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【Fate女体化】女の子になりました【槍弓・金弓】/Novel by 木村理真

【Fate女体化】女の子になりました【槍弓・金弓】

10,820 character(s)21 mins

最近エラくにょた弓に萌えてまして、勢い余って書いてしまいました。
にょた弓はロリでも大人な女でもどっちでもぷまいです。今回はロリ巨乳です。そして書きたかったトコよりも弓凛というか、赤主従の口ケンカの方が楽しくてそっちに力入っちゃいました。そして初めて金弓っぽいの書きました。何これ楽しい。愉悦愉悦。でも不憫ですまんwww
えーと、ネタバレとか色々あります。とりあえずha後くらいな感じで。あまり深く考えてません。
タグ、これで大丈夫かな?もし問題があるようでしたら、後で追加しますー
………………うん、足擦りは書いてる最中ですので、今しばらくお待ちください。ってか、原稿の合間に書きます。

■(8月30日追記)一部修正しました。
そして……タグやコメがみなさん荒ぶってる…いや、でもホントにあそこまでしか話考えてなかったんです!ホントすみません!そしてギル様呼び出し来ましたーwww

■(9月10日追記)タグ追加ありがとうございますー いやー…だって、R-18表記がない時点であそこで終わらざるを得なかったという…

■(11月3日追記)11月10日の王の器4にて、この話の続きを書き足した本を出します〜よろしくお願いします。タイトルは「Plastic Jelly」です。

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「凛、何度も言っているだろう、そんな事を気にかける必要はないと」
「そうは言っても…放っておけば消えるギリギリまで放置してるじゃない!いつもいつもいつもいっっつも!」
「……別に私の事など…」
「いい加減にして…あんたこそ何回言えば判るの?私にしてみればあんたが消える方が苦痛なの!勝手な自己否定で私を苦しめないでくれるっ!?」
「…………判った。私が悪かった」
「ふんっ判ればいいのよ。そしてもう二度と同じ事は繰り返さないでちょうだい?」
「了解した。我がマスター」
「……まぁもうマスターじゃないけどね。私は」
「だが、私が真にマスターと呼ぶべき者は君だけだ、凛」
「そうまで言うなら、ほんっと二度と魔力補給怠らないでよ?何の為の宝石だと思ってるのよ」
「あぁ」

 それは時々繰り返される赤い元主従の遣り取り。
 イギリス留学を控え、幾度か冬木市を空ける遠坂凛にとって目下の頭痛の種はこの己の元サーヴァント、赤いアーチャーの事だった。
 元を思えば仕方がないと判っていても、それでも自分の事を顧みないその態度に一体どれだけ叱り飛ばしてガンドを放ったことか。いい加減、学習して欲しい。彼を知る誰もが彼がいなくなる事を酷く悲しむという事を。
 それはもう、某騎士王様などそのまま彼の管轄へケンカを売りに行き、そしてそれを誰も止めることなく逆に便乗するであろうと凛のみならず、元である士郎ですら判りきっているほぼ決定事項だった。

 だというのに、本人がそれを認めない。
 認めないばかりか、否定してくる。
 そんな筈はない、と。
 自分など、居てもいなくても何の変わりもないどころか、居てはならない存在だと。
 そう言い放ったのだ。この大馬鹿者は。

 もちろん、その直後に最大級のガンドをお見舞いし、更に言峰綺礼直伝の八極拳をお見舞いしたのは言うまでもない。

 その時の様子を、アーチャーの恋人(認めたくはないが)でもある某光の御子はこう言っていた。
「嬢ちゃん、今なら一人でバーサーカー倒せるぜ」

 今だって口では「判った」などと言っているが、きっと同じ事を繰り返すのだろう。
 既に何回も同じ事をやっているので、マスターサーヴァント関係なく、アーチャーの様子に気を配りもしもの時には食物や、あらかじめ凛があちこちに預けておいた魔力を込めた宝石で無理矢理魔力を補給させている。そしてそれをまた自分などに労力を割いて、と見当違いな自己否定に陥るのだから手に負えない。

 これはもうちょっと何か手を打たなければならない。
 けど今の自分には時間がない。
 なんたって明後日には再び渡英しなければならないのだから。
 ならば少しでも魔力の消費を抑えられる応急処置を取らなければ。

 そうして思いついた方法はある意味最良であり、ある意味最悪であった。

「そういう訳でお願い!」
『もちろん。お姉さんのお願いを僕が断る訳ないじゃないですかー』

 きっとこの場に誰かがいたら全力で止めていただろう。
 それだけ思い詰めていたとはいえ──

 ギルガメッシュ(小)にお願いごとをするなど。


『じゃあ、これから用意するんで後で持って行きますね』
「ほんっとありがとう。助かるわ」
『いいえ、みなさんの喜びは僕の喜びです。それにアーチャーさんの事は僕も胸を痛めてました』
 何でこのまま成長しなかったんだろう──誰もが思わずにはいられない感想を改めて内心で呟きながら凛は、電話を切った。


 その姿をカレン・オルテンシアは確かに見た。
 陽の光を受け輝く金髪、血を凝縮させた宝石のような紅い瞳、そして笑み。
 その手の中で踊っているのは小瓶。
 それをカレンは確かに見た。


「断る!」
「あんたに拒否権があると思ってるの?」

 再度火花を散らす赤い元主従。
 その二人の間にあるのは、先程ギルガメッシュ(小)が持ってきた何やら見た事もない煌めきを放つ謎の液体が入った小瓶だった。
 そのギルガメッシュが持ってきた小瓶を差し出し、それはもう花も恥じらう程の鮮やかな笑みで「これ飲みなさい」と言われ、素直に飲む者がいるだろうか。──まぁ、知らぬ者はうっかり騙されて飲んでしまうであろうが。

「大体、その中身は何なんだね」
「子金ぴかが飲んでるのと同じ、子供になる秘薬よ。私があっちに行ってる間、少しでも消費する魔力を減らす為に体を小さくするのが、手っ取り早いのよ。判ったら早く飲みなさい」
「だが断る」
 ふ、と凛の口元に笑みが浮かんだ。
 それは普段の目を見張る程鮮やかなそれではなく、稀代の魔女そのものだった。

「ねぇ、アーチャー…私もねあまり時間ないの…ぐだぐだ言ってないでとっとと飲みなさい」

 それ以上アーチャーは逆らう事ができなかった。
 あれはバーサーカーを一度殺した時や神代の魔女を拳一つでフルボッコした時と同じ瞳をしていた。
 つまり──

 逆らったら殺す。

 英霊相手であろうが、それが出来てしまうのが遠坂凛なのである。
 そうでなくても最後の最後でこのあかいあくまには逆らう事は出来ないのだ。エミヤシロウは。

 盛大な溜息を一つ吐く。
 そして小瓶を手に取ると、迷う事無く一息に飲みきった。


 ──時間にして5分も経たない内にそれは起こった。

「ぐっ」
 体を形作る魔力が分子レベルにまで細々に分解され、再構築されるそんな違和感と変わっていく魔力のカタチに全身が戦慄いた。
 それは恰もドミノ倒しで一気に全てのドミノがひっくり返されていく、そんな感じに良く似ていた。

「あら?」
 一瞬、遠退きかけた意識の中で凛のそんな声が聞こえた。
 なんだ?と思いつつ、いつの間にか踞っていた、変化のせいであろう怠い体をアーチャーは起こした。
「ん〜…思ったより小さくならなかったわね…………何よこれ」

 全身を頭から足下まで見ていた凛が

 両手を伸ばし

 掴んだそれ、は──

 ふくよかな胸だった。(推定Eカップ)

「私より大きいわよ…」
 ──問題はそこではない。と、ツっ込む者は生憎この場にはいない。
 やっと我に返ったアーチャーが凛の凶行を止めようと声を出した瞬間──
「ま、まて凛っ…!?」
 己が発した筈の声が己ではない声で思わずアーチャーは口を手で抑えてしまう。恐る恐る手を放し、もう一度声を出す。
「あ…あ……え?」

 それは聞き慣れた自分の声ではなく、低めではあるが間違いなく女性の声だった。

 想像だにしなかった事態に、アーチャーもそして凛も体のみならず思考まで凍り付いた。──凛の手がふくよかな胸を鷲掴みにしたまま。


 それから5分後、遠坂家のリビングではお通夜宜しく沈みきったアーチャーと、困ったっぽい表情の凛が顔を突き合わせていた。
「つまり、子供化じゃなくて、女性化したって訳ね…」
「なんでこうなった…」
「でも、まぁ…体面積は減ったし今までよりは魔力の消費は減るだろうからこれはこれでいっか!」
「いいのかっ!!?」
「あんた、俗に言うロリ巨乳なのね…まぁ男の時でも十分巨乳だったけど」
「なっ!何を言うんだ君はっ!!」
「それにしても子金ぴかもこんなミスするのね〜」
「凛っ!私の話を…っ!」
「元はと言えばあんたが自分で蒔いた種でしょ?諦めなさい。ちゃんと普段から魔力補給していればこんな事にはならなかったんだから」
「………………」
 だから私の事など放っておけばいいのに、とアーチャーは一瞬言いかけてやめた。
 確かに自分が蒔いた種だ。これ以上誰かに迷惑を掛けるのも本望ではないのだから、この度の事は自分への罰として受け入れるしかない、そう判断した。

「じゃあ時間ないし行くわよ、アーチャー」
「……は?どこへだ?」
「買い物よ」
「食材や日用雑貨は間に合っているが?」
「バカね、あんたの服や下着に決まってるじゃない」
「…………なんでさ」
「言う通りにしなかったら衛宮くんちに突っ込むわよ。あぁキャスターの所でもいいかもね、きっとイイおもちゃにしてくれるわ」
 当然、拒否をする事などできませんでした。



 そんな騒動があった2日後、凛はイギリスへと旅立った。
 今回は1ヶ月程の滞在で、ギルガメッシュから貰った薬もちょうどその位まで効くらしい。
 この騒動の大元であるギルガメッシュへは凛が抗議の電話を入れた所、本当にうっかりだったようで謝り倒して後日ちゃんとお詫びをすると約束を取り付けご満悦となった。
 そして命令としてその間、アーチャーは凛が買い与えた服と下着を必ず着ける事を言い渡した。曰く、女の子なんだからちゃんとしなさい、と。令呪などなくても、凛に逆らう事が出来ないアーチャーは言われた通り身に着けていた。
 白いニーソックスと黒いミニスカートと黒いシャツと黒のレースなどないシンプルなブラジャーとボクサータイプのパンティを。
 ちなみにブラジャーのサイズはFカップでした。
 Eカップでも入らない事はなかったが、少しキツめだったので折角の形の良さを維持する為にという、アーチャーには全く判らない世界観の理由で一つ大きいFカップとなった。
 そして黒いシャツはせめてもの最後の抵抗だった。最低これだけは今までの自分を残させてくれ、というほぼ懇願に近いものではあったが。なんせ凛のその手にあったのは、レース、リボンたっぷりのゴスロリ仕様なブラウスだったのだから、これを本当に自分が着なければならないと思うと意地も何もかも投げ捨てて凛に縋るしかなかった。
 だが──体型に合わせたサイズのシャツでは胸元のボタンが全く嵌らず、仕方なしに1つ上のサイズを着てみればどうにかボタンは嵌められたが、袖丈が長く所謂萌え袖になった姿に情けなさを感じたアーチャーを余所に凛は「あんたどこまでヒロインになれば気が済むのよ!」と腹いせに思いっきり胸を揉みしだいて周囲をドン引きさせたのはお互いにとって黒歴史となりました。(店内での出来事)

 そんなアーチャー的には大騒動の後の遠坂家の静けさはいっそ心地のいいもだった。
 髪質が猫っ毛になってしまった為に前髪を上げられない事と、妙に重い胸を締め付けるブラジャーと足下がスースーするミニスカートと、股間に『アレ』がないという違和感にはまだ慣れないが、この家には自分しかいないという安心感でどうにか気分を落ち着かせていた。そして今度ばかりは魔力補給もきちんと行っている。流石にあれだけの目に遭えば魔力補給を怠ってしまえば次からが更に怖いと、認識せざる得なかった。


 そして、それは訪れた。

 ふ、と空気が変わった気がした。
 息苦しさすら感じる圧迫した高濃度な魔力。
 だというのに、遠坂家に仕掛けられている魔力に反応する罠は全く反応をしない。
 いや──反応できなかったと言うのが正しい。
 余りに強すぎる魔力に、罠の機能が麻痺したのだった。

 この数日間、全く開けられなかったドアが開く音が僅かにした。
 屋敷に入り込みゆっくりとこちらへ向かってくるその気配。
 逃げ場を探そうとし、屋敷全体がその魔力に覆われている事に漸く気付き愕然とする。
 今、アーチャーが居るのはリビングだった。
 ここから逃げられないのなら、せめて少しは己に有利な場所へ移動しておこうと思い廊下へ出た。

 ──それが間違いであったと気付かずに。

 くらり、と一瞬目眩がする。
 呼吸すら苦しいそれが屋敷を覆う魔力がもたらしたものだと、直ぐに判ったが上手く動く事が出来ない。手も足も体全体がねっとりとした鎖に絡め取られたかのように、愚鈍な事にアーチャーは舌打ちをした。

「ほう…思ったよりは見れる姿になったではないか、贋作者よ」

 高慢なその声。
 久しく聞いていなかったその声の持ち主は──

「ギルガメッシュ…っ」

 玄関から続く廊下の向こう、窓から差し込む陽の光を受け煌めく金髪がその男の美しさを際立たせ、一心に見つめてくる紅い瞳は禍々しさを帯び、うっすらと釣り上がった口元は正に傲慢なる王の姿。
 今では見慣れた子供の姿ではない、本来の英雄王ギルガメッシュがそこにいた。
 呼ばれた名に反応し、くっ、と口元を歪めた表情にアーチャーの背筋に戦慄が走る。
 一歩、ギルガメッシュが踏み込んでくる。
 また一歩。
 間合いにして約5メートル。今ならまだ逃れる事も出来るかもしれない。
 そう思い、踏み出そうとするアーチャーのその時を狙ったかのようにギルガメッシュが呟いた。

「エルキドゥ」

 ギルガメッシュの背後より躍り出た鎖が、寸分違わずアーチャーを捕らえ手首を縛り上げるとそのまま天井へ先端を食い込ませ、その体を宙づりにさせた。
「くっ…なん、のつもりだ…」
「なに、ほんの戯れよ。あれが若返りの秘薬を小瓶に分けていたからな、隙をついて我が中身を性転換の秘薬に入れ替えてやったまで」
 つまり──小さなギルガメッシュが薬を間違えたのではなく、このギルガメッシュが彼を欺き薬をすり替えたという事だった。間違いなくこういう事をするのを目的に。
 伸ばしてきた指先がアーチャーの顎に触れ、喉を伝い、鎖骨を撫で、豊満な胸の間を抜け、臍を通り下肢へと流れていった。その指には何の感情もないが、見つめてくる紅い瞳は愉悦に爛れヒドく濁って見えた。
「ふん、あの薄汚い贋作者は視界に入れるのも苦痛だが、この姿なら我の慰み者程度にはしてやってもよいぞ。光栄に思え」
「だ、れが…貴様など…」
 ゾッとする。男の自分が女の体で女の扱いで犯されるなど、悪夢以外の何者でもない。
 憎悪を込めギルガメッシュを睨みつければ、何の感情もない表情で思い切り柔い頬を張り倒された。
「分をわきまえろ、雑種が。本来なら貴様ごとき、我の姿をその目に入れる事すら許されんのだぞ。それを我自らこうして出向いてやったのだ。進んで足くらい開いてみせよ」
「なっ…!」
 あまりの物言いに流石のアーチャーも言葉を失い息を呑む。
「さぁ…その体、存分に我が可愛がってやろう。善がり狂い我に犯してくれと縋り付くまでな」
 ボタンが外されていたシャツの合わせに、ギルガメッシュの白く優美な指が掛かりそこからあらぬ力を持って全てのボタンを引き千切った。

「フィッシュ」

 それは少女の声だった。
 次の瞬間、赤い閃光がギルガメッシュの体を搦め取り、腕も足も全身をキツく縛り上げる。
 それにアーチャーは見覚えがあった。
 赤い布──マグダラの聖骸布。

 カレン・オルテンシア。

 その後ろには武装姿に紅い槍を肩に担いだ青のサーヴァント、ランサーが付き従っていた。
「どうにか間に合ったようですね。遠坂凛のサーヴァント、アーチャー」
 相変わらず感情のないその声は鈴の音のように凛としながら、どこか甘い毒を匂わせていた。
「何故、ここに…」
 天の鎖は主の無力化と共に力を失い、拘束していたアーチャーの体を解放し姿を消した。
 一先ずの危機が去った事に安堵の息を吐いたが、このタイミングでカレンが現れた事に警戒は解かず毅然とした態度で距離を取り向かい合う。
「ギルガメッシュが良からぬ事を企んでいたようでしたので、マスターとしてそれを止めにきました」
「それで何故、私の所へ…」
 ギルガメッシュがここに来た時間と、カレンがここに来た時間の差は20分にも満たない。カレンが直ぐにギルガメッシュの不在に気付いたとしてもその時間の差で教会から遠坂家へ来るまでの間、他の場所へ寄る事などほぼ不可能。
 つまりは──
「そうか…知っていたのだな?ギルガメッシュがこうするであろう事を」
「ええ、確証はありませんでしたが、もしや、とは思っていました。だから彼の動向に気を配ってはいたのですが、完全に防ぐ事ができませんでした」
「それで、シスター殿はこの度の件どうするつもりかね?」
「…………今、遠坂家と諍いを起こす事は、双方に取って良い事とは思えません。ですから虫の良い話だと判っていますが、この事はどうか遠坂凛には内密に願います。もちろんギルガメッシュにはキツいお仕置きをしますし、念の為に番犬を1匹置いていきましょう……どうですか?」
 教会と魔術師、相容れぬ間柄ではあるがこの冬木に置いてそれぞれの事情と立場上、表立って事を荒げる事は良しとしない。従ってカレンが提示した条件はアーチャーにとっては申し分なかった。
「判った。元々は私の我が侭から始まった事。逆に心使い感謝する」
「では、これでこの件は終わりとしましょう。ランサー、判っていますね?」
 呼ばれて面倒くさそうにランサーがカレンの後ろからアーチャーの元へと向かう。
 これが番犬らしい。
「あいよ。こいつを守ってりゃいいんだろ?」
「ええ、では私はこれからギルガメッシュをせっか…いえ、この度の事の反省をさせますので、これで失礼します」
 何やら不穏な事を言いかけながらにっこりと微笑んだカレンは、それはもう聖母のような美しさだった。
 そして聖骸布に頭から足の先までみの虫のようにぐるぐるに巻かれ、むぐむぐと暴れるギルガメッシュをあの細腕で難なく引き摺りながらカレンは遠坂家を後にしようとして立ち止まった。

「あぁそれと番犬にはちゃんと、令呪で行動を制限させてますのでご安心を」
 振り返ってそう言って浮かんだ笑みに毒があったのは──気のせいではないだろう。

 パタン、とドアが閉まる音がし再び遠坂家に静寂が戻った。
 だが今までと違い、この館には自分だけではなく番犬──もとい、ランサーが増えた。
「じゃあまぁ、嬢ちゃんが帰って来るまでの間、よろしく頼むわ」
「あぁ…君には迷惑を掛ける」
「気にすんなって。俺としてはお前が女になった姿見れただけで、十分元は取れたしな」
「……そう、かっ!?」
 言われてそこでやっとアーチャーは今の己の姿を思い出し、驚いた猫のように後ろへ飛び退った。
 ギルガメッシュに真っ二つに引き裂かれた黒いシャツからは、ブラジャーに包まれたたわわな胸が露出し普段のランサーを思えば正に「頂きます」状態だ。
 だが──
「あーその服ハデにやられたなぁ〜ったく、あの金ぴか…おら、早く着替えて来いよ」
 そう言い残して勝手知ったる何とやら、アーチャーから背を向けるとそのまま振り返る事無く武装を解きながらリビングへと入っていった。

「え?」
 それがアーチャーの素直な感想だった。



 今までと変わらず来訪者もなく、ギルガメッシュの再襲来もない、ランサーと二人きりの生活は特にする事はないからと、それまでは簡易だった食事も彼の望むものを作り、並んでテレビを見たり、ゴロゴロと惰眠を貪ったり、時々買い出しに出掛けてそのついでに買い食いをしたりと、気の置けない友人との同居のようなそんな満ち足りた穏やかな日々が続いた。

 しかし、それでもランサーとは情を交わし合った仲。
 アーチャーは殆ど口にする事はないが、それでも彼の事を好きだと思い、時によっては欲しい、と思う事もあるのだ。

 だから気が付いたらもう、ダメだった。

 体の奥で燻るようなその熱は、男のときとはまるで違うものだ。
 いつまでも残り火のようにちろちろと神経を嬲り、男のような衝動的ではないその欲望はゆっくりとアーチャーを侵していく。我慢をする事は出来る。しかしそれでやり過ごせない事をこの数日でアーチャーは嫌という程思い知った。
 それでも、今の自分が女の体である事がアーチャーをどうにか踏みとどまらせている。
 普段から受け入れている身だとは言えそれでも男なのに女として抱かれたいなど、気持ち悪い以外のなにものでもない。アーチャー自身そう思っているのだ、それはランサーだとて同じ事に決まっている。
 だからこそ全く触れてもこないのだろう。

 しかし──

 そうと判っていてもこの体の熱は収まる事を知らない。

 ランサーの顔を、首筋を、胸元を、指先をその存在全てを目にして感知するだけで、抑え込もうとする欲望の熱がじくじくと理性を苛む。
 あぁきっと今自分はすごく浅ましい物欲しそうな顔をしているに違いない。
 引き摺られる。浮ついた熱に全てがぐずぐずになる。

 もう、男だとか女だとか、そんな事はどうでもいい。

 抱かれるという意味では同じじゃなないか。


 そうだ、欲しいんだ君が。


「ランサー」
 女にしては低い声を更に低くして、ソファーに寝そべりながらテレビを見ている番犬、もといランサーに背後から声をかける。
「ん?どしたよ」
 のそりと上半身を起こし背もたれ越しに振り返ったその紅い瞳に、それだけでアーチャーは息を呑む。
 もぞ、と僅かな身じろぎをしただけで黙ってしまったアーチャーに、何かあったな、とテレビを消しきちんと起きてソファーに座り直せばいつの間にか目の前に来ていたアーチャー。
「ランサー…私がここの所おかしかったのは、判っていたか?」
「…………あぁ、まぁな」
 やっぱり、気付いていた。
 気付いていたのに、何もしない、何も言わない、ヒドい男だと心の中で思い切り詰る。
「君の事だ。その理由も、判っているのだろう?」
「あぁ」
「今の私が触れたくもない程醜悪なのは判っている。そして今君がここにいる理由も忘れていない。だが……頼むランサー…頼むから触れないのなら、もう帰ってくれないか…」
 大袈裟すぎる程大きな溜息が俯いたランサーの口から漏れた。

 呆れただろう。
 自分勝手な事を言ってる自覚は十二分にある。

 ──だが、もうダメなのだ。これ以上一緒にいたら私が君を犯してしまう。

 この熱に抗う術のない私はヘタをすれば今、この時にでも彼の身を拘束し無理にでも勃たせた高ぶりを飲み込み、気の済むまで貪ってしまうだろう。

 本当にこれではギルガメッシュの事は非難できない。
 同じ穴の狢だ。

「なぁ…お前さ、マスターが帰り際に何言ったか覚えてるか?」
 俯いたままのランサーが少し籠った声で急にそう聞いてきた事に戸惑うが、その時の事を思い出してみる。
 とは言ってももう2週間近く前の事だ。
 あぁ、君との生活が楽し過ぎて、その前の事など薄おぼろにしか覚えてない。
 だが、確か──
「令呪がどうの、と言っていたな…」
「あぁ、令呪で俺の行動を制限してある、そう言ったんだカレンは」
「制限……」
「そ、お前には指一本触れるな、っていう命令を強制されてるんだ」
「…………は?」
 ゆっくりとランサーの顔が上がる。
 その紅い瞳に先程まではなかった雄の欲望が見て取れて、ずく、と体の奥が震えた。

「お前に触れたくない?冗談はよせや……触れたいのに、触れられなくてお前に隠れて一人で抜いてた俺の情けなさが判るか?」
 判らない。
 そんな欲望を抱いていたなど、判らなかった。

「欲しい、のか?私が…」
「ったりまえだろ…クソ、そんなイイ女になりやがって…」
「……私だぞ?」
「お前だからイイ女でイイ男なんだろうが」
 あぁ──どうしよう。
 言葉を交わすだけで抑え込んでいた欲望が、体の奥から溢れてくる。
「ランサー…ラン、サー…」
 ふる、と目の奥が熱くなり、涙が溢れてくる。
 こんな所まで私は女になってしまった。
 だが、女でも男でも私だからいいと、そう君が言ってくれた。
「わ、私も…君が…っう、君が欲しい…どうしよう、ランサー…は、ぁ…ランサー…っ」
 もう何もかもがめちゃくちゃだ。
 涙は後から後から流れ、昂る感情を抑えられない。

 それでも変わらないのは──
「ランサー…君が、欲しい…」

 紅い瞳が驚きで見開かれたまま私を見つめる。
 ゆるり、と伸ばしてくる白い指先。
 だがその指は私に触れる寸でで、まるで見えない壁があるように弾かれた。
「くそ…何で触れねぇんだよ…」
 ぐっと握りしめられる拳。
 血が滲まんばかりにキツく握られたその手をそっと取る。
「アーチャー…?」
 あぁ、君が触れる事は出来ないが、私が君に触れる事は出来るのだな。

「ランサー」
 握られた拳を開き、私を求めてくれた指先を愛おしさを持って口に含む。
 記憶にあるより太く感じるのは、今の私が小さいからか。久し振りの感触に嬉しくて舌を這わせて、指紋すら認識するかのようにじっくりと味わう。
「ランサー」
 ちゅく、態と音を立て口から引き抜いた指を引き寄せる。
 私の胸へ。
 そっとその大きな手で、私の手には余ってしまうこの胸を包み込ませれば、全てが収まる安定感にほう、と満足気な溜息が漏れてしまった。嬉しくて温かくて、ぎゅっと私の胸に触れる手を抱き締める。
「ランサー」
 君の手を導く。
 一番触れて欲しい所へ。
 スカート越しに伸ばさせた指をそこへ──もう既にはしたない程熱くなって僅かに湿り気を帯びた、私の欲望の坩堝へ、く、と指先を食い込ませる。
「ランサー」

Comments

  • 木村理真Author

    ムウさま:ありがとうございます〜!かなり好き勝手に書きましたw

    November 18, 2012
  • ムウ@カエル王子をぶん投げろ

    王の器完結おめでとうございま〜す!

    November 18, 2012
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