「勝負。カス一文、タン一文、タネ二文、月見酒、三光。花見と月見は三文のルールだから計十二文だな」
──参りました、完敗です……もうさ、エミヤは出来る事より出来ない事のが少ないんでしょ? オーバーキルは戦闘だけにして欲しいんですけど。
「馬鹿を言うな。私に出来る事など他の誰でも出来る事しかないぞ? それに、たかだか遊戯程度に勝てたからと言って何が出来る訳でもあるまい」
だったらなんで一回も勝たせてもらえないのさ。マスターに華を持たせようと言う気はないのか!
「君のチョイスに問題があるだけだ。花札で私に挑むのは十六年早い。腕を磨いて出直してきたまえ。伊達に古株ではないのでね」
くっ、よくわかんないけど説得力がすごいっ!
「そもそも今の勝負は君が勝つ可能性の方が高かった。君が盃を切っていなければ私の月見酒は成立しなかったのだからね。その後も役の成立に必要な札がぽろぽろこぼれてくるのだから、流れに乗って君を討ち取る以外ないだろう?」
うー、だってこっちも花見で一杯できそうだったんだよ。盃だって場に出してから次のターンで回収しようと……
「馬鹿者。手札に組が揃っているなら価値が低い方から切っていけ。手に回って来たなら取れる状況になるまで握り潰さなければ相手に取られる可能性があるんだから。それと早々に場の三積みの桜を拾っていったが、手札に四枚目があるならそれこそ勝負直前まで堪えろ。四枚の所在が分かっているなら相手に取られる心配は一切ないんだぞ?」
…………あ。
「まったく、そんな事では世界を救うのに苦労が絶えないな」
いやいや、花札の話から世界を守る戦いの話になる意味がわかんないんだけど。
「……そういう聖杯戦争もある」
あるの?!
「頭の痛い事にな……アレは勝とうが負けようがロクな事にならないモノだった」
マジか、誰がそんなシステム作ったのさ──っと、そろそろかな?
「何がだ?」
ほら、ここでエミヤとこうして遊んでると来るじゃん、うちの子。まあうちの子って言うと結構増えちゃうんだけどね。
「ああ。いや、言いたいことはわかる。彼女だな」
あ、噂をすれば。おーい!
「へいよーご主人、チーフシャーーーッ!」
「何っ?! くっ!」
ちょっ、何コレ!?
「フーーーーッ!」
「いきなり飛びかかるとは……何のつもりだ、キャット!」
こんなキャット初めて見たんだけど?!
キャット待て、おすわりっ!
「──退くが良いご主人。アタシのべすとぷれいすからあの女狐のニオイがするノだハルマゲドン。故にアタシはナワバリヲ取り戻すジハード。すべテはゴールデンネコ缶を手ニスるたメだラグナロク」
「盛り過ぎだろ、何の最終戦争だ!?」
ゴールデンネコ缶ってまさかの聖杯戦争レベル?! エミヤ、貴様どの娘に手を出したっ?!
「誰が出すかこのたわけっ! なぜ即座に断定した!?」
日頃の行いが悪いっ!
「俺は毎日品行方正に過ごしているわっ!」
「がるるるるるっ!」
ああもう、こんなのキャットじゃないわ! ただの猛獣よっ!
「ばっ遊んでるっ! 余裕、くっ! 無いっ! 落ち着けキャット!」
「フシャーーーッ!」
ちょっ、キャットホントに待って! これダ・ヴィンチちゃんにガチ説教喰らうやつだからーっ!
最高です!