カンボジアで特殊詐欺に加担か…消息を絶った息子を探す母親の思い
福岡|
02/23 19:40
特殊詐欺に加担している恐れもあります。
福岡に住む10人ほどの若い男性が、東南アジア渡航後に消息を絶っていることが判明。
大学生の息子の行方を捜す母親が取材に応じました。
母親「最後『旅行だよ』というような返信があった後に連絡がとれなくなった状況です」
福岡県内で去年、約55億円もの被害を生んだ特殊詐欺。
いま、海外に拠点を置く詐欺グループの甘い言葉に誘われ、渡航する日本人が増えています。
福岡県内に住む20代の男子大学生も去年12月、突然カンボジアに行ったまま行方がわからなくなりました。
母親は「別に何も生活にも困ることもないですし、楽しく学生生活をしておりましたので、全く原因が…。犯罪にかかわるような理由は全くないですね」と話します。
息子の手がかりを探し続けて約2カ月。母親が悲痛な思いを語りました。
母親のLINE「連絡出来る?」「パスポートがなくても日本大使館か警察に飛び込めばどうにかなるから頑張って」
母親が息子へ送ったLINEのメッセージに、「既読」はつきません。
きっかけは去年12月の朝のできごとでした。
母親は「(息子が)家でパスポートを手に取る様子がありましたので、もしかして『海外旅行行くの?』と聞いたら『まあそうだ』という感じでした」とその日の朝について話します。
たいていは家にいるのが好きだったという息子。1人で海外に行くのは初めてでした。
しかし母親は引き留めることはできませんでした。
「もうすぐ出かける直前でしたので、もう本人は行くつもりでバタバタ用意していたような状況だったので、あまり深く聞く時間もなくという感じで。身近なアジア圏と聞いていましたし、『知人と一緒の旅行だ』という説明だったので、そこまで深刻には受け止めていませんでした。自分が行きたいというよりかは、一緒に来てほしいと言われるから付き合いで行ったような感じでした」と、息子が出発した時の状況について話します。
日帰りに見えるほどの軽装。部屋も散らかったまま、息子は出発していきました。
その後のやり取りで息子は「2泊3日」だと説明していました。しかし、すぐに雲行きが怪しくなります。
母親は「位置情報を共有していましたので、随時確認はしていたところ、あるときカンボジアに位置情報が落ちていると気づいたと。当初聞いていた行先と違いましたので強い不安を覚えました。」と当時について話します。
息子は帰国予定日を過ぎても帰ってきません。LINEも電話も通じなくなり、位置情報も途絶えてしまいました。
日本から3000キロ以上離れたカンボジア。特殊詐欺の拠点が次々に見つかっていて、日本人が拘束される例も出ています。
ポイペトにあるこの拠点では20人以上の日本人が拘束されたとみられています。
こちらはカンボジア北部=タイとの国境付近のオスマックという街で今年2月に見つかった特殊詐欺の拠点です。
警察官になりすまして詐欺電話をかけるため、施設内には各国のニセの「警察署」まで作られていました。
拠点を占拠したタイ軍によりますと、各国から数千人が集められ詐欺電話の「掛け子」役などを強要されていたといいます。
特殊詐欺の拠点は、捜査の手が及びにくい海外に広がっているのです。
カンボジアに行ったまま音信不通となった息子を探そうと母親は警察や外務省、大使館などに相談しました。
母親は「警察に相談したら特殊詐欺を代表とする何か犯罪に巻き込まれている可能性があると」と話します。
つてをたどると、息子と一緒に渡航した人物はアルバイト先の知人で、この男性も行方不明になっていることがわかりました。
そして徐々に、2人の渡航には奇妙な点があることが判明してきます。
母親は「一緒に行っていた友人がSNS上の知人から誘われて『費用は向こうから出す』ということで、一緒に同行した友人は周りに、『タイに旅行』とおっしゃっていたみたいで」と話します。
母親は手がかりを求めてカンボジアの在留邦人に書面を送り、広めてもらいました。
しかし、今のところ情報は得られていません。
ずっと一緒に暮らしてきた息子がいない生活が続きます。
母親は「家に帰っても私1人ですし、食事を作ることも自分の分だけになってしまいましたし、とてもさみしい気持ちはあります。ふだん息子は散らかしたりとか洗濯物もたくさん出したりするので、そういった物を片づけたりとか洗濯したりという作業が極端に減ったのでやることがなくなってしまった」と現状について話します。
警察は息子が出国したままになっていることを確認していて、無料の渡航を誘われた経緯などから、カンボジアで詐欺グループに取り込まれた可能性が高いとみています。
将来は人を助ける仕事に就こうと、資格の勉強を進めていたという息子…。
母親は息子について「何とかどうにか、居場所を連絡してほしい。とにかく無事でいてほしい」と願います。
母親は今回、息子が特定されないという条件で取材に応じました。呼びかけたいことがあったといいます。
母親は取材に応じた理由について「同じような思いをほかの家族にはしてほしくないということもありますし、これ以上同じような被害が、海外に連れていかれるような若者が増えないようになればいいなと思って協力させていただきました。SNSで知り合った人から提案された無料の海外旅行には必ず立ち止まってほしいなと思います。旅程を書面で家族に共有できないような旅行には行かないでほしいと思います」と話し、注意を呼びかけています。