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ソーラーライン #1 脚本

シーン1:主人公の船/機関室

内・機関室/火星ヴァレスマリネリス港・静止ドック内/出港準備中・夜間帯

主人公:結露… まだ残ってる… ケイ… ブロワ出力 3割上げて
ケイ(船内通信):港湾環境データ更新… 相対湿度47%
補助RCSベーンを閉じることを推奨します…
ブロアだけで何とかしようとするものではありません

主人公:分かってるよ それぐらい…
ケイ(船内通信):あなたはまた… 冷却待ちの口実を作ろうとしています

主人公:主貨物区画… 衝撃吸収ユニットの死んだ針 復帰してる?
ケイ(船内通信):針は死んでいません… 動いていないだけです
主人公:この船もおんぼろだからね… 念には念をいれないと

(主人公は貨物室のモニターを確認する)
主人公:反応質量タンクのスロッシング指数が低いね
ケイ(船内通信):荷が無いために後部慣性が低く
微小な姿勢変化で液面波が立ちやすい状態です
主人公:じゃあ腹持ちすれば問題ないか
ケイ(船内通信):後部骨格のゆがみ癖は改善なし… フルバーン推進時
磁気ノズルの焦点ズレにより 効率が最大で3%変動します

主人公:…それが良いんじゃないの
曲者ほど かわいいんだよ

シーン2:主人公の船/ブリッジ

内・ブリッジ/火星ヴァレスマリネリス港・出港直前/港湾通信

(主人公宛の依頼内容がモニターに表示される)
組合のオペレーター(通信):緊急依頼が1本入っています… ガニメデ中央港へ72時間以内
封印コンテナ2基 危険物指定なし
主人公:えらい急ぐね… 普通は150時間はかけるルートだけど…

組合のオペレーター(通信):ガニメデの優先権テーブルは 大型船で埋まっています
あなたは裏口枠です
港湾ネットの噂ですが…
コンテナの中身は「ガニメデの未来そのもの」だとか

主人公:そんなものフリーに頼るなよ…
ケイ:ガニメデまで72時間以内に輸送するには
「嵐の回廊」を通過する必要があります
…まともな輸送会社が請け負う仕事ではありません

主人公:どう思う…?
ケイ:「嵐の回廊」は 現在利用が原則禁止となっている航路です
木星磁気圏による磁気嵐ドリフトを 真正面から突っ切る航路になります
木星の重力圏へ落下し 磁気嵐の中でイオの重力アシストを受けて軌道を変え
ペリジュピター・オーバースで ガニメデの再接近軌道をとります
オーバースのウィンドウは長く見積もっても数時間…
タイミングがずれれば 木星の重力に捕まって落下します
まともな人間が取る航路ではありません
主人公:「まともな人間」はフリーにはならないからね

主人公:…で 報酬は?
組合のオペレーター(通信):…通常料金の3倍 遅延は一時間ごとに15%減額
港湾税は免除 タグ船はガニメデ側で手配とのことです
主人公:裏口にしては破格だな…
組合のオペレーター(通信):破格でも請け負うフリーがいなかったということです
主人公:まともな人間ならね

主人公:あんた達の取り分は?
組合のオペレーター(通信):今回は3割です
主人公:1割… こっちは命がけなんだ

組合のオペレーター(通信):…この場で受けてくれるのであれば
主人公:わかった 受けるよ

組合のオペレーター(通信):契約成立です コンテナはこちらで運び込みます
主人公:…よろしく
ケイ:では私は 「木星の」観光名所でも探しておきます

主人公:…怒るなよ
ケイ:あきれているだけです
主人公:はあ…

主人公:ちなみに木星に落ち始めたら フルバースでも脱出できないよね…
ケイ:運良くペリジを押し上げられても
数時間で放射線に焼かれてアビオニクスが死にます
主人公:考えないでおこう…

シーン3:火星/協定航行安全圏(火星軌道)/ブリッジ

内・ブリッジ/火星近傍・協定航行安全圏内→境界

(火星港を離れ、船は安全圏外に向けて火星を離れる軌道を取る)
火星港管制(通信):こちら火星港管制 火星港湾法に基づいて港湾周辺5万キロまではRCS推進のみ
核融合パルス主機の使用は禁止です

火星港管制(通信):安全距離内での主機点火は 自動的に罰金と放射線警報の発令対象となります
主機許可は外周マーカー通過後に発効します
主人公:了解… 免許を手放す気はまだないので
ケイ:主機点火許可圏までの航路設定完了
現行RCSプロファイルで到達まで22分

主人公:ビフォア・メインアップ・チェックリスト
ケイ:外部状態…問題なし
外郭クラック無し RCSノズル解氷
主機プレヒート温度…412度 適正値
燃料残量は問題なし
冷却系圧力… 1次系2.34メガパスカル
2次系1.18メガパスカル 問題なし
主人公:ビフォア・メインアップ・チェックリスト コンプリート

主人公:あんたも座れば?
ケイ:座ることに意味があるのなら
主人公:なんのために機械が人型になったと思ってんのさ …まったく

ケイ:人型にしろとは頼んでいません
主人公:そうかい

主人公:…じゃあな火星 また来るよ
ケイ:不安なら 受けなければ良かったのでは…?
主人公:そうだな… 後悔してる

ケイ:そうですか

(船は徐々に火星を離れ、主機を点火できるほどの距離になる)
ケイ(通信):火星の視直径 後方カメラで52度… 極冠を確認
外周マーカー レーダー圏内に入りました
火星港管制(通信):こちら火星港管制 貴機は安全圏外に到達
核融合パルス主機の点火を許可します
…安全な航海を

主人公:感謝する… そちらの空を
あまり明るくしないように心がけるよ

主人公:メインアップ準備
ケイ:D - H e 3 カートリッジ1番装填…
核融合パルス炉 点火温度到達まで8秒
重力影響… 許容範囲内
推進補助室RCS圧… 安定

主人公:巡航加速で慣らす いきなりフルバーンは骨格に悪いから
ケイ:了解 炉出力は65%に設定
想定推力は 6 . 3 メガニュートン
…コンファーム?

主人公:行こう…
メインアップ
ケイ:主機アームド… 衝撃に備えてください
放射線レベル 許容範囲内

ケイ:…5…4…3…2…1 …点火

(主機を点火し、船は加速して火星を離れていく)
主人公:これだけ離れても 火星からは見えてるんだろうな
ケイ:25万キロまでは肉眼にて視認できます
主人公:流れ星だと思ってくれれば良いけど
ケイ:火星の住民も慣れっこですから なんとも思わないでしょうね
主人公:お前夢がねえよな

ケイ:夢で船が動かせるのであれば
主人公:そういうところだぞ

ケイ:炉出力65% 推進効率マイナス1.8%
骨格歪み… 許容範囲内

(主人公はおもむろに立ち上がりブリッジを離れる)
ケイ:どちらに?
主人公:メスルーム …おなか減った

ケイ:そうですか

シーン4:主人公の船/船長室

外→内・木星基幹輸送路・A-PASS

(船長室のモニターは「嵐の回廊」の航路を示し、主人公はそれを真剣な顔で眺めている
 ケイは船長室に入ってくる)
ケイ:ここはメスルームではありませんよ

ケイ:迷うのは人生だけにしてください
主人公:別に迷ったつもりはないけど

ケイ:そうでしょうか…?

主人公:木星の嵐の回廊… このルートを開拓したのは私の親父なんだよね
港湾公社から独立した後
小型貨物船で木星圏への速達配送をするために
木星赤道面の磁気嵐を横断して
最短距離でガニメデに向かう航路を編み出した
回廊を抜けるには 公転速度が速いイオに
ぴったり軌道を差し込むだけじゃなく
イオの潮汐力による機体の歪みや
イオの火山活動による センサー系の乱れにも対処しなくちゃならない
回廊を抜けても ペリジュピターでのオーバースに失敗すれば…
木星の重力井戸に深く入りすぎたまま軌道が閉じ
大気圏に捉えられ …跡形もなく飲み込まれる

主人公:まともな人間がとる航路じゃない
でも親父だけは… 全て成功してきた
ケイ:木星の磁気嵐は当時から2倍以上の規模になっています
単純な比較は出来ません

ケイ:それに何十隻もの船が 嵐の回廊に挑んで失敗してきました
…わずか14時間の短縮のためにです
周回航路を取れば 安全にガニメデに到達できます
わざわざ無謀な航路をとって
命を危険にさらす必要は無いのではないでしょうか

ケイ:荷を届けることが あなたの仕事です

主人公:そうかもね

主人公:いつかこの手で通ってみたいね

主人公:周回航路のプラン「も」作っておいて
ケイ:負けず嫌いですね…
主人公:馬鹿だな

主人公:船は夢が動かすんだよ

ケイ:馬鹿ですね
ケイ:船を動かすのは… 重水素とヘリウムスリーです
主人公:そういうところ… 誰に似たんだか…

シーン5:小惑星帯/主人公の船/ブリッジ

外→内・木星基幹輸送路・A-PASS→N-PASS・航路分岐点/内・ブリッジ

(船に謎の通信が入る、主人公とケイはブリッジでそれを確認する)
ケイ:航路前方に不明な船舶と光信号あり… 通常商業ルートには該当せず
発信間隔は一定ですが 符号方式が古いです
主人公:港湾のビーコンじゃないな
ケイ:識別パターンは非公式…
接近速度は相対0.3km/s こちらの航路に合わせる動きをとっています
主人公:こんなおんぼろ小型船に ちょっかいをかけてくるヤツは
一人しかいない

主人公:…可視光つないで
ケイ:つなぎます

(通信がつながり、主人公の腐れ縁のフリーの運び屋が繋がる)
運び屋(通信):…火星を出てすぐ こんな所で会うなんてね!
主人公:偶然ってヤツかな…

主人公:わたしもこんなところで
お前の耳障りな声を聞くとは思わなかったよ
運び屋(通信):偶然でこんなところに来る奴はいない
…お前 例の依頼受けたらしいな
主人公:だったらなんだよ

運び屋(通信):お前の積み荷… 人間だぞ
主人公:…は?
運び屋(通信):お前が優先スロットで火星を出発した直後…
港湾回線がロックダウンされた
直後に火星の査察艇が 何隻も木星方向に出発していくのが見えた
噂だと… 地球圏の保安艇も
同じく木星に向けて動き出してるらしい
地球圏の保安艇と 火星圏の査察艇… どっちも本気で探してる

主人公:組合は私を売ったのか…?
運び屋(通信):売られたなら火星圏で押さえられてる
主人公:それは嬉しいね…
運び屋(通信):火星と地球の間で 暗号化通信が複数回走ってる
あいつらが協調することなんて… 「生のコンテナ」以外あり得ない

運び屋(通信):あいつらは機械頼みの操船しか出来ないから…
接触は木星へのエントリーだろうな
…荷を回収されたら そのまま落とされるぞ
主人公:そりゃどうも…
運び屋(通信):あいつらに取ってみれば 「嵐の回廊」もそこまで難易度が高い航路じゃない
…なんとかして逃げ切れ

シーン6:主人公の船/貨物室

木星基幹航路・N-PASS・木星圏へ向け弾道遷移中・エントリー手前/内外

(主人公とケイは、貨物室内のコンテナを眺める)
主人公:何とかして逃げ切れねえ…

主人公:まったく… とんでもない荷を掴まされたな
ケイ:コンテナの外部放射線遮蔽レベルはA30でした
主人公:あのコンテナ ほとんどが遮蔽材かよ…
ケイ:通常の貨物にしては遮蔽が高すぎますし
植物や試料を わざわざ急行便に載せる意味がありません

ケイ:高遮蔽かつ急行となれば… 「生きていて放射線被曝を避けなければならない対象」が
格納されていると考えるのが妥当です

主人公:…じゃあ人間だな

シーン7:主人公の船/ブリッジ

木星基幹航路・N-PASS・エントリー手前/内・ブリッジ

(木星への新しい航路を示す表示がモニターに出ている)
主人公:…お前これ本気でいってんのか?
ケイ:あなたの要望を全てかなえるとすると…
木星への直接エントリーしか方法はありません

ケイ:木星赤道面にフルバーンでエントリーし
高エネルギー直接遷移でガニメデに接近します
この航路であれば…
嵐の回廊よりもさらに10時間早くガニメデに到達できます

ケイ:オーバース時の木星高度は1.5RJ…
潮汐力による機体応力は数百トン相当です
小型船なら耐えられる可能性がありますが…
地球や火星の大型艇では まず耐えられないでしょうね
主人公:この船だって耐えられないだろ…
ケイ:85%の確率で基礎骨格が破断します
主人公:終わってんじゃねえか…
ケイ:乗務員は重力保護で守られますから大丈夫ですよ…?
主人公:船が空中分解するまではな…

主人公:オーバースのウィンドウは?
ケイ:嵐の回廊では数時間ありましたが ダイレクトエントリーの場合
ターゲットウィンドウは±5分です… 必要Δvはマイナス2.3km/s
中央を180秒以上外せば ガニメデ交差は消失
…木星の重力井戸に落ちます
主人公:その前にアビオが焼き切れて… 放射線に焼かれそうだな
ケイ:木星大気に じっくり潰されるよりはマシですね
主人公:考えたくもない…

ケイ:それで… どうしますか?
主人公:どうもこうも… やってやるしかないだろ
どうせ追っ手に捕まれば それで終わりなんだ
…賭けてみようぜ
ケイ:そうこなくちゃですね
主人公:お前なんか楽しんでないか?
ケイ:木星大気の風は 時速480キロメートルなんですって
主人公:やめろって… 縁起でもない…

シーン8:木星接近回廊/主人公の船/ブリッジ

木星圏へ向け弾道遷移中・木星接近回廊・エントリー手前/内外

(主人公の船は木星へのエントリーを準備している)
主人公:ビフォア・エントリー・チェックリスト
ケイ:炉心… 401度で安定 冷却済み
一次骨格応力値 105% …設計値範囲内
放射線磁気フィールド… 到着時残寿命 42分
主人公:そんなに短いか…
ケイ:ダイレクトエントリーでは コア放射圏に直接突っ込みますから
主人公:持つだけマシか…
ケイ:航法計算… ペリジュピター到達予測まで残り11時間42分
オーバースウィンドウ ±5分
主人公:180秒以内… 分かってる

(通信が入る)
運び屋(通信):おい! お前気が狂ったか?
主人公:開口一番失礼なヤツだな…
運び屋(通信):お前が木星への直撃コースにいるからだろうが!
主人公:そうだった… 今思い出したよ
運び屋(通信):馬鹿か!
主人公:というかついてきてたのかよ… 気持ち悪いな
運び屋(通信):嵐の回廊のエントリーで合流しようと思ってたんだよ…!
そしたら急に方向変えやがって!

ケイ:エントリーまで 残り30秒…
主人公:フルバーンで突っ込む
運び屋(通信):お前今なんつった??
ケイ:了解… 炉出力は100%で設定
想定推力は9.8メガニュートン

主人公:メインアップ

ケイ:主機アームド… 衝撃に備えてください
放射線レベル 許容範囲内

主人公:何か言い残すことはあるか?
運び屋(通信):こっちの台詞だ! バカ!
主人公:ガニメデで会おうぜ
ケイ:…5…4…3…2…1 …点火
(船は木星へ向かって一直線に加速を始める)

シーン9:木星接近軌道/主人公の船/ブリッジ

木星接近回廊・木星ダイレクトエントリー/内・ブリッジ

(背景に巨大な木星が横たわっている)
ケイ:加速良好… 進入コース安定
主人公:嵐の回廊じゃ味わえない光景だな… きっと
ケイ:どうでしょう… ペリジュピターの景色は違うかもしれませんが
主人公:でかすぎて距離感が掴めなくなるな…
ケイ:ガリレオ探査機の気分ですね
主人公:…それ木星に突っ込んだ探査機だろ
ケイ:我々の先輩です
主人公:だからやめろって…

ケイ:まだ後悔してますか…?
主人公:今更後悔してももう遅いだろ… エントリーしちゃったんだから
ケイ:まあそうですね 今更です

主人公:しかしでっかいな… 木星ってのは近寄ると
ケイ:直径は火星の11倍 質量は318倍です
厚い大気の下には 液体水素の海があります
主人公:聞かなきゃよかったよ

(ナビゲーションシステムが音で磁気圏への接近を知らせる)
ケイ:残り1分で 磁気圏境界通過
磁気シールドは最大出力を維持 被曝計ゼロ点リセット

ケイ:引き返しますか?
主人公:それは引き返せるときに言ってくれ
ケイ:次回から気をつけます
主人公:そうだな

シーン10:木星接近軌道(J0ダイレクトエントリー)/主人公の船/ブリッジ

木星接近軌道・ペリジュピター付近/内・ブリッジ

(船の磁気フィールドに木星の強烈な放射線が衝突し、窓の外には船を囲むオーロラのようなものが見える)
ケイ:近点到達まで 残り4分50秒…
オーバースウィンドウ ±180秒
速度… 48.9km/s 問題なし
船外放射線レベル上昇中… 現在毎時8シーベルト
磁気シールドは稼働中

主人公:潮汐力は…?
ケイ:潮汐力による機体応力は現在 1 3 0 %
設計上の許容値を 上回っています
磁気ノズルの焦点ズレによって エンジン出力が6%低下中
主人公:このタイミングでかよ…

主人公:オーバース準備… 出力はピークに設定
ケイ:規定値を超えています
フルバースを超える出力は炉の熱余裕を圧縮します
主人公:足りないよりマシだろ

ケイ:了解…ピーク出力に設定
オーバース時間を再計算しました
近点まで 残り15秒
磁気ノズル温度… 920K 上昇中
主人公:オーバース準備

ケイ:主機アームド… 衝撃に備えてください
放射線レベル 許容範囲内

ケイ:…5…4…3…2…1 …点火

(猛烈な逆噴射が開始、船の骨格が大きく軋み、不気味な音が響いている)
ケイ:エンジン出力110%… 想定推力10.7メガニュートン
Δv進行… 残り1.8km/s

主人公:船が泣いてる…
ケイ:ずいぶん余裕じゃないですか…
主人公:余裕だったら こんな恥ずかしいこと言わないだろ…

ケイ:…記録しました
主人公:おい…
ケイ:Δv進行… 残り0.3km/s
磁気ノズルの応力ひずみ 許容値を超過

(ナビゲーションシステムが音を鳴らし、逆噴射終了タイミングを知らせる)
ケイ:Δv到達 オーバース終了

ケイ:コース確定 ガニメデ交差軌道に乗りました
推進系に損傷7%… 磁気ノズルのコイル応力は
限界値を17秒間超過しました

シーン11:ガニメデ接近軌道/主人公の船/ブリッジ

ガニメデ交差軌道・放熱・冷却フェーズ/内・ブリッジ

(巨大な木星の姿が窓の外に横たわっているが、先ほどより小さい)
主人公:正直… もう二度とあんな近くでは見たくないな…
ケイ:船体温度 均衡点に復帰しました
改めて報告します…
磁気ノズルの一部が塑性変形を起こしています 長時間の高出力運転は危険です
主人公:ちょっとは感傷に浸らせろよ…
ケイ:座ってただけでしょ
主人公:ナビがそれ言う…?

(ブリッジに通信のコール音が鳴る)
運び屋(通信):おい! やったな!
主人公:感傷に浸らせろよ…
運び屋(通信):港湾ネットはお前の話で持ちきりだぞ!
木星にダイレクト・エントリーしたってな!
主人公:…もう二度とゴメンだけどな
運び屋(通信):地球と火星の奴らは のんきに周回航路に回ったよ
お前の24時間前を走ってる!

運び屋(通信):なあ… あとでログ見せてくれよ…!
ペリジュピターの景色ってどうだった?
主人公:磁気フィールドと木星プラズマとのフラッシュで
何も見えなかったよ
運び屋(通信):なんだよそれつまんねえな…
主人公:悪かったね…

(もう一度通信のコール音が鳴る)
主人公:今度は誰…?
ケイ:おそらくガニメデ港の管制かと
主人公:ああ… そりゃそうか
ガニメデ港管制(通信):こちらガニメデコントロール…
見てたぞお前の軌道 なんて奴だ…
主人公:そりゃどうも
ガニメデ港管制(通信):おつかれさん…
と言いたいところだが ガニメデはお前の入港を許可できない
主人公:なにそれ… 冗談にしちゃたちが悪いけど…
ガニメデ港管制(通信):冗談ではない… お前が運んできた積み荷を
ガニメデにおろすわけにはいかない
主人公:なんだよ… じゃあ戻れってのか…?
ガニメデ港管制(通信):すまないが… 他の港をあたってくれ

第1話/完

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ソーラーライン #1 脚本|ゆえぴこ
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