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コロナウイルス騒動を生き抜くための武器---1. PCR検査騒動の考え方

はじめに
今回のコロナウイルス騒動では、あまりに多くの情報が流れている。専門家の情報、「専門家」を名乗る者の情報、素人の情報、正しい事実、不確かな事実、完全なデマ。パンデミックならぬインフォデミック、とまで呼ばれている。たしかに我々はウイルスよりもはるかに多くの情報に暴露している。

この区分けでいけば、このnoteは『「専門家」を名乗る者の情報』ということになる。わたしは医師であり、社会医学の専門家である。しかし感染症の専門家ではない。どのくらい信用してよいか?あなたは不安になるかもしれない。しかし安心してほしい。この騒動において、絶対に信用できる情報など、なにひとつない。本当の意味での「専門家」など、日本にせいぜい1名いるかいないか、である。

たとえば、あなたは経済アナリストの「株価予測」を信じたことがあるだろうか?本当に信じることができれば、その予測に従えば勝ち続けることができるが、残念ながらそんなことはない。いま、コロナウイルスにおいて起きているのは、そういうことである。

そうだとわかってしまえば、あなたに必要なことは、情報の確からしさの濃淡を推し量る力であり、無視してよい情報を見分けることであり、そしてなにより、自らを、大事な家族を、もしかしたら社会を、守るために、「どのように考えるか」を知ることである。
このnoteは、そのための補助線を提供する。あなたはいま、丸腰かもしれない。もしかしたらマシンガンを持っているかもしれない。願わくば、あなたがどんな人だったとしても、この長い文章を読み終わったあとに、あなたがいまよりほんの少しでも強い武器を手にしていますように。

目次(順不同・予定)
PCR検査騒動の考え方(了・本稿)
BCG仮説・集団免疫仮説騒動の考え方
予測モデル騒動の考え方
ロックダウン騒動の考え方
未来への出口戦略-封じ込めた後の世界vs集団免疫のあとの世界

ウイルスと戦うための武器としてのPCR検査

「PCR検査をたくさんすると医療崩壊するからすべきではない vs 不安な人々に安心を与えるためにとにかく可能な限りたくさんのPCR検査をすべきだ」という議論が延々と繰り返されているのを、目にしたことがあるかもしれない。

あるいはあなたは、そのどちらかに与しているかもしれない。しかし断言しよう。この両者は、どちらも正しくはない、と。
これからPCR検査体制について考えていくが、ひとつ念頭に置いておきたいのは、なにが正しいとしても、誰だって、自分が疑わしい状況では検査を受けたい、ということである。その気持ちは、誰もが絶対に尊重すべき気持ちであると考える。

PCR検査の体制を考える上で、ひとつだけ確かなことがある。それは、PCR検査の実施キャパシティは大きいほうがよい、ということである。仮にPCR検査をすべき「必要な量」というものがあるとして、キャパシティが大きければ、状況に応じて選択できるからである。
では、必要な量とはなんなのか。我々はこれを考える必要がある。ウイルスとの戦いにおいて、PCR検査というのは要となる武器である。なぜなら、我々にはウイルスを可視化する方法が3つしかない。
1.症状
2.人と人との接触
3.PCR検査
ただし、そのどれもが可視化する方法としては不十分である。

まず症状についてだが、新型コロナウイルス感染症の症状は、無症状かもしれないし、あっても初期は普通の風邪と大差がないので、見分けがつかない。
人と人との接触も、当然完全に可視化することはできない。私権を制限して管理する方法はあるが、完全な形での実施は日本では現実的でない。
そしてPCR検査には、「感度」と呼ばれる問題がある。これは、本当に感染している人を、検査で「感染している」と当てることができる確率である。これは30-70%と言われている。
この「30-70%」という数値だけで、いかに人類がこのウイルスのことをなにもわかっていないか、よく理解してもらえると思うが、いずれにせよ、我々はこのウイルスを常に見逃し得るのである。

ウイルスと戦うための戦略

これらの武器を使ってウイルスと戦うとき、初動の戦略が要となる。初動の戦略は主に2つである。
1.封じ込め戦略
2.時間かせぎ戦略
当然、封じ込められれば封じ込められるに越したことはない。ただしそれが難しい場合、時間稼ぎ戦略をとり、致命的なオーバーシュートが起こらないようにコントロールしながら、自然な罹患またはワクチン接種による集団免疫の獲得を目指すことになる。

日本の初動と韓国の初動は対照的であった。韓国はとにかく大量のPCR検査を駆使し、疑わしい人を片っ端から検査をして、隔離した。この戦略により隠れた感染者を大量に発見したことと、一部のカルト宗教で爆発的な感染が起きるという誤算により、一時的に大量の感染者が出現して医療現場がオーバーフローしかけたが、無事に乗り切り、現在では感染は制御下にある。これは封じ込め戦略の成功例と言えるだろう。

一方で、日本はPCR検査を一部の対象に絞って行った結果、感染者を大量に見つけるには至らなかった。しかし幸いにも爆発的感染は起こらず、ロックダウン等の劇薬も最小限な中で、欧米と比べてかなり緩慢なペースで感染者を増やし、いまに至っている。これは時間かせぎ戦略の、まさに稀有な成功例と言えるだろう。

日本は好んで時間かせぎ戦略を選んだわけではない

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