【存在するのに存在しないことにされる】結婚のマッチング不全の構造的透明化問題 #エキスパートトピ

荒川和久
独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター
Grokにて生成

帝国データバンクによれば「正社員の不足を感じている企業は52.3%」「人手不足倒産も過去最多」とのことだが、この問題の本質は少子化や人口減少に伴う人手不足というより構造的問題にある。

実際、経産省「2040年就業構造推計(改訂版)」によれば、事務職は440万人も余剰なのに現場人材は260万人も不足、大都市では余剰なのに地方では不足。加えて、若年層は不足なのに、氷河期世代の中年層の採用はしぶるという面がある。

人がいないのではなくマッチング不全なのである。そしてこの構造的なマッチング不全は結婚にも当てはまる。

ココがポイント

「正社員足りない」企業52.3% 4年連続5割超え 「人手不足倒産」は3年連続過去最多【知っておきたい!】

経産省が公表した「2040年の就業構造推計(改訂版)」の衝撃的な内容 人口減少でも「大きな人手不足は生じない」と結論
出典:マネーポストWEB 2026/2/16(月)

結局、あなたが選びたい対象は、他の多くからも選ばれているわけで、一部の強者ばかりに選択が集中することになる
出典:荒川和久 2025/5/4(日)

エキスパートの補足・見解

婚活でのマッチング不全は、まず男性への年収条件に表れる。

「最低でも500万円以上」という声もあるが、それを男性の初婚が一番多い30-34歳でクリアしている未婚の割合はたった20%、大卒に限っても27%でしかない。そもそも中央値が400万円前後なのに、500万円が最低といわれると半分以上が対象外となる。

年収だけではない。恋愛力でも同じだ。

恋愛強者男性の上位3割は、リアルでもマッチングアプリでも容易に相手が見つかる。しかし、残りの7割にとっては、職場縁や友人縁による結婚がお膳立てされた昭和と違い、令和の現代では出会うことすら困難になっている。

冒頭の雇用におけるマッチング不全と構造は一緒で、結婚したい男女はいても、それぞれがマッチングしない構造になっているために結婚が生じないのだ。

経済力や恋愛力の上位層だけが「強者総取り」する一方で、それ以外は「存在しているのに存在しない」ことにされる。結婚は1対1なので、「強者総取り」したところで結婚数は増えない。

自由に選択できる時代と言いつつ、選択できるのは一部に限られ、7割近い層が透明化される構造なのだが、この構造問題すら世の中的に透明化されていることが最大の問題だろう。

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独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター

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広告会社において、数多くの企業のマーケティング戦略立案やクリエイティブ実務を担当した後、「ソロ経済・文化研究所」を立ち上げ独立。ソロ社会論および非婚化する独身生活者研究の第一人者としてメディアに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』『結婚滅亡』『ソロエコノミーの襲来』『超ソロ社会』『結婚しない男たち』『「一人で生きる」が当たり前になる社会』などがある。

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