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ロシア出身の北朝鮮研究者アンドレイ・ランコフ氏、ラトビアで拘束・国外退去 NKニュース報道 理由は?

米外交・安全保障専門誌「ディプロマット」東京特派員
ロシア出身の北朝鮮研究者、アンドレイ・ランコフ韓国国民大教授(2018年5月、都内で筆者撮影)

ロシア出身の北朝鮮研究の世界的専門家で、ロシアとオーストラリアの二重国籍を持つアンドレイ・ランコフ氏がラトビアの首都リガで講演を行う直前に当局に拘束され、国外退去処分を受けたことが分かった。北朝鮮専門ニュースサイトのNKニュースが2月25日、伝えた。

NKニュースによれば、24日に予定されていた講演開始の約30分前、警察と入国管理当局者が会場に現れ、ラトビア外務省が同氏を「好ましからざる人物(ペルソナ・ノン・グラータ)」に指定したと通告。その後、移民局施設に移送され、車でエストニア国境まで送られたうえで国外に退去させられたという。

ラトビア当局は退去理由を公表していないが、NKニュースは同氏が自身の北朝鮮を巡る見解が影響した可能性を示唆した、と伝えた。同氏が「私の文章は客観的すぎると受け止められているのではないか。北朝鮮について肯定的な点も指摘するし、否定的な場合もヒステリックな調子では書かない」と述べたという。

ランコフ氏は韓国・ソウルの国民大学校教授で、北朝鮮の政治体制やエリート層研究の第一人者として知られる。NKニュースによると、欧州各地での講演ツアーを予定しており、25日にはエストニアの首都タリンで登壇する計画だ。

NKニュースによると、ランコフ氏はこれまでも政治的圧力に直面してきた。ロシアでは「望ましくない組織」に関与したとして罰金を科された経緯があり、報道では米シンクタンクCarnegie Endowment for International Peaceでの活動が関連した可能性が指摘されていた。

NKニュースへの1月22日付の直近の寄稿では、「米国が民主主義の輸出に積極的でなくなり、大国間競争が激化するなかで、北朝鮮に対する外部からの体制転換圧力は弱まった。その結果、金正恩体制はむしろこれまで以上に安定しているように見える」と指摘。「かつて期待された『急激な変化』や『体制終焉』の可能性は後退し、北朝鮮は不安定な世界情勢を逆に利用しながら、存続基盤を強めている」と分析した。

具体的には、「北朝鮮がロシアや中国の支援を背景に国際的立場を強めている」と指摘し、「非核化という時代遅れの幻想を捨てるべきだ」と論じたうえで現実的な対応を求めていた。

今回の措置が同氏の見解に対する政治的判断なのか、それとも安全保障上の別の理由があるのかは不明だ。ラトビア当局は現時点で公式なコメントを出していない。

ランコフ氏はこれまで東洋経済新報社など日本メディアの取材にも数多く応じている。2018年5月には日本記者クラブで講演した。

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米外交・安全保障専門誌「ディプロマット」東京特派員

「日本から世界へ」をモットーに対外発信に注力。英軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」前東京特派員。令和元年度内閣府主催「世界青年の船」日本ナショナルリーダー。米ボルチモア市民栄誉賞受賞。ハフポスト日本版元編集長。元日経CNBCコメンテーター。1993年慶応大学経済学部卒、2004年米コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクールとSIPA(国際公共政策大学院)を修了。朝日新聞やアジアタイムズ、ブルームバーグで記者を務める。Naval NewsやNK News、Nikkei Asia、世界の観船、軍事研究、東洋経済、週刊文春、英紙ガーディアン、ストレーツ・タイムズ等に記事掲載。

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