侍ジャパン、痛恨ミスで消えた3連覇 WBC敗退
試合終盤の焦りからくる自滅。WBC3連覇の夢を阻んだのは、緻密な野球を掲げる日本代表が、一番やってはいけない失敗だった。
3点をリードされた八回。この試合で初めて打線がつながった。1死から鳥谷が右中間を破る三塁打。打棒好調の井端は、この大会中に何度も見せた狙いすましたような右前打でまず1点を返した。内川も右前打で続き、1死一、二塁と好機を広げた。
打席に阿部を迎えたところで、ベンチが動いた。「投手のモーションが大きいというのがわかっていた」と山本監督は言う。一つでも塁を進めたいと出したのは、「行けたら行け」という重盗のサインだった。
2球目。一塁走者の内川がスタートを切る。しかし、二塁走者の井端はスタートが遅れ、三塁には向かわない。結局、内川は一、二塁間で挟殺され、追い上げムードは一気にしぼんだ。
走者2人の意思の疎通がうまくいかなかったというミス。「やってはいけないこと。飛び出した自分がすべて悪い」と内川は涙を見せた。しかし、4番打者の打席であえてギャンブルを挑んだベンチも含めて、リードされたことによる焦りが招いた結果であることに間違いない。
初回に1点を許した先発の前田健が「今までにない緊張」と表現した準決勝のプレッシャー。優勝に手が届くところまできたことでかかり始めた重圧が、日本代表をがんじがらめにしていた。内なる敵をはね返せないまま、侍ジャパンは終戦を迎えた。(伊藤新時)