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ぐだ子「衝撃の事実…!!」/Novel by 三毛の高志

ぐだ子「衝撃の事実…!!」

2,232 character(s)4 mins

暇つぶしに書いたネタです.カルデアの日常風景的な.
村正の再臨現場にエミヤが出くわすお話
拙い文章ですが良ければどうぞ
続きっぽいやつを書きました合わせてどうぞ
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カァン!カァン!カァン!
統一されたデザインの扉が並ぶ,ある種のマンションめいた区画_カルデアベースの居住区の中でも召喚されたサーヴァントたちに割り当てられた部屋の一室からリズミカルな鐘の音が聞こえてくる.
尤も,その音は楽器というには些か剣呑すぎるように感じられる.

「おじいちゃん!ご飯の時間だよ!」

バンッ!と音を立ててドアが開かれ橙色の髪の少女が部屋に入ってくる.両手いっぱいに抱えるのは大量の星.ビッグサイズの紙袋にあ冷められたそれは,ひとつひとつが淡く発行し,キラキラと輝いていた.
__言わずもがな,みんなの強化アイテム_種火である.

「さあ,おじいちゃん.今日こそ真の姿を見せてもらおうか…?」

つい先ほど後輩に,『女性がしてはいけない顔です,マスター!!』と止められてしまった下卑た笑みを浮かべて,件の”おじいちゃん”ににじり寄る.
おじいちゃん,と呼ばれたそのサーヴァント_日本の刀鍛冶,千子村正は,

「なんでぇ,今日もまたレベル上げかい?」

剣呑な鐘_鎚を打ち鳴らす手を止めて赤い髪の頭を上げた.与えられた私室を改造する英霊は多くいるが彼はその中でも頭一つ抜けている.何しろ先程から規則的な音を響かせている金床と鎚,冬でも暖房いらず_むしろ暑すぎるほどの熱を出す炉__火事場を部屋の中に作ってしまっているのだから.

「そう!今日こそ第3再臨してレベルマックスまで行ってもらうから,覚悟してよねおじいちゃん…!」

室内の熱気をものともしない気炎を上げて立香_人類最後のマスターとなった少女は紙袋から種火を取り出す.いくつか種類のある種火の中でも特に眩い輝きを放つ最上級のそれならば,確かに村正を上限いっぱいまで強化できるだろう.

「そいつはいいが,ちったぁ落ち着け.興奮しすぎて年頃の娘がしちゃいけねぇツラになってんぞ」

後輩に続いて本日二人目である.実際,今の立香は割と人前に出せない,かなり残念な感じになっている.
しかしッ!と立香は反論する.相手はあの,千子村正である.下総国で何度も助けられ,別の霊基とはいえ妖精國での活躍は涙なしには語れない,あの,千子村正である.そんな彼をレベマにするというのに興奮せずにいられるだろうか否いられない!!
そんな心の内を力説する立香をよそに村正は種火を食べ始める.

「別に味がどうこうってわけじゃないんだが,この食っても食っても腹に溜まらねぇってのはどういうからくりなんだろな?」

益体もない事を呟きながら,立香が持ってきた種火の半分ほどを食べ終えたところで,

「おっ,霊基再臨,いけるみたいだぜ」

村正の体が光に包まれる.今ある霊基が作り替わり,より強力な器に変化しているのだ.慣れている立香でも目を細めてしまうほどの光が収まったその時,

「マスターはいるか?ダ・ヴィンチに頼まれて探しに来たのだ…が…」

部屋に赤い弓兵が顔を出した.落ち着いたバリトンボイスはしかし,部屋の中央を見た途端,愕然としたように途切れた.
正確には,部屋の中央に立つたった今再臨を終えたばかりの村正の姿を見た途端に.

「おっこりゃまた随分と変わったなぁ」

霊基の再臨を終え,褐色肌と白髪に袴姿となった村正は自身の変化を暢気に眺めている.
対称的な二人を交互に眺めた立香はハッと目を見開く.

「エミヤとおじいちゃんってそっくりな顔してたんだね!!」

そう二人はそっくりさんなのである.白髪,褐色肌という特徴だけではない.絶妙に愛嬌のある童顔が同一人物であるかの様に瓜二つなのだ.

「エミヤって名前的に日本出身だよね.もしかして千子村正の子孫だったりしたの?」

新事実の発見に興奮するマスターを何やら気まずそうなめでエミヤは見つめる.

「いや…私の家系はそう大層なものではない筈だ.きっと他人の空似…という使い方は正しいのかわからんが,偶然だろう」

バツの悪そうな表情で話すエミヤを気にすることもなく立香のテンションは上がり続ける

「ええ~そうかなぁ.エミヤって昭和とか知ってるくらい新しい時代の英霊なんだよね.ってことは戦国時代のご先祖様を失伝してたって可能性もあるんじゃないかな!?なんかこう鍛冶の英霊と錬鉄の英霊っていうのも似てる気がするし!!」

「なんでぇ,嬢ちゃんはこのでかいのが儂の子孫だってのか?儂はこんな贋作ばっか作る餓鬼をこさえた覚えはねぇぞ」

興奮からトレードマークのサイドテールをぴょこぴょこと弾ませる立香に向けて,村正は不敵な笑みで語る.それに反発するようにエミヤは口を尖らせる.

「む.確かに私は贋作者ではあるが.戦場では一つの宝刀より,無数の駄刀の方が価値があるのではないかな」

「はっ.いうじゃねぇか若造が」

売り言葉に買い言葉.口喧嘩を始める二人は,しかし険悪な様子はなく,けんかする程仲がいいを地で行くようだった.そんなエミヤと村正を尻目に立香はこっそりと部屋を抜け出した.

「いや~まさか,あんな衝撃の事実が発覚するとは.マシュにも教えてあげよっと」

愛しい後輩の驚く顔を想像して頬を緩ませながら立香は廊下を歩いていく.その背後からは似たもの同士の口喧嘩が聞こえていた.



後日,エミヤと村正が瓜二つという噂を聞きつけたカルデアのスタッフやサーヴァントによって『そっくりさん見比べ大会』が開催されたのは,また別のお話.

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