バレンタインと不審物
■バレンタイン当日、自室に不審物があった槍の話。
■ついったで開催されている赤弓受祭0418_企画のお題「バレンタイン」に参加させていただいた時の話です。素敵な企画をありがとうございました。
■4/18開催のWebオンリー「赤弓受まつり」にサークル参加します。サークル参加はほぼ初心者ですがよろしくお願いします。
- 321
- 301
- 4,994
レイシフトから戻ると、自室のベッド脇のサイドチェストの上に見慣れぬ箱があった。
思わず開けたばかりの扉を閉め、廊下に掲げられたルームプレートを確認する。「クー・フーリン(ランサー)(年嵩)」。プロトと呼ばれる年若い己が召喚された折に、ランサーだけじゃわからんだろ、と書き足された「年嵩」の文字に眉を顰めてしまったが、間違いなく己に割り当てられた部屋である。
因みに、件の年若いクー・フーリンのルームプレートには、ランサーが直々に「若造」の文字を書き足してやっている。互いにふざけるなと殴り合いになったが、わかりやすいと言えばわかりやすいかも、というマスターの言葉に毒気を抜かれ、そのまま放置している状態であった。
何はともあれ、ここは間違いなくランサーの部屋である。そのことを確認してから、ランサーは再度部屋の中を覗き込んだ。
青地に細く白い線が入った包装紙に包まれた小さな箱。ご丁寧に水色のリボンと赤い紐が一緒になって巻かれたそれは、まるで贈り物か何かのようだった。
あくまでも見た目は、の話である。
カルデアではトラブルが発生するのは日常茶飯事だ。ぐだぐだ粒子だのサーヴァント・ユニヴァースだのというわけのわからぬ事象も発生するし、とんでもないことをやらかすトラブルメーカーも数多く存在する。
そんなカルデアで、知らぬうちに自室に置かれていた物体。そんなものに下す評価など一つしかないだろう。
良くて不審物、悪くて危険物、てとこかね。
これで何か書置きのようなものが添えてあるならば、ランサーとて少しは警戒心を解いただろう。少なくともその内容を読むまではここまで警戒はしなかったに違いない。
けれど実際にはそんなものは一切なく、ただぽつねんと、青い箱だけが置かれているのである。不審物以外の何物でもなかった。
なんでオレの部屋に仕掛けられたんだかねえ。
自室の扉を閉めてルーンによる封印を施しながら、ランサーは知らず溜め息を吐いていた。
こうしておけば魔術の心得のある者であれば封印に気付いて近寄らないだろうし、マスターのように心得のない者は封印に阻まれて扉に触ることすらできないだろう。
得体の知れないものへの暫定対応としては上々だろうと思いつつ、ランサーはもう一度重い息を吐いてしまった。
レイシフトから帰って直ぐに部屋へ来たのは、クローゼットに隠しておいたある物を取るためだったのである。それを持って食堂に向かうのがランサーの目的だったのだ。
そうだというのに、部屋に入れないどころか、むしろ封印する羽目になっているとは一体どういうことだろう。
これも低い幸運値のなせる業だろうかと軽く嘆きながら、ランサーはカルデアの技術顧問の元へと足を向けたのだった。
+++
食事時の過ぎた食堂はがらんとしていた。
いつもであればキッチンメンバーでさえ引き払っている時間帯だ。人気が無いのも当然だろうと思いつつ厨房の中へ視線を向ければ、椅子に座って書き物をしているエミヤの姿が目に入り、ランサーはそっと胸の内で安堵の息を吐いた。
バレンタインデー。愛を伝えるお祭り騒ぎの準備のために、キッチンメンバーは二月に入ってからずっと二十四時間体制のシフトを組んで対応をしている。厨房で怪しいものが生成されるのを防ぐ監視のため、そして何より、お菓子作りの手伝いやアドバイスのために、常に厨房に誰かしらがいる状態を保っているのだ。作りたいものによって相談したい相手も変わるだろうと、いつ誰が厨房にいるのかというシフト表を作って、キッチンカウンターの横の壁に張り出すという力の入れようである。
常であれば誰もいない筈の時間帯の食堂にエミヤが待機しているのも、それが理由だった。
バレンタインデー当日の担当をわざわざ買って出たのだろう男にそっと呆れつつ、おかげで探し出す手間が省けるな、と感謝したことを思い出して、ランサーは思わず眉を顰めてしまった。
いつもはあちらこちらを動き回っている男が一つ所に留まっていてくれるとはありがたい、と確かにその時は思ったのだ。実際にこうして無事見つけることができたのだから、その点に関してはありがたいことに変わりはない。けれど、今のランサーには、元々の目的を達成することができないのである。
それもこれも全てはあの不審物のせいだけどな。
胸の内で悪態を吐きながら、ランサーはこつ、とカウンターを指で叩いた。音に反応して薄墨色の瞳がこちらを向く。それを確認してから、ようと片手を挙げてみせた。
「ランサーか。何か用かね、と言いたいところだが…随分と疲れた顔をしているな」
眉間に皺を刻んだ男に、ちょっとな、とへらりと笑ってみせる。面倒ごとに巻き込まれたんだよ、と続ければ、ふむと顎に手を当てて頷かれた。
「君が面倒ごとに巻き込まれるのはよくあることだが、大分疲れているようだな。コーヒーでも淹れようか?」
「おう頼むわ」
少々待ちたまえ、と離れていく背中を視線で追いながらランサーはカウンターに頬杖をついた。
ランサーが疲れているのは勿論例の不審物が原因である。不審物を報告し、スキャンと解析をダ・ヴィンチに依頼したところ、ランサー自身の霊基の検査までやる羽目になったのだ。
ぐだぐだ粒子のような目に見えぬ何かであった場合、既に君に付着している可能性があるからね。
軽やかに笑ったダ・ヴィンチの言うことは全くもってその通りで、つい先程までランサーは面倒な身体検査に付き合っていたのである。
ランサー自身に異常はないと判断されたためこうして自由の身になったが、肉体的にも精神的にも嫌に疲れる時間であった。
本当に何だってこんなことになったんだか。
とうとう堪えきれなくなった溜息が零れる。
ランサー自身の検査は終わったが、例の不審物を含めたランサーの部屋の検査は今なお進行中だ。何か異常が検知されれば解決のために走り回ることになるし、異常が無かったとしても、結果が出るまでは部屋に戻ることすらできないのである。
せめて今日中に解決できればいいんだがな。
コーヒーを淹れるエミヤの姿を視界に収めて、ランサーはゆるりと息を吐いた。
本当であればランサーは今頃、目の前にいる男に赤いバラの花束を渡して、愛の告白とやらをしている筈だったのである。
バレンタインデーは愛する相手に贈り物をする日だ。現代の風習に馴染みのないサーヴァント達にそう説明していたのはエミヤ自身である。そして、赤いバラというのはそれ自体が愛の告白のようなものだと、夢見るような瞳で絵本を眺める子供達に話して聞かせていたのもエミヤであった。
そのバレンタインデーに、愛の告白そのものだという赤いバラを贈れば、如何な鈍感朴念仁の男とて、ランサーの愛が本当だと理解するに違いない。
そう考え、計画していたというのに。
この日のために用意していた赤いバラは、得体の知れない箱と共にランサーの部屋に封じられている。
一体どういう喜劇だよと、遠い目をしてしまうのも仕方のないことだろう。
「何というか、本当に疲れた顔をしているな」
そんな言葉と共にことりと目の前にコーヒーが置かれた。重厚な香りが鼻をくすぐって、ほんの僅かばかり体の力が抜けた気がした。
まあ色々あったんだよ、と薄く笑ったところで、こほん、とエミヤが小さく咳払いをしてみせた。
「ところでランサー、チョコレートはいるかね?」
「は!?」
思わずがたりと立ち上がる。
チョコレート。今、こいつはチョコレートと言ったのか。
マスターの故郷において、バレンタインの贈り物の定番はチョコレートである。そのため、ここカルデアにおいても定番の贈り物といえばチョコレートなのだが、そのチョコレートを、貰えるということなのだろうか。
エミヤの顔を凝視したまま、ランサーはこくりと息を呑んだ。勿論貰えたら嬉しいとは思っていたが、エミヤからのチョコレートなど、貰えるわけがないとも思っていたのである。それを、貰えるというのだろうか。
「その調子だとやはり甘い物をご所望だな?」
ふ、と片頬を上げてエミヤが笑う。そうして取り出して来た籠には、個包装されたマドレーヌとクッキーが詰め込まれていた。
「さあカルデアキッチンからのバレンタインだ。どちらか片方しか差し上げられないのだが、どちらをご所望かな?」
ぱちりと気障ったらしくウィンクをしてみせたエミヤに、ランサーは己の勘違いを悟ってカウンターに沈み込みたくなった。
皆に平等に配るためのチョコを用意するなんて、想像できたことだろう。
そう頭の中の冷静な部分が指摘するが、一度うっかりと弾み上がった気持ちが悲しい程に萎んでいく。
「疲れているとはいえ、君はあまり甘い物を好まないだろう。それであればこちらのココアクッキーの方が甘さ控えめでお勧めだな」
「…お前が作ったのはどっちだよ」
せめてエミヤが担当した方を貰いたい。そんな思いからの言葉にエミヤはきょとりと目を瞬かせた後、ああ、と得心が行ったように頷いた。
「安心したまえ。どちらも私が作ったものではない」
チョコマドレーヌがブーディカ、ココアクッキーがタマモキャットだな。
どことなく楽しそうに続けたエミヤに、ランサーは今度こそカウンターに顔を沈み込ませてしまった。
その他大勢向けのものであろうと、貰えるのであれば嬉しいではないか、とほんの数秒の間に気持ちを切り替えようとしたところだったのである。そうだというのに、そもそもエミヤが作ったものがないとはどういうことだろうか。
「ランサー?」
「…いや、うん、気にすんな。お勧めのクッキーを貰えるか」
顔をカウンターに懐かせたまま、ひらりと右手を掲げて振ってみせる。訝し気な目をしながらもその手にココアクッキーの入った袋を手渡して来たエミヤに、サンキュ、と返してからランサーは身体を起き上がらせた。
透明な袋に包まれた五枚のココアクッキー。エミヤ曰く甘さ控えめのそれは、きっと美味しいに違いない。早速と袋から取り出して口に放り込めば、ほろりと解けて優しい甘さが口に広がった。ココアの苦みも感じられて、確かに大変美味しい。美味しいのだが。
はあ、と小さく息が零れた。
溜息を吐くなんて作ってくれた者に失礼だろう。そうは思うが、今ばかりは見逃してほしいと、ランサーはそっと肩を落とした。
「ランサー、やはり君、随分と疲れているな?」
「ああ、まあな」
「…部屋でゆっくりと休んだ方が良いのではないかね?」
こちらを気遣う言葉にランサーは更に項垂れてしまった。部屋に入れるのであればランサーだって入りたいのである。
「部屋に入れるんならオレだってそうしたいんだよ」
「…は?」
「レイシフトから帰ったら部屋に不審物があってな、今オレの部屋はダ・ヴィンチが解析中なんだわ」
誰も入れないようにルーンで封印もしてきたし、危険性がないって結果が出るまではオレも部屋に戻れねえんだよ。
そう苦笑すれば、エミヤがどこか呆然とした顔で不審物、と小さく零した。
「不審物、というのは…」
「ベッド脇にサイドチェストあるだろ。その上に見覚えのないやつが置いてあったんだよ。ぐだぐだ粒子とかサーヴァント・ユニヴァースとかみてえな訳の分からんやつが絡んでる可能性もあるしな、良くて不審物、悪くて危険物ってとこだろ」
勘弁してほしいよな。溜息と共に吐き出してランサーはコーヒーに手を伸ばした。口に含めば薫り高い苦みが広がってほうと息が漏れる。
そのまま二枚目のココアクッキーを放り込もうとしたところで、そうか、とエミヤが頷いた。
「確かに、それは不審物だな。いや流石は歴戦の戦士だ。素晴らしい危機察知能力だな」
「なんだその言い方。馬鹿にしてんのか」
「まさか。災難だったなと憐れんでいるところだよ」
憐れみついでに特別にマドレーヌも差し上げようか?と小首を傾げるのに、いや結構だ、と片手を挙げて静止した。
エミヤが作ったものであれば両方貰いたいところだが、どちらも違うのであれば片方で十分である。
手にしたままだったクッキーを改めて口に放り込めば、さくりと砕けてほのかな甘みが広がった。どうしても残念に思ってしまう心があるのが申し訳ないが、本当に美味しいクッキーだ。
後でタマモキャットに礼でも言いにいくかね。
そんなよそ事を考え出したランサーに、ところで、と声が掛けられた。
「ところで、その不審物が、解析の結果問題ないと判明した場合、どうするのかね?」
「あん?」
「遠隔での解析では毒の有無まではわからないだろう。実物をダ・ヴィンチの元まで持っていって調査してもらっても良いかもしれないが、得体の知れないそれにそこまで労力を掛ける意味もないのだし、処分するのではないのかね?」
ランサーははたりと目を瞬かせた。
異常があった場合のことしか考えていなかったが、確かに問題がなかった場合はどうしたものだろうか。
「あー、考えてなかったな」
がりと頭を掻きながら、でもまあ、確かに処分しちまった方が早いわな、と頷く。わざわざ詳しく調査してもらうのも面倒くさいし、そんなことに労力を割く趣味もない。
「処分するのであれば、手間を掛けて申し訳ないが、ここまで持ってきてくれないだろうか。カルデアには甘いお菓子とみれば飛び付いてしまう者もいるだろう?流石にゴミ箱に捨てたものまで拾うとは思わないが、何かことが起きてからでは遅いからな。キッチンの中にあるものについては、けして無断で手にしてはならないと理解してくれているから、処分するのであればここで処分したい」
困ったように笑うのに、なるほど、と得心が行った。脳裏に浮かぶのは鬼の頭だという金髪の少女だ。確かに甘いお菓子であった場合、正体もわからぬままかじりついてしまいそうである。
しかし、了解、と返そうとしたところで、ランサーははたと固まってしまった。
ランサーは見覚えのない物があったと、不審物があったとしか、言っていないはずである。そうだというのに、何故エミヤは甘いお菓子だと決めつけて話を進めているのだろうか。
ぽつりと、一つの疑念が沸き上がる。
「…確かに、そのまま捨てたら中身は無事だもんな」
「ああそうだ。君のことだから、包装紙はおろかリボンすら取らずに捨てるだろう。あんなプレゼント然としたものが捨ててあったら、茨木童子でなくとも手に取ってしまう可能性があるからな、私が安全に処分してやろうと言っているのだ」
ふんと鼻を鳴らしたエミヤに、ランサーはこくりと唾を飲み込んだ。
包装紙にリボン。プレゼントのような姿。どれもランサーの言った不審物という言葉からは到底辿り着かないだろう特徴である。
「あ」
ふ、とカウンターの上のクッキーへと視線を落とす。どうした、と釣られて覗き込んできた男のチョコレート色の腕をがしりと掴んだ。
「!?な、何だ一体」
「なあ、何でラッピングされてるって知ってんだ?」
逃がさぬようぎちと掴んだ腕が一瞬跳ねる。けれど変化はそれだけで、ランサーはじいとエミヤの顔を覗き込んだ。
「…君が、言ったのではなかったかね?」
「残念ながらそんなことは言ってねえな」
ふむ、そうだったか。そう呟く様は常と変わりはなく、ランサーは思わず笑ってしまいそうになった。
流石は弓兵。面の皮が厚いな。
獲物を前にした興奮が沸き上がりそうになるのを必死に抑えて、再度何で知ってんだよ、と問いかける。
「いや申し訳ないな。ここ最近、箱と言えばどれもこれも綺麗にラッピングするものであったから、つい、君の部屋の不審物も綺麗にラッピングされているものと思ってしまっていたよ」
変な先入観を持ってしまっていたようだな。いや、気が緩んでいたようでお恥ずかしい。私もまだまだ未熟だな。
やれやれと首を振る様子はやはりいつもと変わりない。
「ああ、そういやお前ラッピングの手伝いもしてたんだっけか」
「ああそうだ。おかげで箱だというだけで、つい、勘違いしてしまった」
「なるほどな。じゃあ、中身が甘いもんだって決めつけて話してたのもそれが理由か」
ぴくりと、エミヤの眉が跳ねた。けれどその変化も瞬きの間に消えて、いつもの顰め面に戻る。
「確かに、それも思い込みだな。箱の中にはチョコレートやお菓子が入っているものだと、つい思ってしまっていたようだ」
はあと溜息を吐いたエミヤに、なるほどな、と頷いた。今日まで散々とチョコやらお菓子やらを詰め込んだ箱を見てきたのだ。箱だというだけで、その中身までつい連想してしまうようになるということもあるだろう。
そう、箱なのであれば、である。
ランサーはにやけそうになる顔を必死に堪えて、なあ、と腕を掴む手に更に力を込めた。おい痛いぞ、さっさと離さんか。そう声を荒げるのを無視して、もう一度、なあと声を掛ける。
「なあ、オレ、箱だってことも、言ってないんだぜ?」
途端、目の前の男の動きが止まった。
硬直した鋼の瞳がぎこちなくランサーの顔に向けられて、ぱちりと視線が合う。
その次の瞬間には慌てて腕からランサーの手を引きはがそうとするものだから、ランサーは遂に堪えきれず笑ってしまった。誰が逃がすものか。
「ええい離せ!」
「何で離す必要があるんだよ。つまりあれは、」
『はーいお待たせ!クー・フーリンの部屋の解析結果が出たよー』
お前からオレへの贈り物だろう。そう続ける筈だった言葉が唐突に遮られた。声の出どころはカウンターの上に置いていたダ・ヴィンチから渡された端末である。
ブン、と空間に映し出された美女の姿にエミヤの抵抗が強くなる。けれどそれで掴んだ腕を離す程、ランサーは優しくはないのだ。
『おおっと、取り込み中かな?』
出直そうか?そう小首を傾げてみせた技術顧問に、いいやこのまま教えてくれ、とランサーは返した。これで異常なしという結果が突き付けられれば、王手だろう。
『そうかい?それなら結果発表だ』
にこりと麗しの笑顔を浮かべたダ・ヴィンチが、ぴ、と人差し指を立てた。
『さて、ランサークラスのクー・フーリンの部屋を走査した結果だけれどね、オールグリーン、何の異常もなかったよ。勿論、あの箱も問題なしさ。ん?じゃあ誰からのものなのか知りたいって?ご希望ならキミの部屋の前の監視カメラ映像を確認しても良いが、それは野暮ってもんだろう?シンデレラ探しは自分でやらないと意味がないってものさ』
そういうわけで、頑張ってくれたまえ。
チャオ、と軽快な挨拶と共にぷつりと通信が切れる。
しんと静まった食堂で、エミヤが再び逃げることも忘れて固まっていた。監視カメラ、だと…?呆然と零れ落ちた声に、ランサーはますます笑みを深くしてしまった。
監視カメラ映像。エミヤがどれ程言い訳を重ねて逃れようと、逃れ切れぬ物的証拠があるというわけだ。
「二人で監視カメラの映像を確認しに行くか?」
「なっ…!」
ふざけるな、そう言おうとしたのだろう唇に、ランサーは問答無用で噛みついた。
両想いだというのなら、誰が遠慮などするものか。
意外に策士な槍ニキにニヤニヤしてしまいました!素敵なお話を読ませて頂きました💕