年金への相続課税などを不服として、国税当局の処分の取り消しを求めていた。
裁判では、日本と外国の遺族年金で、相続税の課税対応に違いがあるのは、平等原則に反するかどうかが争点になった。
原告側「海外赴任の障害になる」と控訴方針
判決では、日本の遺族年金について「遺族の生活安定に必要な資金であるといった政策的配慮から例外的に非課税にしたもの」と説明。一方、外国の遺族年金については「(受給額の算定方法など)様々な性格をもつ」と指摘したうえで、「国内の遺族年金と同様に相続税の対象外とすることは必ずしも適当ではない」との判断を示した。
課税対応の違いを巡り、国税当局は裁判で、日本の遺族年金に相続税がかからないことは、厚生年金保険法などで決まっているが、外国の遺族年金にはそうした規定がないと主張した。
一方、原告側は、年金法の規定でも日本の遺族年金が非課税になるとは明確に定めておらず、規定のない外国の遺族年金も日本と同様に非課税にすべきだと反論した。
「立法府の裁量権を逸脱しない」
この点について、判決では、規定が設けられていないことについて「立法府の裁量権を逸脱するものではない」などと指摘したうえで、規定がないことを前提にした課税処分について「合理性を欠くということはできない」として平等原則に違反しないと判断した。
原告代理人の三木義一弁護士は「会社に命じられて外国で働いた期間に加入した外国の年金の遺族年金に相続税がかかるのでは、海外に赴任する人の大きな障害になる。企業は声をあげるべきだ」と指摘して、控訴を検討している。
今回焦点となったのはいずれも米国の遺族年金。東京都の男性は、商社の駐在員として米国で約12年働き、米国の公的年金を受給していた2020年に亡くなった。その遺族年金を受け取った妻が、国税当局から相続税と過少申告加算税で約527万円を追徴されたことを不服として提訴したが、昨年10月に71歳で亡くなり、相続人である子供が訴訟を続けている。
神奈川の男性も商社で働き、米国などに赴任して19年に亡くなった。国税当局は妻(88)が米国の遺族年金を申告しなかったとして、過少申告加算税を含めて約83万円を追徴した。高齢などのため、相続人でもある娘が原告となった。
「デジタル版を試してみたい!」というお客様にまずは4カ月間月額200円でお試し