2026-02-25

インフレ失業が減るのは実質賃金短期的に下がるからだ。つまり調整ラグ貨幣錯覚による自己放尿である

ケインジアン自己放尿物語では、インフレは総需要を刺激し、産出と雇用を増やす

だがこれは価格理論を軽視したマクロ自己放尿であるシカゴ学派立場から言えば、問題名目ではなく相対価格であり、労働市場の均衡は実質賃金 ( w/P ) によって決まる。

まず、労働需要限界生産力条件から

w = P ・ MPL

すなわち

w/P = MPL

である企業名目賃金 ( w ) ではなく実質賃金 ( w/P ) に反応する。したがって、予期されないインフレが発生し、価格水準 ( P ) が上昇する一方で名目賃金 ( w ) の調整が遅れれば、短期的には

w/P ↓

となる。これは企業から見れば労働が「安くなった」ことを意味し、労働需要が増加する。結果として雇用 ( N ) は増え、失業率 ( u ) は自然失業率 ( u^* ) を下回る。

だが、ここで重要なのは、この現象が実物的基礎によるものではないという点である。これは貨幣錯覚情報の不完全性に基づく一時的自己放尿にすぎない。

期待拡張フィリップス曲線は次のように書ける。

π = π^e - α (u - u^*)

ここで

( π ):実際のインフレ

( π^e ):予想インフレ率

( u ):失業率

( u^* ):自然失業率

失業自然率を下回るのは、実際のインフレが予想インフレを上回るときだけである。すなわち

π > π^e

場合のみ。しかし、合理的あるいは適応的期待の下では、労働者はやがて学習する。名目賃金交渉インフレ率を織り込む。その瞬間、

u = u^*

に戻る。長期フィリップス曲線は垂直である。つまりインフレ政策は持続的に失業を下げることはできない。

できるのは、予想を裏切ることによる一時的な錯誤の利用だけである。そしてその利用は、次第に高まるインフレ率を必要とする。これは加速的インフレ仮説である

調整ラグという名の自己放尿

インフレによる失業低下は、実質賃金一時的低下に依存している。

だがそれは労働者が実質所得を失っていることに気づいていない間だけ成立する。

これは、寒さをしのぐために自己放尿する行為に似ている。最初は温かい。だがやがて凍る。しかも前より悪化する。

インフレ政策も同様である

1. 予想外インフレ

2. 実質賃金低下

3. 一時的雇用

4. 期待修正

5. 自然失業率回帰

6. より高いインフレけが残る

これは実体経済を強くしたのではない。単に価格シグナルを歪めただけだ。

価格情報を伝達する自動操縦装置であり、それを攪乱すれば資源配分は歪む。

市場は調整能力を持つが、貨幣不安定性がそれを妨げる。

中央銀行ルールではなく裁量で行動し、短期的な雇用改善を狙えば、最終的にはスタグフレーションを招く。1970年代はその自然実験であった。

長期均衡の冷酷さ

長期では、労働市場の均衡は実物的要因(人口構造労働摩擦、制度的歪み)によって決まる。貨幣名目変数を変えるだけで、実物変数には中立的である(長期貨幣中立性)。

したがって政策的含意は明確である

結論

インフレ失業が減る」という命題は、実質賃金一時的に下がるからという価格理論説明還元される。

しかしそれは貨幣錯覚と期待調整ラグ依存する不安定な均衡であり、自己放尿である

市場経済は価格という情報体系によって自己調整する。

インフレ政策はその体系を攪乱し、自己放尿する。

短期の放尿の暖かさのために長期の凍傷を選ぶのか。それが問いである。

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