生涯カープ宣言-。今季FA権を取得した広島東出輝裕内野手(28)が10日、広島市内の球団事務所で残留会見を行った。一時は宣言することも視野に入れていたが、カープ愛がそれに勝った。会見では「広島から離れるのは考えられなかった」と話し、FA権を“封印”する考えも明かした。契約条件は4年4億円+出来高(年数と金額は推定)。東出はこの日、正式に更改した。

 悩んだだけに、すっきりした様子だった。4年契約は黒田(ドジャース)新井(阪神)に提示したのと同じ年数で球団史上最長タイ、単年ベースの年俸は150%アップ。球団にとってそれほど残ってほしかった背番号2。「宣言せずに残留します」。球団の誠意、培われた自身のカープ愛。FA申請期間が始まったこの日、“けじめ”の会見は多くのファンを安心させたことだろう。

 長い間コツコツやってやっと取得した権利。残留を基本線としながらも心は揺れ動いた。「宣言しようと思ったのも本当だし、他球団の評価も聞いてみたかった」。揺れる思いに決着をつけたのは広島への愛情だ。チーム、球団はもちろん広島の街、ファン…。「18歳でドラフトで指名されて10年経った。もう半分広島人みたいなもんだし、広島から離れるのは考えられなかった。10年間やってきて、他球団と横一線で比べるのも失礼かと思った」。

 宣言せずに残留となればFA権自体は保有し続けることになる。契約満了後の4年後について聞かれると「(今後宣言は)ないでしょう。4年後も引き留めてもらうために活躍しないといけないですね」と「FA」ではなく「生涯カープ」を“宣言”した。

 今季は138試合に出場し、自己最高の3割1分をマーク。守備面でも内野の要として存在感を示した。球団幹部も「残ってくれてホッとした。東出がいなかったらゼロからチームを考えなきゃいけない」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 出来高は複数項目に分かれるが、自身の意向で入れたのが「チーム3位出来高」だ。CS進出なら満たされる項目。今季は142試合目まで3位を争った。「(残留へ)説得された責任が自分にはある。このチームでCSに向けて戦いたい。そして日本シリーズで優勝したい。その喜びをみんなで分かち合いたい」。そう言って、東出は笑った。【網孝広】