相続税・贈与税
教育資金の贈与はいつまで適用?期限と見通し・対象年齢・使い切りルール・死亡時の扱いを解説
更新日:2026年2月13日 公開日:2026年2月13日
「子や孫の将来のために教育資金を贈与したいけれど、この非課税制度はいつまで使えるの?」「贈与されたお金はいつまでに使い切る必要がある?」といった疑問をお持ちではないでしょうか。結論からお伝えすると、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置は、現在のところ2026年3月31日までの贈与が対象です。また、贈与された資金は原則として受贈者(子や孫)が30歳になる日までに使い切る必要があります。この記事では、制度の適用期限や今後の見通し、対象となる年齢、非課税の上限額といった基本的な情報から、30歳までに資金を使い切れなかった場合の課税ルール、贈与者が亡くなった際の相続税の扱いといった注意点まで、さまざまな疑問にわかりやすく回答します。
- 1. 教育資金の贈与はいつまで適用される?制度の期限・対象年齢・上限額をわかりやすく解説
- 1-1. 教育資金の贈与の適用はいつまで?制度の適用期限と2026年以降の見通しについて解説
- 1-2. 教育資金の贈与が非課税になる対象年齢は何歳まで?対象範囲を細かく解説
- 1-3. 非課税になる上限額はいくら?最大1,500万円までの内訳を整理
- 2. 贈与された教育資金はいつまでに使わなければならない?使い切れなかった場合の課税や注意点を解説
- 2-1. 教育資金の贈与はいつまでに使う必要がある?30歳までの使い切りルールを解説
- 2-2. 30歳までに使い切れなかったらどうなる?残額が課税対象になる仕組みを整理
- 2-3. 教育資金として使える費用・使えない費用とは?対象項目をくわしく解説
- 3. 教育資金の贈与はどうやって行う?非課税で贈与するための手続きと必要書類を解説
- 4. 教育資金の贈与で贈与者が死亡したらどうなる?相続税の加算ルールと注意点を整理
1. 教育資金の贈与はいつまで適用される?制度の期限・対象年齢・上限額をわかりやすく解説
お子さんやお孫さんの将来のために、少しでも多くの教育資金を準備してあげたいと考える方は多いでしょう。そんなときに役立つのが「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」です。この制度を活用すれば、まとまった資金を非課税で贈与できるため、教育費の負担を大きく軽減できます。しかし、この制度には期限や対象年齢、上限額といった重要なルールが定められています。この章では、制度を利用するうえで必ず知っておきたい基本的なポイントを、わかりやすく解説していきます。
1-1. 教育資金の贈与の適用はいつまで?制度の適用期限と2026年以降の見通しについて解説
まず最初に気になるのが、この非課税制度がいつまで利用できるのかという点でしょう。教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の適用期限は、現在のところ2026年3月31日までです。 この制度は2013年4月1日に開始され、これまでも期限が近づくと税制改正の議論が行われ、延長が繰り返されてきました。
本制度の今後については、2025年12月19日に自民・日本維新の会の両党から発表された「令和8年度与党税制改正大綱」において、現在の期限(2026年3月31日)をもって延長せずに終了する方針が盛り込まれました。
そのため、現時点では、制度廃止の見込みが高まっています。正式には2026年3月頃の法案成立を待つ必要がありますが、今後の利用を検討されている方は、制度が終了する可能性を十分に考慮し、早めに準備を進めることをおススメします。
1-2. 教育資金の贈与が非課税になる対象年齢は何歳まで?対象範囲を細かく解説
この制度を利用して非課税で贈与を受けられる人(受贈者)には年齢制限があります。具体的には、贈与を受ける年の1月1日時点で30歳未満の子や孫などが対象です。 したがって、父母から子へ、または祖父母から孫へといった直系尊属からの贈与が対象となります。
なお、この制度を利用して教育資金の管理を始めた後、30歳に達した時点で使い残しがあると、その残額は贈与税の課税対象となります。ただし、30歳に達した時点で大学などの学校に在学している場合や、教育訓練給付金の対象となる訓練を受けている場合は、届け出をすることで最大40歳まで契約期間を延長できる特例があります。
1-3. 非課税になる上限額はいくら?最大1,500万円までの内訳を整理
非課税となる上限額は、贈与を受ける人(受贈者)1人につき最大1,500万円です。 ただし、この1,500万円には内訳があり、支払先によって上限額が異なるため注意が必要です。具体的には、以下の表のように整理できます。
上記のとおり、塾や習い事といった「学校等以外」への支払いに充てられる金額は、1,500万円の枠内で500万円が上限となります。 たとえば、1,500万円の贈与を受けた場合、全額を大学の授業料に充てることは可能ですが、学習塾の費用として使えるのは最大500万円までということです。この内訳を正しく理解し、計画的に資金を利用することが大切です。
詳細な対象範囲について、くわしくはこちら。
2. 贈与された教育資金はいつまでに使わなければならない?使い切れなかった場合の課税や注意点を解説
教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置は、子や孫の教育を支援するための心強い制度ですが、贈与された資金の使い方にはいくつかのルールが定められています。特に「いつまでに使い切る必要があるのか」という点は、多くの方が気になるポイントでしょう。この章では、教育資金の利用期限や、使い切れなかった場合の税金の扱い、そして対象となる費用の範囲についてくわしく解説します。
2-1. 教育資金の贈与はいつまでに使う必要がある?30歳までの使い切りルールを解説
この制度を利用して贈与された教育資金は、原則として受贈者(贈与を受ける子や孫)が30歳に達する日までに使い切る必要があります。 30歳になった時点で、金融機関との教育資金管理契約は終了するのが基本ルールです。
ただし、30歳に達した時点で大学や大学院などの学校に在学している場合は、例外が認められています。 このケースでは、在学中の学校を卒業する年の12月31日まで契約期間を延長することが可能です。 しかし、この延長措置にも上限があり、受贈者が40歳に達すると契約は終了となります。 計画的に資金を利用するためにも、この「30歳(最大40歳)ルール」をしっかりと押さえておきましょう。
2-2. 30歳までに使い切れなかったらどうなる?残額が課税対象になる仕組みを整理
では、30歳(または契約終了時)までに教育資金を使い切れなかった場合、残ったお金はどうなるのでしょうか。結論からいうと、使い切れなかった残額は、契約が終了した年の贈与税の課税対象となります。
たとえば、受贈者が30歳になり契約が終了した時点で、教育資金口座に300万円が残っていたとします。この場合、残額の300万円がその年の贈与とみなされ、贈与税の計算対象になるのです。
ただし、通常の贈与と同じように、年間110万円の基礎控除を適用できます。 先ほどの例でいえば、「300万円(残額) - 110万円(基礎控除) = 190万円」が課税価格となり、この190万円に対して贈与税が課されます。 残額が110万円以下であれば、基礎控除の範囲内に収まるため贈与税はかからず、申告も不要です。 残額が多くなると納税の負担が発生する可能性があるため、贈与を受ける際は、将来必要となる教育費を慎重に見積もり、使い切れる範囲の金額に設定することが重要です。
2-3. 教育資金として使える費用・使えない費用とは?対象項目をくわしく解説
この非課税制度で認められている「教育資金」の範囲は、国税庁や文部科学省によって細かく定められています。 認められていない用途に資金を使ってしまうと、その分も贈与税の対象となるため注意が必要です。 対象となる費用は、先述したとおり大きく分けて以下の2種類があります。
- 学校等に対して直接支払われる金銭(非課税限度額1,500万円の対象)
- 学校等以外の者に対して支払われる金銭(上記1,500万円のうち500万円が上限)
具体的な対象項目と、対象にならない費用の例を以下にまとめました。資金を使う際には、必ず領収書を金融機関に提出して、教育目的の支払いであることを証明する必要があります。
教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置について、くわしくはこちら。
- 学校等に支払う費用・内容: 入学金、授業料、施設設備費、入園料、保育料、学用品費、給食費、修学旅行費など・詳細: 幼稚園から大学、専門学校まで、学校教育法で定められた学校が対象です。
- 学校等以外に支払う費用・内容: 学習塾や習い事(ピアノ、水泳など)の月謝・指導料、通学定期代、留学渡航費、教科書代、教材費など・詳細: この区分の費用は、非課税枠1,500万円のうち500万円までという上限があります。
- 対象にならない費用・内容: 下宿の家賃や光熱費などの生活費、塾で使う道具代(一部例外あり)、大学の同窓会費、自動車免許の取得費用など・詳細: 教育に関連していても、直接的な「教育費」と認められないものは対象外です。
なお、受贈者が23歳以上になると、学習塾や習い事の費用は非課税の対象外となるなど、年齢によって対象範囲が変わる点にも注意が必要です。 制度を正しく活用するために、国税庁のWebサイトや金融機関の情報をこまめに確認しましょう。
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税措置について、くわしくはこちら。
3. 教育資金の贈与はどうやって行う?非課税で贈与するための手続きと必要書類を解説
教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置は、祖父母や親から子・孫へお金を渡すだけでは適用されません。この特例を利用するためには、金融機関にて専用の口座を開設し、定められた手順に沿って手続きを行うことが不可欠です。 ここでは、非課税で贈与を行うための具体的な方法と、その際に必要となる書類についてくわしく解説します。
3-1. 教育資金の非課税贈与の方法は?銀行口座・信託銀行を使うやり方を整理
この制度を利用するには、まず「教育資金管理契約」を取り扱う金融機関を選ぶところから始まります。 主な取扱金融機関は、銀行、信託銀行、証券会社です。 どこで開設しても制度の基本的な内容は同じですが、それぞれの商品名やサービス、手数料などに違いがあります。
- 信託銀行: 「教育資金贈与信託」といった名称の商品で提供されています。 贈与者(祖父母など)が信託銀行に資金を信託し、受贈者(子・孫)が教育資金として使う際に払い出しを受けます。
- 銀行・証券会社: 「教育資金贈与専用の預金口座」といった名称で提供されています。 仕組みは信託銀行とほぼ同じで、専用口座を開設し、そこから教育費を引き出して使います。
どちらの金融機関を選ぶにしても、原則として一度契約すると他の金融機関に変更することはできないため、最初の金融機関選びは慎重に行いましょう。 手数料の有無や、領収書の提出方法(窓口、郵送、アプリなど)の利便性を比較検討するのがおススメです。
3-2. 非課税で教育資金を贈与するために必要な手続きとは?契約書の作成・申告・証明書類を解説
非課税の適用を受けるための手続きは、主に金融機関を通じて行います。贈与者や受贈者が直接税務署に出向く必要はありません。 具体的な流れは以下のとおりです。
- 金融機関の選定と教育資金管理契約の締結
まず、利用する金融機関を決め、受贈者(子や孫)本人名義の専用口座を開設します。 その際、金融機関と「教育資金管理契約」を結びます。 - 「教育資金非課税申告書」の提出
口座開設と同時に、金融機関を通じて税務署へ「教育資金非課税申告書」を提出します。 これは非課税措置を受けるために必須の手続きです。 - 贈与者から専用口座への一括入金
契約が完了したら、贈与者は上限1,500万円までの資金を専用口座に一括で入金します。 - 教育費の支払いと領収書の提出・資金の引き出し
受贈者側は、学校などに教育費を支払ったあと、その領収書等を金融機関に提出することで、口座から資金を引き出すことができます。 領収書の提出には期限があり、一般的には支払った年の翌年3月15日までと定められているため注意が必要です。
手続きに必要な主な書類は以下のとおりです。金融機関によって異なる場合があるため、契約前に必ず確認しましょう。
- 口座開設・契約時・贈与契約書: 金融機関所定の様式または自身で作成したもの・受贈者(子・孫)の本人確認書類: マイナンバーカード、健康保険証など・親権者の本人確認書類: 受贈者が未成年の場合に必要・関係証明書類: 贈与者と受贈者の関係を証明する書類(戸籍謄本など)・印鑑: 届出印など
- 非課税申告時・教育資金非課税申告書: 金融機関の窓口で入手可能・所得証明書類: 受贈者の前年の合計所得金額が1,000万円以下であることを証明する書類(源泉徴収票など)
- 資金の引き出し時・払出請求書: 金融機関所定のもの・領収書等: 教育費の支払いを証明する領収書や請求書の原本
これらの手続きを正しく行うことで、最大1,500万円までの教育資金の贈与が非課税となります。
より詳細な情報については、くわしくはこちら。
4. 教育資金の贈与で贈与者が死亡したらどうなる?相続税の加算ルールと注意点を整理
教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置は、将来の相続税対策としても有効な手段ですが、万が一、贈与者である祖父母などが亡くなってしまった場合、残された教育資金の扱いはどうなるのでしょうか。原則として相続税の課税対象となりますが、一定の条件下では非課税が継続されるケースもあります。ここでは、贈与者が死亡した場合の相続税のルールと、知っておくべき注意点をくわしく解説します。
4-1. 贈与者が死亡すると教育資金の残額はどう扱われる?相続税がかかるケースを整理
教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置を利用している期間中に贈与者が死亡した場合、死亡日時点での教育資金口座の残額(管理残額)は、原則として相続財産とみなされ、相続税の課税対象となります。 これは、贈与の時期にかかわらず適用される基本的なルールです。
具体的には、亡くなった贈与者から、他の相続財産(預貯金や不動産など)と一緒に教育資金の残額を相続したものとして扱われます。その結果、相続財産の総額によっては相続税が課される可能性があります。
ここで注意したいのが、通常の生前贈与とは異なる点です。通常の暦年贈与では、亡くなる前3年以内(2024年1月1日以降の贈与は7年以内に段階的に延長)の贈与財産は相続財産に持ち戻して計算されます。しかし、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置は、この生前贈与加算の対象にはなりません。 あくまで死亡時点での口座残高が相続財産に加算される、という特別なルールが適用されます。
また、税制改正により、2023年4月1日以降に行われた贈与については、贈与者の相続税の課税価格の合計額が5億円を超える場合、後述する非課税の例外規定が適用されず、残額が相続税の対象となるため注意が必要です。
4-2. 贈与者の死亡後も非課税にできるケースは?必要書類・手続きのポイントを紹介
贈与者が死亡した場合でも、すべてのケースで残額が相続税の対象となるわけではありません。受贈者(子や孫)が贈与者の死亡時に以下のいずれかの条件を満たしていれば、例外的に相続税の課税対象とはならず、引き続き非課税措置が適用されます。
- 23歳未満である場合 :年齢が23歳に達していない場合
- 学校等に在学している場合:大学や専門学校などの正規の教育機関に在学している場合
- 教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合:ハローワークが指定する講座など、特定の教育訓練を受けている場合
これらの条件に当てはまれば、贈与者の死亡後も教育資金口座はそのまま維持され、30歳になるまで(在学中などの場合は最長40歳まで)非課税で資金を引き出すことが可能です。
贈与者が亡くなった場合、まずは教育資金口座を開設している信託銀行などの金融機関に、死亡の事実の届け出を行う必要があります。 その際、死亡の事実がわかる公的書類(戸籍謄本など)の提出が求められます。相続税の申告が必要かどうか、また非課税措置が継続できるかどうかを判断するために、税理士などの専門家に相談し、適切な手続きを進めることが重要です。
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