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邂逅/Novel by 野良猫

邂逅

2,818 character(s)5 mins

※Fate新入りの知識浅子が書きました、間違った内容があるかも知れませんがご了承ください/真名バレございます/アチャ男エミヤのギャップ山盛り具合すごく好きです周囲に語れず悲しい、、今回その悲しみを乗せた勢いでぶん投げました初投稿だよ☆実はもっとほのぼのほっこりのはずが作者の捻くれスキルでシリアスになりましたェ....ネタバレとか含んでる気がする!!気をつけてね!!((((

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マスターが新たなサーヴァントの召喚、及び契約を成功させたという話がサーヴァント達の間で飛び交っていた。新たな仲間が増えたのだ、どんな人物なのか気になるようだ。
そんな様子を、私は厨房で後片付けの傍ら伺っていた。
私は一番最初に召喚された。それ故に、大所帯となった今では慣れてしまったが、気にはなるもの。
食事はどんなものが好みだろうか、やはり最初は好物を作ってやるべきかと、厨房を任されている身としてそんなことばかり考えていた。
その時。
扉を豪快に開け放ったマスターが息を荒げ、こちらに詰め寄ってきた。
何事かと思い、一度作業を中断してマスターを見遣った。
「そんなに興奮してどうしたのかね、強力な英雄でも呼び寄せたのか?」
まぁ私に詰め寄るようなことではあるまいが、他に特に思い立つ理由がなくそう言うと、マスターは顔を横に振った。
「あ、アサシンの、アサシンのエミヤが居たなんて聞いてないよ!!」
「は?」
アサシンの私とは一体。
覚えなど到底ない内容に驚いていると、開け放たれた扉から現れた影が一つ。
赤い布を首元に巻きつけフードで頭部を覆い、かつその顔は包帯で覆われ、武者の甲冑を思わせるアーマーを纏った姿のものがそこに居た。
姿を見ても何一つ浮かぶものはない。こんな姿の私など記憶に欠片も無かった。
騒がしかった食堂内が、私の反応と、アサシンの私を名乗る新入りの姿に静まり返る。マスターも、黙り込む私を見て怪訝な顔をしていた。
「えっと、、エミヤ?」
「..すまないが、このアサシンの彼のことは全く記憶にない。」
「えっ!?」
思い当たらないものはしょうがないので、正直にそう告げると、マスターは驚いた表情でアサシンに視線を向けた。彼は黙ったままだ。
他のサーヴァント達が困惑したようにひそひそと言葉を交わし合う。
「と、とりあえず、素材余ってるから強化して来る!」
アサシンさんこっち、と彼の手を取り、半ば引き摺るようにして2人は食堂を去った。
ひそひそと交わされていた会話の音量が上がる。
私自身も困惑のままに中断していた作業に戻ると、使用した食器を手に、ランサーのクーフーリンが声をかけてきた。
「お前、記憶にないとかマジで言ってんのか?」
「嘘を言ってどうなる。狙撃手としての記憶はあれど、暗殺を手がけた覚えはない。」
別クラスの自分を知っているからかランサーはどこか腑に落ちない顔をしながらも、それ以上問うことは無かった。

一番乗りで食事を終えたランサーに続き、他のサーヴァント達が同じように返却しに来る食器を受け取りつつ後片付けを進め、概ね一時間程度が経過し、各々自室に戻るなり雑談を始めるなりと食堂が落ち着き始めた頃。最後の作業を終え、一息つこうと椅子に腰掛けようとした。
するとまたもや扉が豪快に開け放たれた。
「強化してたら包帯取れた!!」
またもや騒ぐはマスター。というか包帯が取れたとは。
マスターの後ろから姿を見せたのは、同じ武装からしてアサシンの彼だ。包帯が取られ、フードまでも下ろされ晒されたその顔を見て、私は勢いあまり椅子の脚を蹴った。
「じいさん...?」
ハッとして周囲をうかがった。
私の小さな呟きは椅子が摺り下がった音で掻き消されたのか、反応を示すものはいなかったが、動揺は見て取れたのか、視線が向けられていることが分かった。
いや、そんなものを気にしている場合ではない。
白髪になり、肌も焼けているとしても、見間違えるはずがない。
私を育ててくれた養父、衛宮切嗣、その人を。
ほんの一瞬の静寂。
「エミヤ、何かわかった?」
「..いや、私と同じような、容姿に少し、驚いただけだ。」
我ながら苦しい言い訳だ。しかしマスターは、そっかとだけ言葉を返した。
外面に出る反応が薄かったからかもしれない。
「アサシンさんは、あっちのエミヤ知らない?アーチャーなんだけど。」
「彼同様、記憶にない。」
迷いなく言い放つ様子から、本当にわからないようだ。それもそのはず、今の私の容姿になる頃にはじいさんは既にいなかったのだから。
当たり前だ。当たり前のことなのに、心を刺した。
そんな私の感情の動きなど知る由もないマスターは、ウンウンと唸りながら何か考えているようだった。少し迷ったようにしながら、口を開いた。
「名前一緒じゃ判別できないし、アーチャーのエミヤはアーチャー、アサシンのエミヤはアサシンって呼ぶけど、二人ともいいかな?」
まぁ仕方ないことである。私が頷くと、じいさん、、アサシンも頷いていた。
「ってことで、他のみんなもよろしくね!!」
マスターが食堂内に残っていた者に呼びかけると、各々適当に返事を返した。
マスターは満足げに頷くと、またもやアサシンの手を引いて、カルデア内を案内するようでそのまま食堂を去った。
立ち上がったままだった私は、まるで腰を抜かしたかの様に力なく椅子に腰を落とした。
浮かぶのは、何故あの人がサーヴァントに、という疑問。容姿の変貌ぶりを見て、私と同じ道を通ってきた可能性があることに背を震わせた。
正義の味方になりたかったと、そう言っていたあの人。その夢を受け継いで正義の味方を目指した私。
こんなの、救われない。彼にまであんな苦行を働かせたというのか。あの苦しみを背負うのは、私だけでよかっただろう!
悔しさ、怒り、悲しみが混ざり合って、不快だ。
強く握りこんだ拳を、誰かの手が包んだ。
「そんなにに力を入れては、痛みますよ。」
セイバー...アルトリアが、顔を上げた先にいた。
アルトリアは優しく微笑み、握り込まれていた私の拳をほどき、ゆるりと撫でた。
自然と気持ちが落ち着いていくのがわかった。
「...すまない、取り乱した。もう大丈夫だよ。」
浅く息を吐くと、触れ合っていた手を離し、腰を上げた。
心配そうな視線を受けながら、扉へ向かった。
「贋作者よ。」
英雄王ギルガメッシュ。彼は第四次に引き続き第五次聖杯戦争に参加している。私の素性なぞ知られている。無論、彼のことも。
「知られなくていい、知らない方がいい。こんな結末、優しい彼がどう思うか。これ以上の苦しみは、与えたくない。」
振り返りもせず、静まり返った食堂を後にした。
彼は、この結末に至るまでの苦しみを知っている。
正義の味方。この言葉で、この夢で、私がここまで至ったと知れば、きっと彼は、自分を責めるだろう。あの時、あの縁側で、言わなければと。
そんなこと、知らなくていい。私の勝手でやったことだ、彼が知らなくてもいい苦しみだ。私のことなど、知らない方が幸せだ。
そう、思うのに。
愛しいものを見る視線、頭を撫でる大きな掌、優しく語りかける声。
蘇る記憶が、心を揺らす。
もう一度名前を呼んで欲しいなんて、矛盾している。
膝を抱えて蹲る。まるで、またひとり取り残されたようだった。

Comments

  • UNKNOWN
    May 21, 2023
  • 闇月
    April 13, 2018
  • 刹那
    March 30, 2018
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