<MIKAWAサーチ>(215)豊田・飯野小でPTA業務を「カイゼン」 無駄を省く
中日新聞Web2/23(月)5:05
PTA改革の取り組みについて語る細野さん=豊田市藤岡飯野町で
「負担が大きいから関わりたくない」−。PTAのイメージを尋ねれば、多くの人がこう答えるだろう。全国各地で役員のなり手不足で解散するPTAも現れている昨今、豊田市藤岡飯野町の飯野小学校PTAが改革に取り組み、成果を挙げている。キーマンは2023年度に副会長、24年度に会長を務めた細野恵哉(けいや)さん(61)。地域のしがらみの中で変えにくいといわれるPTAをどう変えてきたのか。 (浅井正智)
「なりたくてなったわけじゃありません。近所の奥さんたちに6時間説得され、仕方なかったんですよ」
細野さんは苦笑しながらこう語り始めた。23年度に副会長を引き受けたときのエピソードだ。
中に入って、ほかの人たちがやりたがらない理由がわかった。とにかく無駄が多い。役員は27人、会議は年6回ある。年2回の広報誌作りは写真選びなどに多大な労力を使うのに、発行する頃にはタイムリーな内容ではなくなっている。
役員経験者や保護者、近隣小中学校の校長らからのヒアリングを基に、改善点をまとめ、ほかの役員たちと話し合いを重ねながら「ぜい肉」を1枚1枚そぎ落としていった。役員は6人、会議は年2回に圧縮。広報誌は廃止した。保護者に強制していた登校時の交通当番もやめた。
細野さんは現在、林宗寺というお寺の住職だが、55歳までの35年間、トヨタ系の下請け会社で働いた経験を持つ。「PTAの問題点を洗い出して変えていく。つまりカイゼンですよ」
細野さんがPTAが敬遠される最大のネックとみたのは、役員になると自動的に地区コミュニティ会議の委員にならなければならない、「あて職」の存在だ。
藤岡地区コミュニティ会議は年6回の委員会のほかにさまざまなイベントがあり、PTAより活動内容が多い。これを廃止してもらおうと、同会議に要望書を提出した。
当初渋っていた阿垣剛史会長(81)も「このままではPTAは崩壊してしまう」と訴える細野さんの考えを理解し、受け入れてくれたという。阿垣さんは「ワシらの世代にはPTA解散なんて考えれんこと。子供たちのためにもPTAを残さんといかんと思った」と当時を振り返る。
予想外の出来事もあった。強制的な交通当番をやめたら、逆に自分からやってくれる人が現れたことだ。現在、2人の子供が同小に通う池野恵理さん(45)もその1人。「強制されていた頃はちゃんと行かなきゃと思っていたが、今は気軽に行ける。自分の子供だけでなく、ほかの子供たちも見守ろうという気持ちにもなった」そうだ。
「負担なく、無理なく、簡単に」をスローガンにした改革が評価され、同PTAは25年度の優良PTA文部科学大臣表彰を受けた。
細野さんが改革に取り組んできたのは、「PTAが消滅すれば学校と保護者、また保護者同士のつながりが今以上に希薄になってしまう」と憂えたから。だからこそ、ほかのPTAでも地域の実情に合ったやり方で「カイゼン」に挑戦してほしいと思っている。