ブルアカ小話 (ブルアカ教室由来) 作:おきつねわんっ!
ある晴れた冬の日の事。
イズナ「主殿〜!イズナ、只今参りました!」
いつも通り先生に会う事を楽しみにしていたイズナは尻尾をブンブンと振りながらシャーレの執務室に入室する。
イズナ「あれ?主殿...?」
しかし、目当ての人物がどこにもいない事にイズナは困惑の表情を浮かべる。その声色はどこか寂しげで、尻尾はへなっと垂れ下がっている。
イズナ「...。何でしょうか...、これ」
ふと先生のデスクにはスケジュールが表示されたデスクトップの画面が点灯しており、いつもは色々な予定でギッシリと、それはもう過労死するんじゃないかと言われるレベルで過密なスケジュールとなっているものが、平日なのにも関わらずまっさらな状態になっていた。
イズナ「何か...心配です...」
イズナが先生の助手となってから毎日先生と顔を合わせてもう半年以上だろうか。先生のあらゆる仕事に助手としてついて回ったイズナにとってそれは初めての事であり、先生の身に何かあったのではないかと考えてしまう。
頭ではわかっているのだ、何かあれば真っ先に助手である自分に連絡するという事は。
しかし、そう簡単にはいかないというのが人間というもの。密かに恋情を向けている相手が体調を崩したとなれば居ても立っても居られないものだ。
挙動不審げに目をさまよわせていると、もう一度スケジュールに目が留まる。
空白と思わしきスケジュールではあったのだが、目を凝らしてみると小さく文字が何文字か入力されているのが分かった。
イズナ「あぁ...いけませんね。目が疲れているのでしょうか、こんなミスをしてしまうとは...」
度重なる眼精疲労により視力が若干低下気味である事に気付いたイズナはため息を吐きながら自身の自己管理の至らなさを嘆く。そして同時に先生に何かがあったわけではないのだと考え、不必要な肩の力を抜いた。
気を取り直してデスクトップの画面に目を近付けてしっかりその正体を見てみると、そこには見慣れない文字があった。
イズナ「プロ...ポーズ......?」
イズナは再び足元が崩れ去る感覚に陥った。それと同時に意識を保っていられなくなり、イズナはその場に倒れてしまう。
“ふぅ〜、スッキリしたぁ。やっぱり気分転換にはランニングだよね。”
とそんな状況に現れたのはこの惨状を作り上げた原因とされる人物、シャーレの先生こと先生である。彼は凝り固まった体をほぐす為にシャーレの別の階にあるトレーニングルームで軽く汗を流していたのである。
“って、イズナッ!?え、何で...。いやいや、まずはプラナッ!!”
『はい、簡易スキャンですね。...単なる疲労のようです。眼精疲労と肩こりによる血行不良、睡眠不足が原因とされています』
“うん、ありがとうプラナ。よーし、とりあえず休憩室に運ぼう”
先生は仰向けに倒れているイズナの膝の下と背中に腕を入れてスッと持ち上げ、休憩室のふかふかなベッドに寝かせる。
先生は布団をイズナの肩まで掛けると、蒸しタオルを作る為に給湯室へ向かった。
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イズナ「ん...んんっ」
イズナが目を覚ますとそこは薄暗い休憩室だった。
そこでイズナは自身の変化を感じ取る。
イズナ「目が...楽になってる...」
ただ眠るだけでは取れなかった目の怠さが綺麗さっぱり無くなっているのである。流石に肩こりはあるが大分楽になっている。
ガチャ、と休憩室の扉が開き誰かが入ってくる。
廊下の光が休憩室の中に差し込んで自然とその人物が誰かが分かる。先生だ。
イズナ「あ、...あるじどの...」
“目が覚めたんだね、イズナ。無事で良かったよ”
そう先生に声をかけられてイズナは自身がなぜこうなっているのかを思い出した。すると、自身の身勝手で先生の足を引っ張ってしまったんじゃないかという後ろめたさに苛まれる。
イズナ「主殿、ごめんなさい...」
“え、何故謝るの?むしろこっちが謝るべきなのに...”
イズナ「え...?」
先生は心底不思議そうな表情を浮かべており、イズナにとって、もう状況が訳わからなくなってしまっていた。
“まさかイズナを追い詰めてしまっていたとはね...。これじゃ、先生失格だね”
イズナ「いえ、それは違いますっ。主殿は別にっ」
“ううん、違わないよ。自分の大事な部下の限界を見誤ったんだ。これは私の失態だ。とはいえ、これ以上言うとイズナを傷つけてしまうだろう。”
そっと先生が手をイズナの頭に乗せて、髪を梳くように優しく撫でる。
イズナにとって、それはすごく心地の良いものであり手離したくないと思える事だった。
なのでどうしても先程のプロポーズの文字が頭をよぎってしまい、顔を顰めてしまう。
“やはり、肩が痛むかな?とりあえず、応急処置として湿布を出しておくから後で一緒に病院に...”
イズナ「待って、下さい」
顔を顰めたイズナを心配して湿布を持ってこようと部屋から出ようとする先生だが、イズナが先生のシャツの裾を掴んだことで静止させられる。
“どうしたの、イズナ?何か気になることがあるのかな?”
イズナ「主殿、ス、スケジュールにあったプロポーズって...」
“ん?あぁ、あれはね。友人がサプライズプロポーズをするから私にも協力してほしいって頼まれちゃってね。それで分かりやすいようにプロポーズって記載しただけだよ?”
イズナ「そっ、そうなんですね!安心しました...!」
と、そこまで言ってイズナは気付く。
何を言ってるんだ私は、と。寝起きや肩こりでまだ頭が働いていなかったのか。とにかく今はこの恋心がバレないように祈るしかないと、らしくも無く心の内で神に祈るイズナであった。
“んー...。あぁ、なるほどね?”
イズナ「えっ?あ、ありゅじどのっ...!?」
先生はどこか納得したような顔をしたあと髪をかき上げ、イズナの耳元に顔を近付けた。そんな想い人の急な接近にイズナは顔を赤くしてしまう。
“大丈夫、俺はイズナ一筋だから。安心して、ね?”
イズナ「〜〜〜ッ!?///」
色気のある声とプライベートでしか聞けない先生の一人称である『俺』、そこに加えてまさかの先生の想い人がイズナであると言うカミングアウトにイズナは脳が焼き切れるような衝撃を受けた。
イズナ「あ、主殿...♡」
“ん?ふふ、顔が真っ赤だね。って、うおっ!?”
瞳の奥にハートマークを浮かべたイズナは先生を引っ張り込んでベッドに押し込み、その上に跨ることでマウントポジションを取った。息は荒く、まるで獲物を前にした飢えた獣のようである。
“あ、待って、56買って無いから!そう言うのは計画的にっ!”
キヴォトス人の力は強い、つまりどうなるか。
ふふ、そうだね。 だね。
※そう言った行為を実際に行う場合は同意を得た後、子供を作る目的でない場合必ず56を着けましょう。これは先生との約束だゾ‼️