憧れの高橋大輔さんのように刻みたい 新「ステップ王子」朝賀俊太朗
ミラノ・コルティナ五輪で躍動したフィギュアスケート男子。「4年後は自分も狙いたい」という大阪出身の選手がいる。20歳の朝賀俊太朗選手(関大)だ。今シーズンは9月に左足首を負傷して手術を経験したが、12月の全日本選手権にも出場。情熱的なステップを武器とする期待の星だ。
2月22日にAsue大阪プール(大阪市港区)で行われた全大阪選手権の男子。フリーで争われ、朝賀選手はオペラ「トゥーランドット」に合わせて迫真の演技を披露。見事に優勝した。
朝賀選手の魅力は何と言ってもステップだ。全日本選手権は24位に終わったが、フリーのステップは最高難度のレベル4を獲得した。
「僕は本当に踊りが好きなので、コレオシークエンスや途中に入っているステップシークエンスっていうのは特に思い入れがあります」
出場選手でステップのレベル4を取ったのは、朝賀選手とミラノ・コルティナ五輪で銀メダルを獲得した鍵山優真選手(22)=オリエンタルバイオ・中京大=の2人だけ。確固たるスケーティング技術がなければ、ステップのレベル4は至難の業だ。
ジャンプは今季はトリプルアクセル(3回転半)まで跳んでいたが、ここから上のレベルをめざすには、4回転ジャンプが必要になる。本人も自覚している。
「僕はジャンプが苦手なんですけど、来季は4回転トーループを跳べるようになって、その次のシーズンには4回転サルコーを習得する。4年後の五輪までに、最低2種類の4回転ジャンプを跳べるようになって挑んでいきたいです」と話す。
先にスケートを始めた6歳上の姉の影響もあって、8歳からスケートを習うようになった。憧れは、2010年バンクーバー五輪で日本男子初の銅メダルを獲得した高橋大輔さん(39)だ。
関大出身の高橋さんは世界最高レベルの「ステップ王子」として名をはせた。朝賀選手が関大文学部に進んだのも、高橋さんの出身学部なのが大きな理由だ。
高橋大輔さんの演じた、あのプログラムを…
中学生の頃に、関大のスケートリンクで高橋さんと一緒に滑る機会があった。高橋さんが現役を引退したあと、18年に再びシングルの舞台に復帰しようとする頃だ。美しい滑りに魅了された。
その時に、思い切って話しかけて、一緒に記念写真を撮ってもらった。高橋さんとのツーショットは、今もスマホの待ち受け画面にしてある。
高橋さんのプログラムも大好きで、昨季はかつて高橋さんも演じた「ブエノスアイレスの冬」をフリーに選んだほどだ。
朝賀選手を指導するのは、高橋さんをバンクーバー五輪シーズンに教えたこともある本田武史コーチ(44)だ。現役時代は世界屈指の4回転ジャンパーとして五輪2大会に出場した。
本田コーチは「プログラムを感情豊かに表現できるのが朝賀選手の最大の魅力。スケーティングはもちろん、スピンもかなりうまくなっているので、徐々に4回転も教えていきたい」と話す。
ジャンプをうまく跳ぶには、しっかりとしたスケーティングの土台が必要だ。その前提条件となる高度なスケーティング技術をもつ朝賀選手には、無限の可能性がある。
全大阪選手権での滑りでは、確かにジャンプには乱れはあった。だが、じっくり下半身に重心を置いた推進力のあるスケートは光った。その所作は、かつての世界王者、パトリック・チャン(カナダ)にも似ていると感じた。なかなか一朝一夕では得られないものだ。
ミラノ・コルティナ五輪には、同学年の三浦佳生(かお)選手(20)=オリエンタルバイオ・明大=も出場した。朝賀選手は「佳生も頑張っていたので、僕も追いかけたい。しっかりと食らいつけるようにしたいと思います」と意気込む。
リスペクトする友野一希選手からの金言を胸に
大阪出身のスケーターでは、現役では友野一希選手(27)=第一住建グループ=が第一線で活躍する。朝賀選手にとって、友野選手も「全選手の中で一番リスペクト(尊敬)しています」という存在で、「兄貴」のように慕っている。今季の冬季国スポも大阪代表として一緒に出場した。
友野選手からはことあるごとに「スケーティングがあってこそのフィギュアスケートだよ」とアドバイスを受けている。
朝賀選手は今まで数々のケガに苦しみ、ジャンプの習得に時間がかかった。その分、足にあまり負荷がかからないステップやスピンといった要素に時間を注いできた。友野選手の言葉に、「ジャンプは後回しでもいい。自分のやってきたことに間違いはない」。そう思えたという。
高橋さんや友野選手に共通するのは、ジャッジや観客の心を熱いスケーティングで「溶かす」こと。朝賀選手は、大阪ゆかりの先輩たちをお手本に、挑戦を続けていく。
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