見出し画像

裁判傍聴のエンタメ化、覚えた違和感

先日Xでこんなツイートがバズってました。

画像

というか
これをツイートしたの私自身なんですけど
Xのニュースにも載って、
とんでもない賛否が巻き起こりました。

画像

言葉足らずなのもあって、批判がかなりありました。
とはいえ短文で成り立つXという媒体では自分の伝えたいことを書けないなと思い、

長文をしっかりと読んでくださるNoteのみなさんへ向けて書こうと思い立ちました。

ということで初めて記事を書くので、
お手柔らかにお願いします。🙇

「裁判所で感じた違和感」

2月12日

事前にサイトで調べていた、
「覚醒剤取締法違反等」の第一回公判を傍聴しに
1人で東京地方裁判所へ向かいました。

手荷物検査を受けて、開廷25分前に法廷入り口に到着。

すでに5、6人が並んでいて、
読書しているおじさま、おばさまがいました。

そこからわらわらと人が集まり、開廷10分前になると、25人を超える列ができました。
傍聴人を観察してみると、

・傍聴に手慣れていそうなおじさま、おばさま
・5人ほどの高校生グループ(制服きてた)
・1〜2人組の大学生、社会人
・カップル3組

が特に印象的でした。

開廷5分前、係員の指示に従って入廷
傍聴席に座ります。
最終的には全42席が、ほぼ満席になりました。

弁護士や検察が次々に入廷してくる中
”おもむろにメモ帳を取り出して準備体制をとるおじさま、おばさま”と
”こそこそ何かを話をしているカップル、高校生”
の対比が目につきました。

しばらくすると、手錠をつけた被告人が入廷。


裁判官が開廷を告げます。

女性検察官が、淡々と起訴状を読み上げます。
アメリカから成田空港を通して、密輸したという事案でした。

争点は被告人がその荷物の中身を「覚醒剤だと知っていたか」ということ。

対するベテラン風の女性弁護士は、舞台役者のような弁論で被告人の無罪を主張しました。
そこからは一人の人生を守るために言葉を尽くすプロの気迫を感じました。



第一回公判を終えた後、法廷を出たすぐ廊下で高校生たちが円になって
「がちですごい」「面白い」みたいな会話をしていました。

私も同じ気持ちだったんですけど、
でもそれって
少なくとも裁判所内で表に出すべきではないと思うんです。

「こそこそ声だったらいい」「法廷外の廊下ならいい」という感じなのかもしれないですが、
一切真顔を崩さない寡黙なおじさまやおばさまを見ていると、どうしてもカップルや高校生が軽薄に見えてしまいました。


それからしばらくして、2月20日。

こんなことを言いつつ、私はまた一人で裁判所へ向かいました。

どうしても、「判決の瞬間」を見てみたかったんです。
この日は、傷害致死と放火という二つの裁判の判決が、
ちょうど同じ時刻に重なっていました。

開廷の15分前に着くと、傷害致死の法廷前にはすでに長い行列が出来ていました。
係員の「これ以上は入れません」という声を合図に、
今度は並びきれなかった人たちが、放火の法廷へと、雪崩のように流れていきました。
私を含め、その流れの中にいるのは事件とは微塵も関わりのない、ただの赤の他人ということです。

開廷後、静寂の中で判決が読み上げられました。

被告人は知人からの仕事などに関する過酷な叱責により精神を病み、自閉スペクトラム症という自身の特性も相まって、放火という過ちに至ったといいます。

幸い身体的被害者はおらず、懲役4年という判決に。

「同情すべき点は多分にあるが、罪は罪として向き合わねばならない。今後は決して繰り返さぬように」

裁判官の言葉には、冷徹さよりも、どこか慈愛に満ちた響きがありました。

法を犯した者に対しても、これほど真摯に、人間として向き合う場所がある。その光景に、私は「人権の尊重」という概念を、知識ではなく初めて肌で体感しました。

15分ほどで閉廷。
法廷を出ると、廊下では女子大学生のグループらしき集団が、先ほどの緊張感とは無縁に談笑していました。

その傍らには、裁判に同席していた被告人の母親の姿もありました。彼女は、その光景をどんな思いで見つめていたのでしょう。

もし自分が当事者の立場なら、自分たちの人生を左右する切実な時間が、赤の他人にとっては単なる「非日常のイベント」として消費されている事実に、どうしようもない空虚さを感じると思います。

当然、私もまた、その「赤の他人」の1人です。

でも一体、何に違和感を感じるのか。
考え抜いて至ったのは、やはり
「浮ついた空気を外に出してしまうこと」への拒絶でした。

裁判において最も尊重されるべきなのは、傍聴権を持つ私たちではなく、被害者や被告人、そしてその関係者の方々です。
前提として傍聴人は、当事者の方々の心情に細心の注意を払うべきです。

ということは結局のところ、裁判傍聴に複数人で連れ立って行くこと自体が、間違いなのかもしれません。 冒頭で「カップルや高校生の集団」と大きな主語で批判してしまったのは申し訳ないと思いますが、本質はそこにあるのだと思います。

自分への戒め、純粋な興味、あるいは学びのため。 どんな理由であれ、
傍聴は自分一人で完結させるべきものだと思いました。
(教育としての団体傍聴などの公共性のあるものは除外して)

抱いた感情を安易に表に出すべきではない。けれど、誰かと一緒にいれば、どうしてもその場で何かを共有し、空気を漏らしてしまいます。 あの廊下の笑顔が、それを何よりも雄弁に物語っていました。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
ここまであえて私の情報を1つも入れずに文章を書きました。
なるべく客観的に物事をみる努力をするためでした。

私は今、大学生1年生で、
「いかに自分のパースペクティブを広げられるか」をテーマに、日々さまざまな現場へ足を運び、思考を深めることを大切にしています。



























いいなと思ったら応援しよう!

nasubi もしこの記事が少しでも皆さんの気づきや刺激になったのなら、サポートをいただけると嬉しいです。頂いた応援は、次なる未知の体験への活動資金(旅費や書籍代など)として、大切に活用させていただきます。

ピックアップされています

マガジン2

  • 5,793本

コメント

9
コメントするには、 ログイン または 会員登録 をお願いします。
ふにゃこのプロフィールへのリンク
ふにゃこ

最後になって、存外お若い方と知って(我が子くらいに!)びっくりしましたが、お若い方がその現状に対して違和感を持ったということと、それを発信されたということに、一種の安堵感もあったりします。将来が楽しみな方だと思いました。

1
nasubi いいね
普通のプロフィールへのリンク
普通

私は裁判に関するライターをしており、学校で講義をしたり、学生を傍聴に引率をしたりしています。 私は仰っている疑問に対して概ね同意です。傍聴の姿勢は人それぞれという見方もありますが、決して「見世物」ではなく、同じ社会で生きるものとしての尊厳を忘れてはならないと思います。 一応補足…

4
nasubiのプロフィールへのリンク
nasubi

きちんと読んでくださりありがとうございます。 ほんとにおっしゃる通りです。

1
Mamboのプロフィールへのリンク
Mambo

なぜ"傍聴しにいったのか"の説明がみんなほしいのかも知れませんね 「いかに自分のパースペクティブを広げられるか」だとは思いますがだとしたらあまり「浮ついた空気を外に出してしまうこと」と違いはなさそうだとは思います 個人的な意見ですが

2
nasubi いいね
なこいちのプロフィールへのリンク
なこいち

Welcome to Underground! アクセスしてみてね https://b.hatena.ne.jp/entry/s/note.com/nasubincho/n/n5b0c6b2abda7

1
nasubiのプロフィールへのリンク
nasubi

え、私エンタメ目的がダメとか一言も言ってないんですけど、 これってみんなが読んでないだけなのか文を作るのが下手なのかどっちなんですかね

もっとみる
裁判傍聴のエンタメ化、覚えた違和感|nasubi
word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word

mmMwWLliI0fiflO&1
mmMwWLliI0fiflO&1
mmMwWLliI0fiflO&1
mmMwWLliI0fiflO&1
mmMwWLliI0fiflO&1
mmMwWLliI0fiflO&1
mmMwWLliI0fiflO&1