「連覇は絶対に誰かが止めなければ。その存在がNISMOでありたい」強いチーム構築へ松田次生新監督のスーパーGT挑戦が始まる
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2025年限りで26年に渡るスーパーGTでの現役生活を終えた松田次生。2026年からは、自身二度のタイトルをもたらした古巣NISMOの監督に就任することになった。これまで、1月のセパンサーキットでのウインターテストから2月の岡山国際サーキット、富士スピードウェイでのメーカーテストと、監督として初めてのオフシーズンを過ごしているが、監督となったことでの変化、そして今季への意気込みを聞いた。 【開幕に向けてテストを重ねるNISMOの23号車MOTUL Niterra Z】 2000年にスーパーGTの前身であるJGTC全日本GT選手権にデビューした松田は、2025年まで現役として戦い、最多となる通算25勝を挙げスーパーGTを引退することになった。2026年からは、2014〜15年にロニー・クインタレッリとともにチャンピオンを獲得した古巣NISMOに復帰し、監督として戦うことになる。 スーパーGTでは引退を表明したものの、スーパー耐久ではまだドライバーとして戦うことになっているが、このオフは「2kgくらい太りました(苦笑)」と松田は言う。GT500で戦っているときにはオフもストイックにトレーニングを積んできたが、やはり監督という座に就いたことで、少し変化があった。 「ミーティングなどでけっこう忙しくてバタバタしていますが、トレーニングが少しできなくなってしまって。お腹がちょっとヤバいですね。ロニーもああ見えて太ったらしくて『気をつけた方がいいよ』と言われています」と松田は苦笑い。これまでは身体を鍛えることが重要なドライバーという仕事から、頭を使う監督というポジションに変化したことが大きい様子だ。 「ドライバーのときはずっとドライビングのことを考えていれば良かったですけど、今はどうやってチームを良くしていくかということばかり考えています。スタッフ含め、どうするのがいちばん良いのかをいつも考えていますね」 松田はすでにスーパーフォーミュラでは監督という立場を務めているが、メーカー同士が威信を賭けて戦うスーパーGTは「関わる人が多いですね」と違いを感じている。「スーパーフォーミュラでは、1チームでスタッフの数がだいたい何人かが決まっていますが、スーパーGTではエンジニアもいればエアロを担当している人などスタッフがいっぱいいて、ひとつにまとめるのはなかなか大変だな、と正直感じています」と松田。 「でも、みんながひとつになれば強い組織になると思っていますし、それを作り上げるのが僕の目標です」 ●王座奪還には“プロセス”が重要 このシーズンオフのGT500クラスは、空力開発の凍結が解除される重要な期間。ニッサンZニスモGT500もセパン、さらに岡山、富士と開発を続けている。NISMOの監督として、ニッサンZニスモGT500のレベルアップ、そしてチーム構築を続けるこのオフシーズンをどう見ているのだろうか。 「みんなが工夫してくれて、徐々にレベルアップしている感じもありますが、では満足しているかといえば全然満足していません。チャンピオンを獲るにはNISMOも進化が必要で、NISMOのみんなもそれぞれが理解して頑張って努力している。それを束ねて結果を出すのが監督の役割だし、今はオフの間にどの程度までもっていけるか、取り組んでいるところです」と松田は語った。 また、松田が今季注目を集めるのは、NISMOで初めてのドライバー出身の監督であるということだ。千代勝正と高星明誠という誰もが認める速さをもつふたりを擁し今季も戦うが、松田は自身がその速さをさらに引き出す存在になればと期待した。 「僕は今まで、ドライバーとして彼らの速さを知っていますし、彼らが走りやすいクルマづくりや、彼らのコメントをエンジニアにうまく伝えたりと、コミュニケーションの“通訳”のようなことができればと思っています。僕も昨年までレースをしていたので、それをうまく形にしていければと思っています」 監督として、もちろん今季目指すのはチャンピオン奪回だが、松田はそれは「当たり前」であり、「そのためのプロセスも大事になる」と語った。 「チャンピオンを獲るために、どのようにチーム、ドライバー含めてやっていかなければならないかを考えていきたいです。一概に『チャンピオンを目指します』と言うだけで簡単に36号車(チャンピオンのau TOM'S GR Supra)に勝てるわけではないと思っています。とにかく36号車に対して、僕たちが何をやらなければならないかが大事です。目標はチャンピオンなのですが、そのためのプロセスを、ひとつひとつクリアしていきたいです」 松田は大混戦のGT500で数少ないシリーズ連覇を成し遂げたドライバーのひとりだった。2000年代、さらに2014〜15年のNISMOは憎らしいほど強く、ライバルたちの目標となる存在でもあった。しかし松田は、「正直、今のNISMOは“手強い存在”と見られていないところはあると思っています」という。 「今はどちらかというと、“強い存在”がTOM'Sの36号車になってしまっています。僕たちはそこを目指さなければいけないと思っていますし、僕たちは2連覇どまりで3連覇はできませんでしたが、TOM'Sは3連覇を成し遂げているわけですからね」 「連覇は絶対に誰かが止めなければならないと思っていますし、それを止める存在がNISMOでありたいですね」 かつて、NISMOの難波靖治初代社長は、『強いNISMO、勝つNISMO』を社是に掲げた。その姿を取り戻すことができるのか、松田次生新監督の挑戦が今季始まる。 [オートスポーツweb 2026年02月24日]